原爆の図第2部《火》修復の進捗について
5月23日に愛知県立芸術大学の文化財保存修復研究所を訪れ、原爆の図第2部《火》の修復の進捗状況を確認してきました。墨一色の第1部《幽霊》とは異なり、鮮やかな朱色が印象的な作品ですが、絵具の成分の分析調査などを慎重に行いつつ、順調に工程が進んでいる様子でした。被爆80年となる2025年夏には、修復を終えた第2部《火》を丸木美術館で公開できる予定です。
みなさまのご支援により、作品の修復が可能になっています。改めてお礼申し上げます。
丸木美術館では、作品の修復、および美術館建物の改修工事のため、原爆の図保存基金 へのご支援を募集しております。引き続き、応援よろしくお願いいたします。
8月6日ひろしま忌
原爆投下から79年目を迎える今年の8月6日。丸木美術館ひろしま忌は、絵本『ひろしまのピカ』朗読と映画『HELLRIRE:劫火ーヒロシマからの旅』の上映会を行います。
当日、美術館の前庭ではとうろうに絵を描くワークショップ、出店やフリーマーケットなどもあり、多くの人で賑わいます。また、高校生以下は入館無料となります。
たいへんな暑さが予想されますが、ぜひゆっくりと時間を過ごしながら、70年前の広島の惨禍を想い、そして現代における平和の重みを再考する1日にしていけたらと思っています。
当日のプログラムや送迎車についての詳しい情報はこちらでご確認ください。
また、遠方の方など丸木美術館に足を運ぶのが難しい方のために、期間限定で、1953年の映画『原爆の図』(青山通春・今井正監督/約17分)を公開いたします。連合国軍の占領が終わってすぐに撮影され、当時の「原爆の図」制作や全国巡回の様子が記録されているたいへん貴重な映像です。
8月1日から31日までの間一般公開を行っております。ぜひ、こちらからご視聴ください。
現在開催中の企画展:菅亮平 Based on a True Story
7月20日から10月14日の会期で企画展「菅亮平 Based on a True Story」を開催しています。広島平和記念資料館で展示されていた「被爆再現人形」を題材に、菅亮平が取り組むリサーチ・プロジェクトの発表です。
タイトルは「実話に基づいて」という意味です。想像を絶する歴史の断絶と死の記憶を継承する上で、「ドキュメント」と「フィクション」はどのような関係性にあるのか、再考を促す契機になることを企図しています。
会期中にはトークイベントも予定しています。詳しくはこちらをご覧ください。
モスクワスケッチの寄贈とロシアの研究サイト公開
このたび、丸木俊(赤松俊子)が1937-38年と1941年にモスクワで描いたスケッチなど25点が、丸木美術館に寄贈されました。クレムリン宮殿やモスクワの町なみ、人形劇場などが生き生きと描かれています。
また、ロシアの美術史研究者のВиктор Белозёров [Viktor Belozerov] による、ソ連における位里と俊の情報を調査した研究サイトがインターネットに公開されました。
ロシア語 https://syg.ma/@gendaieye/gssSDmLj_dQ6uw
英語 https://syg.ma/@gendaieye/893JqnBmHYJT0g
ソ連メディアにおける位里と俊の報道を中心に、「原爆の図」展の動向や、ロシア国内に現存する位里と俊の作品、ロシアの芸術家たちの表象を詳しくまとめた研究です。
詳しくは公式ウェブサイトのお知らせをお読みください。
例年になく厳しい暑さが続きますが、どうぞお身体にお気をつけて、よい夏をお過ごしください。