アースバッグ工法という、地球上どこにでもある「土」を主材にした次世代建築工法をご存知ですか?
私たちはこの工法が『持続可能な未来をつくる一つの手段』になるのではないかと、10年前より国内での普及活動を行っております。
今回10月10日より着工するプロジェクトでは、インドのブッタガヤにて『祈りの塔』を土の工法(アースバッグ工法)で制作します。
そこには家も無く、手に職の無い人たちも多く暮らしています。これらを解決する手段として、アースバッグ工法=『新しい土の家』が「家や職」を与える術となり、インドの人たちの暮らしがより快適で豊かになることにつながるプロジェクトです。
はじめに
今回のプロジェクトでは、従来の建物を作る体制や手順、「施主と作り手」という概念をやめて、新しい『クニヅクリ』の第一歩として「みんなで」祈りの塔を作ります。
「お金があって発展するのではなく、想いがあって発展する。」
"想い"を大切にしたプロジェクトである。と自分は思っています。
身銭を切ってでも参加する覚悟はありますが、10年間活動を続けていてもまだまだお金がついてきているとは言えず、「お金と想い」のバランスをまだ取れずにいます。
インドは人件費は安いけれど、物価は日本と変わらず、モノを作るには長期間の滞在が必要になるため、活動費や滞在費、生活費として30万円(期間は1ヶ月ほど)が必要です。
今後も持続的に活動して行きたい為に、今回は「支援を募る」という形をとりました。
皆さんから集めたお金という『エネルギー』を、”祈りの塔”を遂行させる『エネルギー』として循環させていければと思っています。
アースバッグ工法を伝える活動が継続できれば『手に職を、皆に家を』与えられ、アースバッグハウスが建ち、おとぎのような暮らしが日常になる。地震の無い国"インド"ではお城のようなアースバッグも建つのでは?そんな未来も思い描いています。
このプロジェクトの経緯や想いを綴っているので是非読んでみてください。
「海外でも作ってみたいんだ」、そんな一言からあっという間に始まった。
それは屋久島でのアースバッグプロジェクト中、久しぶりに再開した友人と話していた何気ない会話。
10年前に協会を立ち上げ、アメリカ式のアースバッグ工法を日本の伝統技術や風土に合うように幾度も改良を重ねてきた。
発足当初は雨漏りや湿気の問題などもあったが、今ではアースバッグ工法を用いた宿泊所もオープンし、一般的な生活水準を満たすレベルの『土の空間』を作れるようになった。
今年で11年目となり、できるだけ自然素材を使うことや、大地にやさしい基礎づくり等、新しい取り組みも始まっている。
世界各国でアースバッグハウスが製作されているが、日本のレベルは世界でもトップではないかと感じている。それは日本には暮らしの中に"土"の文化や技術がある事。そして、日本には四季があり、寒い暑い乾燥湿気などの過酷な環境に対処する必要がある事。
10年の試行錯誤を経て、確立した技術は世界のどこでも通用する。
11年目の今年、海外で新しいチャレンジをしたい。漠然とそんなイメージがあった。
他にも海外の話もあったのだが、実際に「つくる」までは結びつかなかった。
今回は友人との会話の中のふと話した一言で始まり、その半年後にはプロジェクトが始まるというスピード感。これはもう自然に「やる」流れが始まっていた。
しかし、初めての海外の舞台が『インド』とは、考えもしていなかった。
インドにアースバッグ工法は実際どうなのか?
「道具や材料は現地で揃うのだろうか?」そんな漠然とした不安もあったが、
インドでのリサーチが始めてみると、すぐにインドとアースバッグ工法の相性がバッチリな事がわかってきた。
そして、その理由がインドで"やるべき理由"とも繋がってきた。
その一つとして、
インドの人たちはもともと『土の家』で暮らしていた。
「暮らしている」ではなく、「暮らしていた」なのは、現在は多くの人がレンガやコンクリートの家に住むようになってきているからだ。
インドの長い雨季によって『土の家』は崩れてしまうらしく、『土の家』=貧しい人が住む家という認識のようだ。
しかし、レンガやコンクリートの家は暑く、『土の家』の方が涼しかったという声も多くあり、激しい雨や風、雨季と乾季を繰り返す気候のこの土地の「家」の問題は大きい。
インドで言う『土の家』とは"本当に"土だけでできた壁にトタンや木材で屋根がついたもの。
これがアースバッグ工法でできた『new土の家』に変われば、
激しい雨で家が崩れてしまうこともなく、ドーム形状にすれば激しい風で屋根が吹き飛ぶこともない。
しかし、レンガやコンクリートの家は暑く、『土の家』の方が涼しかったという声も多くあり、
激しい雨や風、雨季と乾季を繰り返す気候のこの土地の「家」の問題は大きい。
インドで言う『土の家』とは"本当に"土だけでできた壁にトタンや木材で屋根がついたもの。
これがアースバッグ工法でできた『new土の家』に変われば、
激しい雨で家が崩れてしまうこともなく、ドーム形状にすれば激しい風で屋根が吹き飛ぶこともない。
二つ目に、
インドのモノづくりはとにかく「人の手」で作っている。
アースバッグ工法はローテクニック。必要なのはシンプルな道具や資材、必要なのはマンパワー。
インドの工事現場の様子をみさせてもらうと、道具はシンプル、たくさん人がいて「人力」が主戦力。これはまさにアースバッグの現場と同じような体制だ。
実際、現地の人に聞いてみても「とにかく人の手はあるよ」とのことで、
「人の手」があることが重要なアースバッグ工法にはなんともぴったりな場所だと思った。
三つ目に、
インドにはアースバッグ工法に使用する資材が揃っていた。
まずは土。インドの土はまさに赤土。見た目から鮮やかなオレンジ色だ。
粘性度の高い土は消石灰との相性がよく、セメントを使わない施工が可能になる。
次にロングチューブ(混合土を詰める長い袋)。
ここ数年はプラスチック素材ではなく、ジュート(黄麻)素材を採用し始めているのだが、そのジュートの原産国はインド。
隣町のコルカタに行ったらジュート工場も多く、素材の入手が可能だろうとのことで、現在袋状に縫ってくれる場所を探しているところだ。
他にアースバッグに使用するのはスコップや一輪車、バケツ等々なので
大抵のものはインドの工事現場にもあり、当初の道具が集まるだろうかという心配は難なくクリアした。
今回の製作地、それはブッタが悟りを開いたあの聖地『ブッタガヤ』にて
プロジェクトを行うのはインドの『ブッタガヤ』
ここはブッタが菩提樹の下で悟りを開いた地とされ、仏教発祥の地とされている。
今でも多くの巡礼者が訪れる場所だが、学校に通えない子どもたち、職のない人たち、家のない人たちもおり、町には貧困も目立つ。
プロジェクト実行の地をを提供してくれるのは、教育が行き届かないカースト制度の低い子供達の為に無償で教育の場を提供しているアヌープさんと夕子さん。食事も十分に摂ることが難しい子どもたちへ教育だけでなく、無償で給食や制服、教材も提供している。
アヌープさんは次なる構想として、人々が快適な住まいで暮らし、手に職をつけてもらうことをイメージしている。その手段として選んだのが「アースバッグ工法」だったということなのだ。
日本で培ったアースバッグ工法の技術をインドの人たちに普及することで、国境を超えて人と繋がり、崩れない『new土の家』が建ち、アースバッグ工法を覚えた人はそれを「職」にすることもできる。
『土の家』の概念が変わり、インドの人たちの生活を変える可能性をこのプロジェクトは秘めている。
なぜ『祈りの塔』なのか?
冒頭にも書いたように今回は通常の工事で行われるような"立場"のない制作現場となる。
施主や作り手という立場がなく、全員が"クリエイター"として参加する。
『お金』ありきではなく、『想い』で作り上げていくプロジェクトである。
ワクワクする気持ち、何かを成し遂げたいという熱い気持ち、誰かのためにという優しい気持ち、そんな目には見えないエネルギーが源となる。
アースバッグの現場をやっていると目に見えないエネルギーを感じることは多い。
例えば、アースバッグを建てる時に『アースバッグ自身が土地を選ぶ』という事ということを何度も経験してきた。言葉を反対にして『土地がアースバッグを受け入れる』とも取れる。
アースバッグ自身が「ここに建ちたい」と思う場所にはあっという間に話が進み、自然と「やる」流れになり、逆にオーナーの想いとは裏腹に「なぜか」進まずに、気づけば話がなくなってしまった。なんてこともある。
人の想い、アースバッグの想い、土地の想い、そんな目に見えないエネルギーが物事を動かしている。
だからこそ、神聖なこの土地ではじめに建てるのが『祈りの塔』というのは自分の中でもしっくりきている。
集めたお金の使い方
今回ご支援いただいた資金はインドでの活動費、移動費用、滞在費用に充てさせていただきます。この資金は準備〜プロジェクト立ち上げまでのおよそ1ヶ月の活動資金となります。
実際完成までには3ヶ月を目標としており、100%を超えてご支援が集まった時には完成まで携わる活動資金へ、滞在の期間を延長していきます。(2ヶ月で60万円、3ヶ月で90万円)
本当は身銭を切ってでもいきたいところですが、国内でのアースバッグ工法の普及活動も含めて、建築故にかかる費用が大きいこともあり、活動にはまだまだお金がついてこない状況です。
今後も持続して活動を続けていくために、皆さんからの「支援」を集めさせていただく形をとらせていただいています。
また、10万円以上のご支援をいただいた方には、お礼ができたらと考えております。(デザイナーKOHJI KOZAKAIよりハガキサイズの絵をプレゼントします♪)
皆さんから集めたお金という『エネルギー』を、インドで”祈りの塔”を遂行させる『エネルギー』として循環させていければと思っています。
日本アースバッグ協会では「自分たちの理想の暮らしを自分たちでつくる」という理念のもと、活動を行っております。
頭の中で思い描いた「いいな」を、自分たちで現実化するお手伝いが、国内にとどまらず、海外でもできれば幸いです。
応援のほど、よろしくお願いいたします。
ASKAプロジェクトについて
祈りの塔に至った経緯等、プロジェクト全体のクラウドファンディングも公開されています。
詳細はhttps://india-opening.hp.perai...からご確認いただけます。