日頃より風テラスを応援していただきまして、ありがとうございます!
年末も近づいてきましたが、みなさまいかがお過ごしでしょうか?
11月の活動報告を、お届けします!
「60分フリー」開催中!

風テラスでは、毎月「60分フリー」という当事者の居場所づくりの取り組みを行っています。以前は月一回の開催だったものが、最近は月2回開催し、力を入れて取り組んでいる活動の一つです。
そこで今回は、
「『60分フリー』ってどんな取り組み?」
「実際どんな雰囲気なの?」
といった疑問にお答えしながら、「60分フリー」の中身や大切にしていることを紹介していきます。
「相談」と聞くと少し身構えてしまう方もいるかもしれませんが、「60分フリー」はもっと気軽に、もっとラフに立ち寄れる時間。この記事を通して、その空気感が少しでも伝われば嬉しいです。
そもそも「60分フリー」ってどんな取り組み?
「60分フリー」は、オンラインミーティング機能を使って行っている取り組みです。決まったテーマや議題はなく、参加した当事者が、日々の出来事や最近感じていることなどを自由に話します。
この場で大切にしているルールは、「聞きっぱなし、話しっぱなし」。
アドバイスをしたり、結論を出したりする必要はありません。
誰かの話を評価したり、正解を探したりせず、ただ語ってもいい、ただ聞いていてもいい。
安心して言葉を置いていける場づくりを心がけています。
この業界では、同じ立場の人同士で横のつながりを作ることが、なかなか簡単ではありません。
だからこそ、60分フリーのような場を通して、
「自分だけじゃないんだ」
「同じような思いを抱えている人がいるんだ」
と感じられること自体に、大きな意味があると考えてます。
また、参加は源氏名でOK。顔出しもしなくて大丈夫です。
プライバシーが守られた環境だからこそ、無理のない距離感で参加することができます。
話したくなったら話す、今日は聞くだけでもいい。
それぞれが自分のペースで過ごせるのも、60分フリーの特徴です。
実際の雰囲気は?
参加者数は毎回さまざまですが、多いときで7〜8人、少ないときは2〜3人ほどです。
人数や参加者の顔ぶれによって、その回ごとの空気感が変わるのは正直なところですが、それも含めて60分フリーの特徴だと感じています。
どの回でも共通して聞かれるのが、
「自分だけじゃないと知れてよかった」
という声です。
似たような悩みを抱えている人の話を聞いて共感したり、「それ、私もあった」とうなずいたりする時間が自然と生まれています。
話題は、最近もやもやしていることや悩みごとといった少し重たい内容から、最近癒された出来事やちょっと嬉しかったことなど、明るい話までさまざまです。
他の参加者の話をきっかけに、「自分も同じような経験があった」「こうやって対処したことがある」と、自分の言葉が重なっていく場面も多く見られます。
もちろん、考え方や感じ方が違うこともあります。
それでも、誰かの意見を否定することなく、最後まで耳を傾ける姿勢が自然に共有されているのが、この場の心地よさにつながっているように思います。
回数を重ねるごとに、参加者が少しずつその場に安心感を覚えていく様子がうかがえるのも、60分フリーの大切な変化のひとつです。
「また来てもいい場所」として、この時間が積み重なっていることを感じています。
これからについて
60分フリーを月2回開催にしたのは、より多くの当事者の方が参加しやすくなるよう、スケジュールを見直したことがきっかけでした。
「この日は都合が合わなかった」「もう少し選択肢があれば参加しやすい」という声も踏まえながら、無理のない形で回数を増やしています。
60分フリーは、特別なことをしなくてもいい場所です。
話してもいいし、聞いているだけでもいい。
何かを決めなくても、前に進まなくてもいい。
ただ、ほっと一息つける時間であることを大切にしています。
今後も、参加してくれた人たちの声やその場の空気を大事にしながら、
「安心して戻ってこられる場」
「一人じゃないと感じられる時間」
として、60分フリーを少しずつ進化させていきたいと考えています。
■12月は寄付月間です!~風テラスを支える継続寄付のお願い~
12月は「寄付月間」です。この機会に、困難を抱える夜職の方々を支援する風テラスの活動への継続的なご支援を、心よりお願いいたします。
活動報告でご紹介させていただいている風テラスの様々な活動は、皆さまからのご寄付で成り立っています。これからも、風俗で働く女性の支援を続けるためには、安定した運営基盤が必要です。
特に、継続寄付は、私たちが持続可能な支援を提供するための大きな力となります。
また年の瀬が近づくにつれ、孤立や生活困窮などから、緊急性の高い「助けてください」という相談が増加する傾向にあります。
現在、活動資金が不足しており、途切れない支援体制を維持するため、皆さまの温かい応援が不可欠です。
皆さまの継続的なご支援が、困難を抱えている風俗で働く女性のセーフティネットを守ります。
どうか皆さま、風テラスを支えてください!
風テラスの寄付について詳しくはこちら
■夜の世界のトピック:風営法改正をどう見るかー支援現場からの視点ー

今月から、月次活動報告の中で「業界のホットトピック」を取り上げる企画を始めます。
第1回となる今回は、2025年に行われた風営法改正についてです。
ニュースや解説記事では、制度の変更点が中心に語られることが多い一方で、
「実際に現場で何が起きているのか」
「当事者の生活や気持ちに、、どんな影響があるのか」
は、なかなか見えにくい部分でもあります。
そこで今回は、風テラス理事長であり支援現場を見続けている弁護士の徳田さんから、現場の感覚を交えたコメントをいただき、その内容を参考にしながら整理・紹介します。
制度改正の背景と、注目されたポイント
今回の風営法改正は、悪質なホストやスカウトの問題が社会的に注目されたことをきっかけに進められたものです。
性風俗業界に直接関係する点としては、
風俗店にキャストを紹介した際、その対価を紹介者や第三者に支払う、いわゆる「スカウトバック」が禁止されました。
一方で、この規制は性風俗店が対象であり、キャバクラやホストクラブなどの接待飲食店営業は対象外となっています。
また、キャバクラやホストクラブでは一定の条件下で「色恋営業」が禁止されましたが、性風俗はこの規制の対象には含まれていません。
制度を細かく見ていくと、業態ごとに扱いが分かれていることが分かります。
支援現場で感じている変化
徳田さんが現場で感じている変化のひとつが、ホストに関する相談の増加です。
メディアでホスト問題が繰り返し報道されるようになったことで、
「自分が置かれている状況はおかしいのかもしれない」
と気づき、相談につながる人が増えてきているといいます。
料金の虚偽説明の禁止や、注文していないドリンクの提供禁止など、今回の改正によって消費者保護が強化された点には一定の意味がある、
色恋営業の規制についても、評価できる部分はあると感じているそうです。
法律では扱われにくい「女性が抱える問題」
一方で、徳田さんが強く感じているのは、
「今回の改正では、女性が抱えている問題そのものには、十分に光が当たっていないのではないか」という点です。
問題の本質は、
女性が抱える不安や孤立、しんどさに乗じて、不当に金銭を得る構造
にあります。
例えば、
・風俗で働いていることを打ち明けられる場所が、ホストクラブしかなかった
・日常の不安や不満に寄り添ってくれる存在が、担当ホストだけだった
こうした状況がある限り、たとえ「ホスト」や「売掛」という形が規制されても、
問題は「推し」や「投げ銭」など、別の形に姿を変えて残り続ける可能性があります。
だからこそ、支援現場で大切にしていること
風テラスの支援現場では、
相談者の「今」、つまりそのときの気持ちや状態を受け止めることを何より大切にしています。
法律が整備されることと同時に、
「安心して話せる場があること」
「孤立しなくていい関係があること」
その両方があってこそ、当事者の生きづらさは少しずつ和らいでいくのではないでしょうか。
風テラスは、この「安心して話せる場」「孤立しなくていい関係」を大切にして、困難を抱える女性のセーフティネットを守り続けていきたいと考えています。
今回の業界トピック解説、いかがだったでしょうか。
本記事では、風テラス理事長であり弁護士の徳田さんからいただいたコメントを参考に、支援現場の視点から風営法改正について整理しました。
今後も、制度の動きだけでなく、現場で感じられていることや声を伝えていけたらと思います。
■新潟市役所主催の市職員向け研修に登壇しました!

このたび、新潟市役所により主催された「女性相談」に関わる新潟市職員の皆様向けの研修に、風テラスのメンバーが登壇しました。
研修では、夜職に携わる女性が直面する課題についての解説や、風テラスの取り組みの紹介を行いました。参加者の皆様には、風俗業界で働く女性が抱える困難を具体的に理解していただくとともに、支援のあり方について考える機会として、グループワークにも積極的にご参加いただきました。
市役所の皆様それぞれの専門性を活かした意見交換が行われ、実践的な視点から支援策を検討する貴重な時間となりました。
新潟市役所の皆様に風テラスの活動を知っていただき、また、困難を抱える女性への理解を深めていただけたことを、私たち一同大変嬉しく思っております。
風テラスでは今後も、こうした機会を通じて自治体との連携を深め、一人でも多くの方々に支援の輪を広げていけるよう努めてまいります!
■11月の相談の傾向と件数
11月は累計387名(新規64/継続323名)のご相談に対応しました。
〈11月の通常相談内訳より〉※いずれも延べ件数
・店舗トラブル 49件(先月68件)
・誹謗中傷 16件(先月11件)
・借金 31件(先月16件)
・次の仕事を探したい 40件(先月28件)
・気持ちを聞いて欲しい 73件(先月83件)
11月も、借金による自己破産や税金支払いの相談をはじめ、様々なご相談が寄せられました。
そして大阪府43件、愛知県39件、静岡県24件、北海道・沖縄17件など、11月も全国から多くの相談をいただきました。相談者である夜職で働く女性の方々が、安心して年の瀬を迎えられることを切に願っています。
全国各地の相談者に、こうした様々な支援を途切れることなく提供できるのも、ひとえに皆さまのあたたかいご寄付のおかげであり、心から感謝申し上げます。
皆さまのご寄付により再開が実現した対面による相談会は、次回12月22日(月) 14時~16時に東京都豊島区にて開催予定です。
■スタッフメッセージ
4回目となる、スタッフメッセージリレー。今回は、プロボノのひかるさんに執筆していただきました。

~~スタッフメッセージvol.4 ひかるさん(プロボノ)~~
看護師として働いていましたが、沖縄の夜の世界で働く母を描いた「遠いところ」という映画を見て、全ての人の生活を支えるような仕事がしたいと思い、現在は大学院の保健師コースで勉強しながら風テラスでプロボノとして活動させてもらっています。
風テラスでは、SNSの運営、自助グループ活動(女の子たちの60分フリー)、休眠預金事業に携わっています。「やりたい!」と思ったことに、皆様耳を傾けて背中を押してくださるので、とても楽しく活動しています。夜の世界で働く方々の声を聞き、もっと考えなくてはいけないことがたくさんあるなぁと日々感じているので、その方々のためになれるよう、微力ながら頑張っていきたいです。
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今回の活動報告では、「60分フリー」や風営法改正を取り上げ、当事者の声や支援現場から見えてきたことを共有しました。
どんなときも、目の前の一人が感じている「今」を大切にしながら、風テラスは活動を続けています。
2025年は、多くの方の理解と支えのもと、さまざまな出会いや対話を重ねる一年となりました。
2026年も、ほっと安心できる場をつくり続けること、そして一人じゃないと感じられる関係を広げていくことを大切に、歩みを進めていきます。
今後とも、風テラスの活動を見守っていただけましたら幸いです。
(インターン・前田)

