コミュニティワーク研究実践センターとは
平成20年より、困難を抱える若者の働く体験の場(収入を得る)作りを札幌ワーカーズという任意団体を立上げ実施、また、暮らし作りも視野に置いた田舎暮らしの実験事業を月形プロジェクトとして展開してきました。
これらの取り組みを実施する中で、彼らが就労に結びつかない原因は彼らだけの課題ではなく、地域コミュニティ(地縁だけではない、様々な地域活動)をいかに再生するかが課題であるとの認識を強め、対象をこども・若者・市民と広げ、また、取り組みを仕事・生活・活動の幅広い範囲で実践を行っていく法人を立ち上げました。現在は、札幌市や空知地域で生活困窮者自立支援制度の基づく事業や住宅セーフティネット制度に基づく居住支援法人として活動しています。
活動の背景、社会課題について
コロナ禍終了前の2022年11月から、大学生・専門学校生・高校生が家族関係(家族からDV等)や家庭環境(ストーブを使えない、洗濯機が使えないなどの貧困等)を背景にした、緊急避難の相談があり、受け入れをしてきました。2024年2月から学校に通い続けること、学校に通いながら、卒業まで安心して暮らすことができようサポートするため、学生向けの緊急避難スペースを設置(2部屋)し、活動を開始しました。2024年2月~2026年2月末までの間に、63名の学生からの相談があり、受け入れを行ってきました。
大学生や専門学校生などへの支援体制は、まだまだ不十分です。特に生活保護など公的なサポートが届きづらい現状があります。また、親が学費を払っている学生も多く、奨学金を活用するのにもかなりの時間がかかります。自宅から離れようと、アパートを借りるにも入居費用や家具家電を揃えるお金などが必要になります。緊急避難スペースが無ければ、家族からの暴力や暴言、金銭搾取などなどに耐えながら、自宅で生活をしなければなりません。自身を守るため、学校を辞めざるえない学生も多くいます。学校関係者はそのことを把握していますが、退学理由が「家族関係」になることはなく、行政等へその声が届かないという現状があります。
2025年度の活動について
①どうして、大学生や専門学校生になってから利用するのか? 大学生や専門学校生になり、突然、家族から暴力や暴言を受け始めたという学生は一人もいませんでした。問題は子どもの頃から発生しており、中学や高校の先生に相談している学生がほとんどでした。私たちの実施した学校関係者向けヒアリングでは、児童相談所への通報は学校としても、余程の覚悟を持って行うという声もあり、教育と児童相談所との「距離」は、まだ遠いのかもしれません。
②学生向けユースサポートハウスの相談者数 当初は15名を想定していましたが、37名の学生から相談を受けました。大学生や専門学校生だけでなく、児童相談所の支援を受けたくない18歳の高校生からも数多く相談が寄せられました。 37名中11名が、学生向けユースサポートハウスの利用を開始し、延べ467泊の利用がありました。現在、部屋数が2部屋しかなく、相談に来ても待機をお願いすることが今年度は何度もありました。

③学生向けユースサポートハウスではどんな支援をするのか? 学生向けユースサポートハウスは大きく2つの機能があります。1つ目は3カ月程度滞在できる緊急避難スペース、2つ目は学校を卒業するまで滞在できるお部屋です。

毎週火曜日に本人の希望する食材を、スタッフが購入して無償でお渡しします。食材の他、洗剤、シャンプー、歯ブラシ、ティッシュなど生活用品もお渡しています。また、衣類や下着、靴などが無い方には、スタッフと一緒に購入しに行きます。

利用開始時にはお部屋を案内した後、利用の説明をさせて頂きます。その際、現在の状況や奨学金の利用状況、アルバイトの状況なども確認します。行政向けの手続きや必要に応じて学校との調整なども行います。所持金がほとんど無い方もいるため、通学費やアルバイト先までの交通費などを援助し、収入を確保できるよう応援します。

私どもの団体では、生活困窮者自立支援制度に基づく事業なども行っており、すぐに働くことが難しい方の支援などもしています。就労支援のノウハウを活かし、アルバイトをした経験が無い学生さんやすぐに働くことに自信の無い学生には、共用部の清掃や部屋の掃除などをお手伝い頂き、少しではありますが謝金をお渡します。仕事の体験をしながら少しだけ生活費(お小遣い)を稼ぎながら、アルバイトが出来るようになるためのサポートもしています。

学生向けユースサポートハウスの緊急避難スペースを利用しながら、徐々に家族関係が回復し自宅に戻る学生さんもいらっしゃいます。一方で、家族関係を断ち、学校卒業まで、学生向けユースサポートハウスを利用する方や転居先を決めて、アパートや学生寮に転居する方もいらっしゃいます。学生向けユースサポートハウス卒業後、顔を出してくれる方もいらっしゃいます。
学生向けユースサポートハウスを利用したKくんの声
激動の半年でした。命の危険を覚えて家出を決意したのはいいものの、それを支えてくれる方々がいなければどれも上手く事態は動きませんでした。生活困窮者の相談窓口を紹介されたのちコミュニティワーク研究実践センターに繋いでいただき、学生緊急避難スペースを利用させていただきました。思えばここでの生活がなければ今後生きる上での準備はできませんでした。住居はもちろん、食品や交通費の支援もいただきながら、行政の手続きについての助言もいただいて生活基盤を無事整えることができました。周囲の人の手助けあってこそ頼ることができたので、自分一人で悩まないことが大切だと痛感しました。人生の恩人としてこれからも応援していきたいと思います。本当にありがとうございました。
寄付金の使い道について
〇学校やアルバイト先までの交通費(実費分・定期代の支給)
〇学校での食事代やお弁当箱、教科書等の購入費用
〇身なりを整えるための購入費用
〇衣類や下着、生理用品等を購入する費用(女性が多いため)
〇学生向けユースサポートハウスを維持・増室するための家賃・光熱水費・家具家電を購入するための費用
〇学生向けユースサポートハウスを利用した学生の食事・日用品を提供するための費用
〇その他、必要な費用



