(インタビューに答えてくださったつかささん)
ちひろ:「女の子たちの60分フリー」が始まった経緯を教えてください。
つかさ:2022年に、勤務先で依存症の自助グループをしていたプロボノさんをきっかけに、風俗で働く方々の自助グループを風テラスではじめる案が出ました。そして、私を含め何人かで2022年夏に活動をスタートしました。
現在のLINEグループの形になるまでには、参加者の顔が見えるようにZOOMを使ったり、女の子たちが気軽に参加できるようにTwittert(現X)のスペースで情報共有をメインにしてみたり…いろいろな試行錯誤がありました。
ちひろ:次につかささんが考える風テラスにおける「自助グループ」の意義を教えて下さい。
つかさ:自助グループをオンラインで持つこと自体、画期的で新しい活動だという声を様々な方から頂いています。自助グループでは、当事者が自由に発信し、お互いに元気づけられていくような横の繋がりが出来ていきます。
女の子たちの60分フリーでは、社会から隠れている女の子たちが自由に今の思いや出来事を話しています。そして、それを聞いていた人が自分を振り返り、「つらい」「悲しい」といった気持ちを言語化する時があります。
また、同じ経験や似た環境にいる人の言葉を聞いたからこそ、この先真っ暗だと思っていた人が「もう少し頑張ろう」等と気持ちが変化することもあると思います。
SNS上でも風俗で働く女の子たちが共感できるような言葉や情報が沢山ありますが、実際の声が聞けることや支援団体が運営していることで、信頼できる安全な場所を提供できるのも風テラスで自助グループをする良いところだと思っています。
ちひろ:活動の今後のビジョンや課題があれば教えて下さい。
つかさ:「SNS上の居場所・自助グループ」は、最近聞くようになってきていると感じます。必要とされているなら続けていきたいです。今後は、当事者同士が更に自発的に会話できるように工夫していきたいです。
9月も『女の子たちの60分フリー』が開催されました。初めての方や、聞くだけの方も含めて8人が参加しました。好きなおでんの具から「風俗の仕事をいつまで続ける?」など将来の不安や夢まで幅広く、それぞれの思うことを自由に共有しました。
次回は、10月19日(土)を予定しています!詳しくはこちら
■9月の相談者数:347件
9月は累計347名のご相談に対応しました。
〈9月の通常相談内訳より〉
・メンタル 106件(先月131件)
・生活困窮・家賃滞納 47件(先月56件)
・税金・確定申告 33件(先月28件)
9月は先月より全体の相談者数が約19%減少しました。
風テラスでは相談をきっかけにキャリアコンサルタントや就労移行支援事業所を紹介する支援もしています。そのことを通して、生活や気持ちが安定し、次のステップへと踏み出す方もいらっしゃいます。
■社会福祉研究に寄稿しました
福祉の現場の実践と研究をつなぐ専門誌『社会福祉研究』 (2024年8月号) に理事長・坂爪真吾が論文を寄稿しました。
特集:社会福祉の研究と実践の明日を探る〜21世紀の社会福祉の到達点と新たな課題〜社会福祉とマイノリティ 「性風俗の世界で孤立・困窮している女性への支援」
⇒『社会福祉研究』(通巻第150号記念号・2024年8月号)の目次はこちら
■にんしんSOSいわてで研修を行いました
テーマ『性風俗と妊娠葛藤相談』
9月7日(土)、盛岡市で行われた 『(社)全国妊娠SOSネットワーク&にんしんSOSいわて 予期しない妊娠への相談対応~現場で役立つ知識を学ぶ~ アドバンス編』の研修で、理事長の坂爪真吾が講師を務めました。
岩手県・秋田県・青森県の助産師・保健師・看護師・女性相談支援員・行政職員・養護教諭等約50名の方が参加しました。
研修では、性風俗で働く方の中に、妊娠葛藤を抱える方が一定数いることから、、夜の世界で働く女性たちが必要な機関に繋がるための支援の必要性を伝えました。研修後は、グループディスカッションの時間を持ち、性風俗で働く女性の背景にある福祉・法律・医療の課題や、女性たちの不安や悩みに寄り添いながら支援するの方法について、地域や職種の垣根を超えて学びを深め合う姿を見ることができました。
風テラスが主催する研修・講演に興味がある方は こちらまでお問い合わせください。
■女性支援新法に関するパネルディスカッションに登壇しました
9月29日(日)、新潟市でにいがた女性会議子どもの人権・子育て支援部会主催で行われたパネルディスカッション『女性支援新法で変わる支援―実効性のあるものにー』に、事務局の米盛が参加しました。
困難な問題を抱える女性の支援に関する法律(女性支援新法)の施行に伴い、各都道府県や政令市等が基本計画の策定を進めています。
その中で実効性がある政策を打ち出していくため、各民間支援団体が集まり、新潟市や新潟県に対して各現場からの意見を出し合いました。
会場には約30名が集まり、風テラスとしては、「性風俗・夜職で働いていることを打ち明けやすい、打ち明けることで不利益を被ることがない自治体窓口であってほしい」「無理な自立を迫られて性風俗で働く人が後を絶たない。まずは『女性の自立とは』について全県、新潟市でビジョンを共有し、官民それぞれの方法で女性の自立をサポートできるようにするべきである」と意見しました。
■東京芸大DOORプログラムに協力しました
9月30日(月)「ケア×アート」をテーマに「多様な人々が共生できる社会」を支える人材を育成する東京芸術大学の履修証明プログラム『DOORプロジェクト』の受講生らと、理事長の坂爪と風テラス相談員の三上早紀弁護士がオンラインで意見交換をしました。
今年度の同プログラムは、東京・鶯谷地域周辺をフィールドに「貧困」をテーマに活動しており、意見交換には、受講生の方や、台東区内の弁護士、司法書士、関係機関の方々が参加しました。
風俗業界や鶯谷、台東区の風俗業の特徴、風テラスが関わっている行政や支援団体等についての質問に答えました。鶯谷地域や台東区に強い関心をお持ちの方が多く、有意義な時間を持つことができました。
■10月30日に活動報告会を開催します!
これまで風テラスに寄付をしてくださった方や風テラスの活動に関心のある方、これから寄付やインターン・プロボノなどの形で関わっていきたい、とお考えの方を対象にしたオンラインの活動報告会を開催いたします。どうぞご参加ください!
詳細・お申し込みはこちら
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少しずつ困難を抱える女性たちへの支援に興味関心が広がり、風テラスも様々なところで情報発信させて頂く機会が増えてきたことを嬉しく思います。
これからも、福祉が行き届くことの難しい女性たちのために精進していきます。
季節の変わり目で体調を崩しやすくなってきました。どうぞお身体に気を付けてお過ごしください。
(プロボノ・八木原知宏)