ミッション
発達支援が必要なすべての人が自分らしく学び
希望を持って生きていける社会を共に実現します
障害の有無や生まれた環境にかかわらず、誰もが⾃⾝の発達特性に合った学びを保障される社会になれば、「発達障害」という概念は必要なくなり、すべての人がよりよく生きられるはずです。
私たちは、エビデンスに基づく実践を通じて、あらゆる⽴場の⽅と⼿を取り合い、ともに希望ある社会の実現を⽬指します。
理念
ADDSは以下の3つの理念を基に活動しています
保護者とともに取り組むこと
研究成果に基づいた手法を選択すること
社会に変化を起こすこと
無関係な人はいない。「発達障害」の概念が必要ない社会の実現は、すべての人の生きやすさにつながる
ADDSは、2024年に設立15周年を迎えました。
時代の変化に伴い、発達障害という言葉は多くの人が知るところとなりました。2022年
の文科省の調査(注)では、公立の小中学校の通常学級に、実に8.8%の割合で発達障害や
その傾向のある児童が存在すると報告されています。また、制度改正により支援機関の数
は右肩上がりに増え、2009年の創業当時は考えられなかったような変化が起きています。
しかし、個の特性への理解や配慮、エビデンスに基づく支援については、まだまだ浸透し
ていないのが我が国の現状です。
通常の学級に在籍する特別な教育的支援を必要とする児童生徒に関する調査結果(令和4年
)について:文部科学省
「すべての発達支援が必要な人が自分らしく学び暮らせる社会」という大きなミッション
を前に、私たちのような一つの団体でできることはあまりにも限られています。この15年
間、私たちは、質の高い支援プログラムの開発や人材育成を行い、各地の心ある支援者の
皆様とともに、多くのお子様とご家族へ支援を届けることが出来ました。福祉の制度を活
用した事業を基盤に、組織を徐々に成長させることもできました。しかし、そのような活
動をする中で、被災地や、経済的困窮世帯、在日外国人にも、不登校児童にも、発達の課
題があるお子さんが多くいらっしゃることを知りました。そういった、制度からこぼれ落
ちてしまう方達へ必要な支援を生み出し届けること、そしてそれを制度に還していくこと
が、本来のNPOの役割です。私たちも、次の15年は、そういった多様なニーズのある当
事者の方達に支援を届けられる団体へと成長したいです。
発達障害は、今や誰にとっても無関係ではない課題です。私たちが目指すのは、「すべて
のひとが、個の違いやつよみを尊重され、支えあえる」社会です。これは、皆が自分らし
く生きやすい社会をつくることにほかなりません。
真に個の違いが尊重されれば、
発達障害という概念は必要なくなるでしょう。
そのような社会をともにつくる「なかま」を探しています。
寄付を通して、皆様お一人お一人に少しでも心を寄せていただくことで、
当事者やご家族にとって本当に大きな力となります。
あたたかいご支援を心よりお願い申し上げます。
数字で見るADDS
2023年度年次報告書より抜粋
これから加速させたい取り組みに対する思い
「災害×発達障害」
▼きっかけ
被災地支援への思いは、2011年東日本大震災に遡ります。
東日本大震災の発災当時、ADDSはまだまだ創業期で、立ち上げメンバー全員が自身の担当ケースを受け持って、曜日ごとに違う貸しスペースで支援を提供していました。全体で20家庭程度のお子さんと保護者の方が通ってくださっていたと思います。共同代表の熊は博士課程に在学しながら、竹内は夜間大学院に通いながら、出産も控えている時期でした。そんな中で震災が起こり、多くのNPOやNGO、ボランティアが迅速に被災地に入り緊急支援を展開する中、ADDSにも被災地での支援を展開しないか?と声が掛かりました。震災があったとしても子どもたちの発達の機会が奪われてはいけないと、いてもたってもいられない気持ちで、現地で活動ができないか話し合いました。しかし、メンバー全員が今の活動地域で担当ケースを抱え、資金的にもマンパワー的にも全く余白がない中で、現地に入って支援をすることは難しい、と苦渋の決断をすることとなりました。
あれから12年が経ち、その間に国内だけでも多くの地震や水害があり、被災地支援の団体の皆さんがそのたびに力強く活動されています。ADDSは、直営の拠点が3つになり、当時4名だけだったスタッフは70名を数える組織に成長しました。発達支援のノウハウの体系化や人材育成、研究成果の発信など、手がける事業も増えました。しかし、依然として被災地支援のための具体的な活動はできておらず、12年前の無念は果たせぬまま、むしろ緊急支援の経験とノウハウの無さから参入の壁さえ感じてきました。
そして、2024年元旦に能登半島地震が発生しました。
今回は、緊急支援をされているNPOの方にサポートいただき、ADDSメンバーも現地に赴き、被災地の住民や行政の方や多くの支援者の方とお話しさせていただく機会を得ました。その中で、発災直後の人命救助、水や食糧や衣類、瓦礫の撤去やインフラの復旧支援が必要な時期から、現地のニーズが復興のフェイズに移っていくとき、被災前から抱えている街づくりの課題がより克明に浮かび上がってくるということを知りました。
ここからは、住民の方々が主体となり、外からたくさんの知恵とマンパワーとお金などのリソースを巻き込みながら地域の未来をつくっていく、何年もかかる息の長い挑戦が始まっています。
▼わたしたちにできることー発達障害の専門性を活かした支援
これからの復興への取り組みの中には当然、子育てや発達障害にまつわるニーズもあり、ADDSとしてノウハウを活用できることも多くあります。
また、被災地での学びは、今後首都圏でも起こるかもしれない災害への備えや、避難所の環境整備のための知見の蓄積にもつながります。
いただいたご寄付は、被災地の住民の方向けのオンライン発達相談の提供、現地での調査と発達支援のための活動に、大切につかわせていただきます。
「困窮×発達障害」
重度の知的障害と自閉症があるAくんとその家族。
路頭に迷うことを防ぎ、特別支援学校に通いながら
特性に合わせた安心した環境を整えていくために。
発達障害×仮放免による困窮への支援例
▼重度の障害に向き合う難民の親子
わたしたちが初めてA君と出会ったのは、彼が自閉症と重度知的障害の診断をうけ、3歳でADDSが運営する施設に通い始めた時でした。Aくんの母親は、母国での迫害から逃れるために、難民認定を求めて日本に入国されました。
出会った頃のAくんは、言葉を話したり、理解することが難しく、環境の変化が非常に苦手で、少しでも人や場所が変わると、癇癪やパニックを起こしていました。自分の頭を激しくたたいたり、衝動的に人につかみかかったりすることも頻繁でした。
母親は、言葉の壁に苦戦しながら、Aくんと一緒に施設に通い、コミュニケーションを教える練習をし、トイレや食事などの生活スキルを整え、3年間、療育スタッフと二人三脚で、一生懸命療育に取り組んできました。
▼言葉や国境を越えてー拓いていく子どもの可能性
泣き叫んでいたAくんは6才になり、パチパチと手を叩くジェスチャーを通じて、[食べたい][欲しい]といった要求を伝えられるようになりました。バスやトイレの写真カードを見せると、予定を理解できます。白飯しか食べられなかった給食も、色々なメニューを食べられます。手遊び歌を楽しみ、可愛い笑顔でハイタッチをします。驚くような沢山の成長を見せてくれたのです。母は、「私があの子の名前を呼ぶと、目を見つめてくれるのよ」と子どもの成長に目を潤ませて喜んでいました。
▼仮放免による困窮と発達障害特有の課題
しかし、特別支援学校への進学を目前に、難民認定が退けられ仮放免状態になったことで、親子は一気に困窮することになりました。専門機関と連携し、難民用のシェルター等を使った支援も検討しましたが、Aくんは発達障害の特性から、慣れない環境に非常に強いストレスを感じます。その結果自傷や他害、大声などが懸念され、家族以外の人と同じ空間で長く過ごすことは難しい状況です。電車やバス、飛行機に乗って長時間移動することも難しく、偏食から食料を確保するのにも苦労しています。
私達は、難民支援や困窮支援の専門団体、児童相談所や保健センター、障害福祉施設などあらゆる機関と連携し、手を打ってきましたが、母親が働くことは許されない状況で、いよいよ生活が困窮し、子ども達はお腹を空かせ、ホームレス化しかないといった状況が見えてきました。
▼わたしたちにできることー発達障害の専門性を活かした支援
これまで、法人の有志で、専門性を活かして取り組んできたことは大きく3つあります。1つは、ソーシャルワークです。難民支援、困窮支援を専門とする団体に、ご家族をつなぎ、発達障害の特性からくる課題の重篤度・緊急度を伝える役割を担ってきました。
2つ目は発達障害に関する根拠資料の作成です。必要な発達検査や行動査定を行い、Aくんの発達特性を説明し、その特性に合わせた住居や食料などの生活支援、発達支援の必要性を伝える根拠資料を作成し、特別在留許可に関する入管への同行支援を行ってきました。3つ目は、食料や玩具等の生活用品の支援です。Aくんの偏食や、感覚の過敏性に合わせた物品を集めて、支援を行ってきました。
在留に関する許可が出るのか、いつ来るかの見通しも立たない状況です。ただでさえ厳しい状況の中、発達障害があるゆえさらなる課題が生じています。私達は、難民や困窮の支援に関しての専門家ではありませんが、専門団体との緊密な連携をしながら、Aくんが安心して過ごせる環境で、特性に合った教育や支援を受けられるよう、発達障害特有の課題に対する支援を行っていきたいと考えています。
研究・提言・啓発
「発達障害の概念が必要ない社会」の実現に向け
「発達障害の概念が必要ない社会」の実現に向け、調査や研究を通じたエビデンスを構築し、その成果を基にした政策提言や啓発活動を通じ、担い手育成や社会の変化に貢献します。
ご寄付を活⽤させていただく取り組みの一例
上記取り組み以外のご寄付の使途について
ADDSでは寄付金額の15%未満を、一般管理費(ご寄付の入金管理や領収証の発行、活動のご報告等)として大切に活用させていただいております。
ADDSを支えてくださる寄付者様の声
最後に
私たちにできることは、エビデンスに基づいた専門性の高い支援を、それを必要としているお子様やそのご家族に届けること、未来の発達支援を担う人材を育てること、そして障害の有無にかかわらず、個の違いを互いに認め合い、活かしあい、すべてのひとが自分らしく、豊かに、幸せに暮らせる社会の実現に向けて全力で取り組んでいくことです。
これからも発達支援に関する多様な社会課題を解決する活動を続けていくために、わたしたちの「なかま」として毎月ご支援していただける方を心よりお待ちしております。