アクト・ビヨンド・トラスト(abt)が生まれるまで
2000年代、原因不明のミツバチの大量死滅や失踪が世界各地で報告されるようになりました。

その原因として、ある農薬(殺虫剤)が疑われはじめました。
“ネオニコチノイド系農薬”です。
“ネオニコはターゲットの害虫以外の生物へも悪影響をおよぼす“というエビデンスが蓄積され、やがて欧州などでは規制の対象になっていきます。

しかし2010年代はじめの日本では、「ネオニコ問題」の研究や政策提言に取り組む人はまだまだ多くありませんでした。
「ネオニコ問題の啓発や研究に後押しが必要だ!」という声に耳を傾けたのが、国際環境NGOの事務局長を経験した作家・翻訳家の星川淳でした。

星川は、ネオニコ問題の研究や社会的アピールを支援することを一つの柱に、下記2つの懸案も加えて、市民活動をサポートする仕組みをつくろうと考えました。
・原子力に頼らず、持続可能なエネルギーを使った社会に転換したい
・自然環境や人々の生活を守るために、東アジアの市民同士が手をつなぎたい

「オーガニックシフト」「エネルギーシフト」「東アジア エコ&ピースシフト」の3部門で市民活動の触媒作用と環境醸成を図ることで公正で持続可能な社会をつくるため、『民間助成基金アクト・ビヨンド・トラスト(abt)』が誕生しました。
abtの助成事業は、支援者のみなさまからのご寄付で支えられています
小粒ながらエッジの効いた民間助成基金として、政府や企業の支援が届きにくい分野で活動する市民団体や研究者の支援を心がけてきました。2010年末の立ち上げから現在までの助成総額は2億7500万円となっています。これまでの活動を支えてくださったみなさまに心からお礼を申し上げます。
けれども、ここ5年ほどの助成額は平均すると約1200万円の横ばい状態です。2025年度から開始したオーガニック給食推進助成にも予想以上の応募があり、次年度以降も助成事業全体の継続・拡大をめざしたいと思います。
そこで、「未来の世代に負の遺産を残してはいけない」とお考えのみなさまに《このまま死ねるか!》キャンペーンにご参加いただき、安定的な助成基盤確立へのご協力をお願いいたします。
当キャンペーンは通年募集としますが、第1次特別募集期間(2025年7月17日~8月17日)の1か月間でサポーター20名の獲得を目標とします。
《このまま死ねるか!》キャンペーンはマンスリーサポーター(月額10,000円~)に的を絞りました。決済はクレジットカードとなります。
abtの助成事業が継続・拡大することで
◆オーガニックシフト部門のネオニコチノイド系農薬問題助成プログラムでは、ネオニコチノイド系農薬の全廃に向けた活動を推進できます。

◆オーガニックシフト部門のオーガニック給食推進助成プログラムでは、オーガニック給食の取り組みを始めたい〈はじめの一歩コース〉と、実施している活動を飛躍・普及させたい〈ジャンプアップコース〉で、幅広い団体および個人の活動を後押しできます。

◆エネルギーシフト部門の助成プログラムでは、豊かな自然の恵みを活かし、いのちや環境と共存できるエネルギーで成り立つ“脱炭素+自然エネルギー社会”の実現に向けた活動を加速できます。

◆東アジア エコ&ピースシフト部門の助成プログラムでは、東アジアの市民が共に持続可能な未来を築く活動を応援できます。

助成事業以外のabtの活動紹介
abtはビジョンとして「自然環境と人間生活の調和した社会/世界/地球」を掲げています。
助成先の支援だけでなくabt自身でも、環境問題の解決に取り組むNGO/NPOや研究者などをゲストに招いたオンラインイベント「Future Dialogue」の開催を続けています。昨年度実施した2つのイベントをご紹介します。
※詳細は、abtのウェブサイト(イベントレポート)をご参照ください。
◆Future Dialogue第9回「能登半島地震を受けて、原発立地地域における避難計画の実効性を問い直す」(2024年9月16日)
第9回のテーマは、原発立地地域における避難計画の実効性でした。同年元日に能登半島地震が発生しましたが、石川県珠洲市はかつて関西電力と中部電力がそれぞれ計画する珠洲原発の建設予定地でした。また、能登半島の付け根には、運転停止中の志賀原発があります。もしも能登半島地震が稼働中の原発を直撃していたら、その被害は3.11の比ではなかった可能性があります。
日本は地震列島であるにもかかわらず、全国に54基の原発が立ち並んでいます。この回では、原発の問題に取り組む市民団体や弁護士などをゲストに迎え、原発立地地域の避難計画に関する実効性を中心に議論を深めながら、原発に依存しない社会を実現するために、私たち市民にできることは何かを話し合いました。
◆Future Dialogue第10回 「新刊『ネオニコチノイド 静かな化学物質汚染』の著者に聞く――ネオニコの問題点と脱ネオニコ戦略」(2025年1月19日)
ネオニコ解説書の決定版とも言える平久美子著『ネオニコチノイド 静かな化学物質汚染』(岩波ブックレット)が2024年12月4日に刊行されました。ネオニコチノイド系農薬は、その強い毒性により昆虫だけでなく、ヒトを含む哺乳類の神経伝達や発達にも影響をおよぼすことが研究によって解明されつつあります。
第10回は、著者の平久美子医師をゲストに迎え、ネオニコチノイド系農薬の危険性についてあらためてお話しいただきました。
abtの助成事業の概要

オーガニックシフト部門(ネオニコチノイド系農薬問題助成プログラム)
2011~2025年度 累計助成件数91件/総額119,859,508円
[2025年度助成]
・霞ヶ浦(北浦)湖内のネオニコチノイド系農薬濃度の現状把握ならびに当該農薬が北浦のオオユスリカ幼虫の個体数密度におよぼす影響に関する研究
・ミカン園土壌中の残留農薬と生物の調査及び啓発用冊子の作成
・秋田におけるネオニコ汚染実態の定量的解明と環境・食の安全基盤構築の県民的展開(2025)
・「世界自然遺産の島」の水田における各種浸透性農薬の検出状況とその使用実態の解明
オーガニックシフト部門(オーガニック給食推進助成プログラム)
2025年度から開始 累計助成件数7件/総額1,486,000円
〈はじめの一歩コース〉
・市川三郷町にオーガニックシフトの動きを!こども食堂とコラボ☆ 食についての上映会
・美味しく、楽しく地産地消(長野県 北信わの会)
・地産地消からオーガニック給食へ…!(三重県桑名市)
・“食のつながり“で子どもも大人もみんな元気になろう!(鹿児島県 みらい保育園)
〈ジャンプアップコース〉
・北海道鹿部町におけるオーガニック給食をもっと地域一丸となって浸透させたい
・市民の意識変容を促しオーガニック給食の拡大・定着を目指す「オーガニック給食食農教育教材作成事業」(しずおかオーガニックウェブ)
・地域とつながる「食」の体験を通して楽しく学ぶ研修会(長野県 松川町ゆうき給食とどけ隊)
エネルギーシフト部門
2011~2025年度 累計助成件数91件/総額127,659,819円
[2025年度助成]
・低レベル放射性廃棄物の海外輸出に関する現地調査
・再生エネを地域の産業・マチづくりに定着させるための政策提案~北海道における脱原発・脱炭素の地域づくりに向けて~
・「核燃料サイクル計画」と「次世代原子炉開発」の問題点を解説し、政策変更を求める動画シリーズの制作
東アジア エコ&ピースシフト部門
2011~2025年度 累計助成件数14件/総額18,005,790円
[2025年度助成]
・ノーニュークス・アジアフォーラム青年交流会
・クロツラヘラサギフライウェイ子ども交流プロジェクトの国内外発信
※上記の他にスポット助成として、2016~2025年度で累計助成件数30件/総額8,934,183円の実績があります。
※2024年度以前の助成実績については、abtのウェブサイトをご参照ください。
応援メッセージ
《 國本 聡子さま(熊本-有機の学校給食を考える会)》
作物の品種開発からエネルギー供給まで、原子力を利用する技術や、どんどん新しい人工化学物質の開発を進めることが私たち人間に便利・快適な生活を保障すると言われているが、多様な生命の存立を危うくする危機が日々の暮らしの背後から溢れてこぼれてきている。
そう思うと一人一人の力は僅かだけど、今、ブレーキをかけないで何もしないまま、自分の命が終わる時に後ろ髪引かれる後悔などしたくない。
「ネオニコ系農薬、使うのやめよう」
「処理できない原子力のゴミをこれ以上増やさないでおこう」
「後戻りできない環境汚染物質のバラマキを見直そう」
周りの人に知らせること、何かできることがきっとある。誰かと一緒に考え、誰かと繋がって動く。アクト・ビヨンド・トラストと一緒に、自分なりに出来ることを見つけよう。
代表メッセージ

もう何年も前になりますが、abtの資金調達活動の一環として「このまま死ねるか!」というタイトルを提案しました。なぜなら、現在73歳の私自身、若い頃から原発問題を含む多くの社会課題に取り組みながら、ほとんど成果らしい成果を出せずに悔しい想いを抱え続けており、いわゆる団塊世代前後の中に、同じ想いの人たちがたくさんいることを確信していたからです。
このたび、ついに《このまま死ねるか!》キャンペーンが実現の運びとなりました。余生を有意義にすごしたいが、自分で社会活動に乗り出すほどではなかったり、ときどき「これは」と思う団体やクラウドファンディングに寄付をすることはあるけれども、手応えがいまひとつだったり――そういう方々に、ぜひabtへの継続寄付をお考えいただきたいのです。
私自身、日本の出版界に勢いがある時代には、作家・翻訳家としての収入からかなりの割合を寄付に充てていましたし、いまでも活動支援とクラウドファンディングを合わせると年間20件を下らない寄付を続けています。そうした経験から、自ら創設し、現在も運営に携わるabtが間違いなく有効な寄付先であることはお約束できます!
まだ目の黒いうちに、日本を、世界を、将来世代へ引き継ぐに恥じない方向へ舵取りしようではありませんか!
寄付金の使い道について
当キャンペーンの第1次特別募集期間(2025年7月17日~8月17日)で、サポーター募集20名を目標とします。金額換算では、年度末までに約150万円となります(abtの事業年度は3月から翌年2月末)。
いままでにいただいているご寄付と合わせ、2026年度の助成事業資金として活用させていただきます。