
ある高校生の変化
「学校で、前より自分の意見が言えるようになった。もっと上手に話せるようになりたい。」
施設で暮らす高校生のケイくんは、JAMネットワークの高校生向けプログラムを修了したあと、自分のアンケートにそう書いた。
プログラムの中でピザづくりに挑戦したことが、もう一つの変化につながった。「やっぱり俺はこれで行く」——調理師という夢への確信が生まれ、自分で電車に乗って専門学校の下見に行った。施設を出て、寮生活でのチャレンジを自分で決めた。
でも、こんな変化はまだ、すべての子どもに届いているわけではありません。プログラムに出会えないまま18歳を迎える子どもたちがいます。
ユウキの話は、その一つです。
自分の気持ちを伝えられない、SOSが出せないことで人生が詰む
18歳の春、ユウキは住み慣れた児童養護施設を出た。寮のある就職も決まった。「これで自分の人生が始まる」と思っていた。
3ヶ月後。仕事で大きなミスをした。本当は「やり方がわからない」と言いたかった。でも、言えなかった。「こんなこと聞いたら怒られる」「迷惑をかけたくない」。ずっと一人で抱え込んで、気づいたときには取り返しがつかなくなっていた。
半年後。職場の先輩に誤解された。本当は違うのに、うまく説明できない。言葉が出てこない。黙っていたら、「反省してない」と思われた。「どうせ誰も、私の話なんて聞いてくれない」ずっとそう思ってきた。
1年後。人間関係がうまくいかない。居場所がない。困っているのに、誰にも「助けて」と言えない。会社に居づらくなって行けなくなった。会社を辞めた。寮も出なければいけなくなった。育った施設にも言えない・・明日からとこで寝泊まりすればいいのか・・・
ユウキに足りなかったのは、「能力」ではない。
『ことばにする経験』だった。声を持てないまま社会に出ることで、誤解・孤立・離職が負のループとなって連鎖します。」
※本文中のユウキは、複数の事例をもとにした架空の人物です。

毎年2,000人が、18歳でひとり社会へ
ユウキさんの話は、特別ではありません。
日本には今、約23,000人の子どもたちが親からの虐待やネグレクトなどが原因で児童養護施設で暮らしています。毎年約2,000人が、18歳でひとり、社会へ踏み出します。そして退所者の約半数が、1年半以内に離職を経験します。
住居付きの仕事を選ぶことが多い児童養護施設出身者にとって仕事を失うことは、住む場所を失うことに直結するのです。
なぜ、声が持てなくなるのか
虐待やネグレクトを受けた子どもは、「自分の気持ちを話しても聞いてもらえない」「話すと怒られる」という経験を繰り返します。その結果、自分の感情に気づく力とそれを言葉にする力が、育つ機会を失ってしまいます。これは本人の「能力」の問題ではなく、安心して声を出せる環境がなかったという「経験の欠如」です。
でも、変えられます
声を持てなかった子が、声を取り戻す。ことばの力は、社会で生き抜く武器です。その瞬間を、私たちは17年間見続けてきました。NPO法人JAMネットワークは、独自のプログラム「ことばキャンプ®」を通じて、子どもたちが自分の気持ちを言葉で伝える力を育てています。「どっちにする?」「気持ちを教えてくれてありがとう。」そんな小さなやりとりの積み重ねが、自己肯定感につながります。
子どもへの直接プログラムと同時に、施設職員の研修も行います。子どもが暮らす施設に「ここでは声を持っていい」という空気が根付けば、子どもは何度でも声を取り戻せます。
それが、社会に繋がり続ける、真の自立への第一歩です。

はじめて、自分の気持ちを話してもいいと思えた
これまで児童養護施設を中心に約5000人の子どもと職員にことばキャンプを届けてきました。自分がどうしたいか?を考え、その気持ちを伝えたときに「受容される」経験をすることで、自分の気持ちを伝えよう、相手の話も聞こう。という思いが生まれてきます。
ことばキャンプはその第一歩を後押しします。
◎ 6回講座を受講したAくん
「うざい」「むかつく」といった暴言や、「わかんない」「なんとなく」といった短い言葉でしか自分を表現できなかったAくんが、最終日に皆の前に立って自分の言葉で気持ちを発表することができました。
◎ 高生向け講座を受講したBさん
「目をみて真剣に聞いてもらえることってとてもうれしい。はじめて自分の気持ちを話してもいいと思えました。」と感想を述べてくれました。
◎ 施設職員Cさん
『この子は発表が苦手だろう』という思い込みが覆されました。子どもは大人が想像する以上の力を持っており、それを引き出す技術の大切さを痛感しました。
親にならなくても、子どもの人生に関われる選択があります
職場で、言いたいことをうまく伝えられず悔しい思いをしたこと。人間関係で、言葉が足りずに誤解されてしまったこと。社会人として、コミュニケーション能力が低いだけで、どれだけ苦労するか。あなたも経験してきたのではないでしょうか。
児童養護施設の運営費は国の補助金でまかなわれていますが、コミュニケーション力の育成のような「外部プログラム」には公費が届きません。施設が自前でこうした取り組みにお金を割くことは、構造的にとても難しいのです。施設の職員は年々入れ替わります。だからこそ、継続的に届け続けることが大切です。職員が変わっても、次の子どもたちにもことばの力が届く環境を、あなたの毎月の支援が支えます。
日本には約600の児童養護施設があります。そのすべての子どもたちに、ことばの力を届けることが私たちの目標です。あなたの支援が、その一歩になります。
あなたの月々のサポートが、子どもたちがことばを取り戻す場の土台を作ります。
【月額プラン】
月500円(1日16円)から始められます。
あなたの継続的なご支援が、認定NPO法人化を目指す「最初の1票」となり、子どもたちの「ことばの力」になります。
・月1,000円:1人の子どもがことばキャンプを体験できます。ケイくんのような変化が、ここから始まります。
・月3,000円:継続的なプログラム提供で、子どもの変化を定着させられます。
・月5,000円:職員研修まで支え、施設全体にことばの文化を届けます。1つの施設の、すべての子どもたちへ届きます。
*マンスリーサポーター特典:お礼状・年次報告書・オンラインことばキャンプ体験・代表とのオンライン座談会
創設メンバー100名限定:キャンペーン期間中のご登録で、会員番号入り特製キーホルダーをお届けします。

代表からのご挨拶
特定非営利活動法人JAMネットワークは、「"ことば力"で幸せを感じる社会へ」をビジョンに掲げ、2003年の創業以来、子どもたちのコミュニケーション能力育成に取り組んでいます。2008年から全国の児童養護施設・里親家庭に独自プログラム「ことばキャンプ®」を届け、17年以上の活動でのべ160施設・約5,000人の子どもと職員に関わり、2020年度に内閣総理大臣賞(「子どもと家族・若者応援団表彰」)を受賞しました。
私は、2016年から講師として現場で多くの子どもたちと向き合ってきました。2024年度より、創業代表の高取しづかからバトンを引き継ぎ、代表に就任いたしました。
私たちの根底にあるのは、『どんな環境に生まれた子どもであっても、自分を認め、幸せになる権利がある』という強い信念です。賞をいただけたことは光栄ですが、何よりの喜びは、人前で一言も話せなかった子が、最後には堂々と自分の思いをプレゼンする姿です。
親でなくていい。でも、子どもの人生に関わりたいという意思を持つあなたに、ぜひ仲間になってほしいのです。あなたの支えが、子どもたちが『声を持つ』ための場をつくり続ける力になります。」

代表 村上好



