
「僕は女子生徒を妊娠させたことがある」

そう、性教育スピーチコンテストで告白してくれたのは、17歳のイブラヒム君、高校3年生です。
アラジは「予期せぬ若年妊娠」を意識的に防ぐために、シエラレオネ現地に即した『包括的性教育の教科書』を独自に開発、これまでに事業地であるケネマ県の中学・高校、計100校で性教育を実施してきました。
そして、性教育を受けた生徒男女10名が、避妊や性的同意、女子の教育を受ける権利等について訴える「性教育スピーチコンテスト」も実施しています。スピーチコンテストでは、保健省や教育省、地元警察署長等が審査員となり、国営テレビやラジオでも全国的に報道されます。

性教育スピーチコンテストでスピーカーとして手を挙げ、「過去に女子生徒を妊娠させたことがある」と告白してくれた、イブラヒム君の想いをぜひご覧ください。

「僕は、過去に同級生を妊娠させてしまいました。この国では、18歳未満同士の性交渉は、処罰の対象になると知り、怖くて村の親戚の家に逃げました。僕は、女性が性交渉を断る権利があることや、僕自身が避妊をしなきゃいけないことを何も知りませんでした。
アラジが学校にきて、性教育をした時に、はじめて女の人の気持ちになれて、もっと早く知りたかったと、とても後悔しました。
学校での性教育のあとに、教育省や保健省、警察の人たちが審査員になり、国営テレビで放送もされる「性教育スピーチコンテスト」があることを知りました。テレビ局の人たちが「君が出ないか?」と声をかけてきました。主催者のMs.Shimosatoは、「あなたの過去はプライバシーで、話したくなかったら話さなくていい。あなたの「子どもの権利」も守りたい」と言ってくれましたが、僕は自分の経験を、全校生徒、そしてテレビの前で話すことに決めました。
「僕は一人の女性に責任を負わせてしまった。でも、皆には同じ過ちを犯して欲しくない。だから今日、スピーチコンテストに出ることを決めました」
イブラヒム君のスピーチには多くの生徒が耳を傾け、真剣に聞く様子がありました。
自らの経験を振り返って、教訓として語ってくれた彼に対して、大きな感謝を述べたいと思います。
また、10代の女の子が初期せず妊娠しても、差別されたり、経済的に復学できないということがないよう、性教育に加え、さらなる支援拡大に向けて、取り組んでいく所存です。
現在、新たに1万名に性教育を届けるために、60名のマンスリーサポーターを募集中です。
今後もアラジの応援をよろしくお願いいたします。
アラジ代表理事
下里夢美