活動・団体の紹介
突然ですが、皆さまは「救命の連鎖」という4つの輪をご存じでしょうか?
2020年版の市民用の救急蘇生法の指針の中で、救命の連鎖とは「生命の危機に陥った傷病者を救命させるために必要となる一連の行動と処置」と説明されております。わたしたちの団体名のつなぐいのちの輪とは、救命の連鎖の表現に由来します。
この救命の連鎖の4つの輪のうち中央にある2つの輪の「心停止の早期認識と通報」と「一次救命処置(心肺蘇生とAED)」が、その場にいる市民の方々により実行されなければ、救急車が到着しても、病院に到着しても心停止に陥った大切な方の生命を救うことは難しくなります。また、心停止で亡くなる方を1人でも減らすためには、救命の連鎖の最初の輪にある「心停止の予防」への意識と取り組みが重要なのです。
わたしたちNPO法人つなぐいのちの輪:バイタルネットジャパンは、救命の連鎖にかかわる市民の皆さまや医療職の方々が心停止の方を助けるために必要な最新の知識や技術を繰り返し習得できる機会を提供し、1人でも多くの生命が助かる取り組みを続けております。
これらを学ぶ講習会において、ヨーロッパ蘇生協議会が提唱する「Kids Save Lives」という理念に基づき、幼児でも家族と一緒に参加ができるようにしたり、普及啓発への協力を希望される高校生以上の市民の皆さまが講習会の指導者となれる環境を整備することで、共助としての救命による安全で安心なまちづくりを目指しながら、日本の救命率の向上に貢献していきたいと考えております。
また、救命の連鎖の最後の輪である「二次救命処置と心拍再開後の集中治療」が円滑に行われるように医療者向けの講習会も提供し、救命の連鎖の輪の充実と、病院を含む医療関連施設での患者安全医療文化の醸成への貢献も行っております。
実際の救急事案、救命事案に遭遇して不安や悩みを抱えている方々には、当NPOに所属する医療者との支援窓口も設けておりますので、お気軽にご連絡、ご相談ください。
活動の背景、社会課題について
日本では毎年9万人以上、1日当たりに換算すると約250人、およそ6分に1人の方が心臓突然死で亡くなっています。その原因の多くは「心室細動」と呼ばれる重篤な不整脈で、この不整脈が起きると心臓は震えるだけで血液が送り出せなくなり、「心停止」といわれる状態になってしまうのです。
総務省消防庁が毎年発表している「救急救助の現況」によれば、心停止となり心肺蘇生を受ける人の数は年々増加しているものの、倒れる瞬間を目撃された心停止の方であっても救命に最も重要な行動である胸骨圧迫は50%程度しか行われず、更に届いたAEDで電気ショックが実施されることは5%程度しかありません。心停止直後には、呼吸をしているようにみえることがあり、心停止かどうか判断しづらく、救命のための行動をためらってしまいがちですが、119番に連絡をすれば必要な行動を教えてくれます。迷ったら胸骨圧迫を実施する行動こそが、目の前の大切な方の生命を守り、悲しい事故を繰り返さないことにつながるのです。
2011年9月29日に小学校の体育の授業中に突然心停止の状態になってしまった桐田明日香さんも、呼吸をしているようにみえたことから現場で胸骨圧迫の実施もAEDの使用も行われることなく11歳の若さで9月30日に逝去されました。
彼女の悲しい死を契機につくられたASUKAモデルに沿った救命法を、私たちは「わからない、わからない、GO!」という単純なメッセージとして普及啓発をしております。目の前で倒れている方の「反応が正常かわからない」、「呼吸が正常かわからない」、そんなときは心停止と判断して「胸骨圧迫の実施とともにAEDの依頼をGO!」という内容を学び、突然襲ってくる悲しい現場から1人でも多くの方の生命が救われることを目的として「さいたまPUSH」を設立しました。
この講習会はヨーロッパ蘇生協議会が提唱する「Kids Save Lives」という理念に基づいて、幼児から家族で参加ができること、高校生以上の市民であれば指導ができることを特徴としています。
ヨーロッパ各国では「Check-Call-Compress」のアプローチに従う救命訓練について4歳から基礎教育を受け、10〜12歳までには胸骨圧迫を習得、14歳までには人工呼吸を習得、13〜16歳までにはAEDの使用方法の習得ができるように、毎年学習の機会を設定することが義務化または推奨されているのです。
そんな子供たちの成長に合わせて継続可能な学習の機会を提供しながら、救命の連鎖の各輪の充実とその連結の強化をめざして、さいたま市、埼玉県、そして日本の救命率の向上を目指すこと、それがわたしたちのNPOの使命と考えております。
みなさまが勇気をもって現場で行動してくれた大切な生命を引き継ぐ救急隊や病院の医師や看護師には、さらに高度な救命処置が求められます。救命の連鎖の最後の輪である「二次救命処置と心拍再開後の集中治療」も心停止を起こした方が救命のみならず社会復帰を果たして日常生活を取り戻すために大切な内容です。また、病院を含む医療関連施設でも突然の心停止は起きることであり、その予防と対応は患者安全医療として求められていることでもあります。
しかし実際には、救命に携わる可能性が高い医療者であっても、このような学習に参加ができる機会は限られています。私たちのNPOでは市民の方との連携を意識したこの4つ目の輪に相当する学習の機会を、日本救急医学会やアメリカ心臓協会の資格付与ができる医療者向けトレーニングコースとして提供しております。医療職ごとに受講できる内容は異なりますが、広く受け入れておりますので、希望がございましたらぜひ受講を検討、お問い合わせください。
活動内容の詳細、実績について
特例認定NPO法人つなぐいのちの輪バイタルネットジャパンは、以下の講習会や啓発イベントをを提供しております。講習会の詳細や予定は弊会のホームページよりご確認ください。
・PUSH講習会
さいたま市立中央図書館:毎月1回 さいたま市教育委員会共催
さいたま市立公民館市民講座:2月ごとに1回 さいたま市教育委員会共催
健康ハートの日 救命啓発セミナー:毎年8月10日頃 鉄道博物館協力
たまサポ/彩の子ネットワーク:毎年8月 埼玉県県民活動総合センター(伊奈町)
World Restart A Heart Day:毎月10月16日頃
さいたまPUSH指導者養成講習会:年に1-2回を予定
・日本救急医学会 ICLS講習会:毎月2回
・アメリカ心臓協会講習会
HeartSaver CPR/AED ファーストエイドコース:2か月ごとに1回 NPO愛宕救急医療研究会共催
BLS/ACLS/PALS/ACLS-EPコース:不定期開催
各インストラクターコース:不定期開催
その他、大学の救命に関する授業や、小中学校の命の授業、幼稚園や保育園、病院や企業などの各施設から依頼に合わせた講習会も提供しております。
依頼講習会のお問い合わせもお待ちしておりますのでご連絡ください。
代表者メッセージ
公益財団法人日本AED財団の「減らせ突然死プロジェクト委員」の一人として、急病や突然の心停止が起きても、子供たちも参加しながら市民の皆さまと医療者が一緒になって、円滑で強固な救命の連鎖を築き、1人でも多くの方が救命される安全で安心な施設やまちづくりを目指して、NPO法人つなぐいのちの輪:バイタルネットジャパンを設立いたしました。
おかげさまで、弊会は令和7年3月28日に特例認定NPOの承認を頂きました。
今まで同様に皆さまに参加および指導がいただける救急、救命講習会を開催しながら、必要として頂ける活動を引き続き広げていきたいと考えておりますので、あたたかいご支援を賜れますよう宜しくお願い申し上げます。
寄付金の使い道について
ご紹介しました市民および医療者の講習会で必要となる会場費や機材の購入および新調、指導する参加者の交通費や、ホームページや通信料などの事務局関連の維持管理費、人件費などを中心に充てさせて頂き、皆さまが必要な時、利用したい時に参加がしやすい学習の機会を1回でも多く充実させてまいりたいと考えております。
弊会は令和7年3月28日に特例認定NPOの承認を頂きましたので、寄付金は皆さまの個人県民税や所得税の控除の対象となります。寄付金税額控除額につきましては、お住いの都道府県または市町村のホームページをご確認ください。
今まで同様に今後ともこのような活動を継続していくためにも、皆さまからの寄付金によりますあたたかいご支援につきまして、どうぞよろしくお願い申し上げます。
埼玉県にお住まいの方は次のホームページをご参照ください。寄附金税制(埼玉県指定NPO法人に対するもの) - 埼玉県
※この寄附金を寄附金税額控除の控除対象寄附金として条例で指定している地方団体に寄附金を支払った年の翌年の1月1日現在お住まいの方は、確定申告書を所轄の税務署へ(個人住民税の寄附金税額控除の適用のみを受けようとする場合は「道府県民税・市町村民税 寄附金税額控除申請書」をお住いの市町村へ)提出することにより、所得税の寄附金控除及び住民税の寄附金税額控除の双方の適用を受けられます。
(注1)所得税の寄附金控除及び住民税の寄附金税額控除の双方の適用を受けようとする場合は、所得税の確定申告書の提出が必要です。確定申告書に本証明書を添付し、住民税の寄附金税額控除の適用を受けられます。
(注2)所得税の確定申告書を提出しない給与所得者又は年金所得者で、住民税の寄附金税額控除の適用のみを受けようとする場合は、「道府県民税・市町村民税 寄附金税額控除申請書」に必要事項を記載の上、寄附金を支払った年の翌年の1月1日現在お住いの市区町村へ申告してください。
国税庁のホームページもご参照ください。寄附金を支出したとき|国税庁