
調査結果の概要はこちら
▼【調査報告】記者会見を実施しました(2025夏 子育て家庭アンケート)
(以下、提言全文を掲載)
子育て家庭が2025年の夏を生き延びるための緊急提言について
2025年6月 認定NPO法人キッズドア理事長 渡辺由美子
令和の米騒動とも呼ばれる米の価格高騰をはじめとして、物価高騰は留まるところを知りません。困窮子育て家庭は、大企業正社員を中心とする賃上げの恩恵を受けることなく、物価高騰に耐え続けていますが、今や保護者だけでなく、子どもの心身の健康も危機的な状況となっています。キッズドアでは、緊急のアンケートを実施し、困窮子育て家庭が2025年の夏を生き延びるために必須の支援について、日本社会へと訴えます。
1. 崩壊寸前の食料事情へ緊急の支援
これまでも困窮子育て家庭の食料事情は良いものとはいえず、成長期の子どもが肉や魚が食べられない、保護者が食事を抜くといった状況でした。これ以上食費を削るにも、削りようがないところまで来ていますが、今回はさらに、子どもの食事の質の悪化が約6割の家庭にまで及んでしまいました。
もはや困窮子育て家庭の食料事情は崩壊寸前です。行政は、より積極的な施策を検討してください。例えば、世帯所得が特に低い層に向けては、フードクーポン、学童での無償給食の提供、食料品提供を行う組織等への補助など、この夏困窮子育て家庭が1日3食とることができるために最低限必要な支援をお願いします。
2. 学用品の価格高騰、部活動の地域移行等への対策
物価高騰のため、食料品だけでなく子どもの衣服、靴の費用を支出できない家庭が約9割に達しました。また、学校や部活関係の費用も、もともと多く支出できていない状況ですが、半数の家庭が支出を削っている状況です。
今、部活動の地域移行などで、学校が担ってきた無償や安価での、質の高い教育活動、体験活動が失われつつあります。学校も、働き方改革などを進めなければならないため、昔のように全てを学校の中へ戻すことは現実的ではないかもしれませんが、学校を設置している自治体や学校法人等は、物価高騰がおさまらないことを十分に考慮して対策を検討してください。例えば、学用品や部活動の用具やユニフォーム等の学校備品化、困窮家庭の子ども向けの部活動地域移行にともなう家計補助制度の創設を検討してください。
3. 体験活動、学習支援等への支援
子どもの体験活動、塾等の学習支援について、今回のアンケートでは、体験活動にかける経費を削らざるをえない家庭が8割、塾等の経費については5割に達してしまいました。
子どもの体験活動や学習支援等は、子どもの成長にとって非常に重要な役割を果たします。政府や地方自治体は、子どもの体験活動や学習支援等へこれまで以上に力を入れてください。例えば、無料の学習支援の提供等を積極的に行い、教育格差、体験格差がこれ以上広がらないように取り組んでください。
4. これ以上手取りを減らさない制度設計
アンケートの自由記述回答では、せっかく賃金が数百円上昇したにもかかわらず、社会保障費の値上がりによって結果的に手取りが減ってしまったという声がありました。また、所得が増えると児童扶養手当の対象から外れてしまうため、仕事を増やすことに躊躇する保護者も存在します。
すでにこども家庭庁は、児童扶養手当の所得限度額の引き上げなどを行っていますが、子育て家庭を巡る様々な子ども支援制度、社会保障制度等を今一度改め、児童扶養手当の増額、働き控えにつながらない所得限度基準の運用等を検討してください。ひとり親世帯が、安心して働き、控除や手当を受けることができるよう制度設計を再度行ってください。
5. 子どもに最低限のお小遣いを渡せる生活の実現
今回のアンケートでは、はじめて子どもへのお小遣いについて調査をしました。その結果、困窮子育て家庭は、全国平均と比較して、お小遣いの金額、頻度があまりにも少ないことがわかりました。また、自由回答からは、子どもにお小遣いを十分に渡せないために、子どもが友達から仲間外れにされる、経済状況を理由とした誹謗中傷を受けるなど、友達と一緒に過ごすことができないという声が多数寄せられました。
アンケートによれば、子どもにお小遣いをあげることができない最大の理由は、家庭が経済的に苦しく、子どものお小遣いにまわせるお金がないことでした。困窮子育て家庭には、上記で述べた食料支援、補助制度、控除・手当制度の提供だけでなく、現金給付も必要です。困窮子育て家庭向けの現金給付を早急に実施してください。
6. 困窮子育て家庭と子どもの声を反映した政策の必要性
これまでキッズドアでは2021年から困窮子育て家庭アンケートを年3回程度実施してきました。今回のアンケートからも、困窮子育て家庭の経済状況や生活は悪化しており、改善の見通しが見られない悲惨な状況が伝わってきます。自由記述回答においても、困窮子育て家庭の声が政府や社会に伝わっていないのではないか、という絶望の声が回答され続けています。
政府では、こうした困窮子育て家庭の声にしっかり耳を傾け、政策を検討してください。また、困窮子育て家庭の子どもたちが本当に何を必要としているか、子どもの声を聴き、制度設計をしてください。
以上
◆プロジェクトページTOP
<夏休み緊急食料支援>子どもたちにご飯を届けたい
https://congrant.com/project/kidsdoor/17869
金額30,000円 |
金額50,000円 |
金額100,000円 |
金額300,000円 |
金額500,000円 |
金額1,000,000円 |
金額30,000円 |
金額50,000円 |
金額100,000円 |
金額300,000円 |
金額500,000円 |
金額1,000,000円 |