困窮の地に暮らす人々に寄り添う
皆さまの温かいご支援のおかげで、NICCOは今年も世界各地の困難な状況に直面している方々へ支援を届けることができました。改めて、いつもNICCOの活動を温かく応援いただき、ありがとうございます。1年を振り返るこの12月に、私たちが行った活動の状況を皆さまへお伝えするとともに、『NICCO冬の募金キャンペーン2025』を呼びかけさせていただきます。
NICCOは、世界中のすべての人が平和で安心して暮らせる世界を作りたいと願い活動をしています。今もなお世界各地で、紛争や自然災害により、これまでの生活が根こそぎ壊され、その中で何とか生活を立て直そうとしている人々が沢山います。NICCOは、そうした方々の元に駆けつけ、彼らが本来持っている力を取り戻せるよう手を差し伸べる活動をしています。
ロシアによるウクライナ侵攻からまもなく4年。ウクライナでは今もなお爆撃に脅かされる生活を余儀なくされており、3人に1人以上が人道支援を必要としています*。またパレスチナ・ガザ地区では、現在停戦に入っているものの、イスラエル軍の攻撃は続いています。これまでに破壊された建物は8割以上にのぼり**、人口の90%が避難民として暮らしています***。栽培可能な残された農地は1.5%にまで減りました****。
あまりの数字に圧倒されるかもしれません。でも、私たちにも今、出来ることがあります。一歩でも寄り添い、少しでも助けになりたい。困難な中にも、少しでも希望を届けたい。私たちは「駆けつける。そばにいる。」を合言葉に、変わらない思いを胸に、1979年の発足から活動を続けています。
*Ukraine 2025 HNRP People in Need and Re-prioritized Planned Reach by Cluster, UNOCHA
**Clearing most of the rubble in the Gaza Strip is possible in seven years under right conditions, Nov20. 2025. UNDP ***UN News issued on 29 July 2025
****Developments in the economy of the Occupied Palestinian Territory, 2025, UNCTAD
NICCOのビジョン、ミッション、ポリシー
ビジョン(NICCOが目指すもの)
人々が貧困と紛争から解放され、地球環境との調和の中で、自己の可能性を十分に実現できる、心と地域の平和の構築
ミッション(NICCOが遂行すべき任務)
- 緊急災害支援
- 環境保全に配慮した自立支援
- 人材育成
ポリシー(NICCOの活動の規範となるもの)
徹底した人道主義に基づき、特定の人権、宗教、政治思想に関わることのない活動
2025年のNICCOの活動
1、紛争、難民
『ガザ人道支援』
2023年10月7日、パレスチナのガザ地区からイスラエルに向けて大量のロケット弾が発射されました。イスラエル軍は、これに応戦してガザ地区を空爆し、以来双方に多数の死傷者が出ています。戦闘はすでに2年以上続き、ガザ地区では依然として厳しい人道危機に陥っています。
私たちNICCOは、昨年に続き、今年もガザ地区で深刻な食料不足に苦しむ人々へ食料配布を行いました。ガザ地区のデール・アル・バラハとハン・ユニスにて、紛争被災者72,310人に対して温かい食事を提供しました。ガザでは1日中食事にありつけないことも少なくないため、「いつもこのホットミールの配給を楽しみに待っている」と大変喜ばれました。

▲配給に集まる人々。配給の時間がわずかな安らぎの時間でした(©ワールド・セントラル・キッチン)
事業の実施にあたっては、現地の提携団体であるワールド・セントラル・キッチン(World Central Kitchen:WCK)と協働して行いました。配布する食事の内容に関しては、現地の人々の声を聞き、栄養が豊富で、現地に馴染みのあるメニュー(例えばレンズ豆のスープやムジャダラと呼ばれるご飯とレンズ豆の料理)を調理し、配布しました。
『ウクナイナ人道支援』
NICCOは、ロシアによるウクライナ侵攻で被災した方々の支援を行うため、2022年より支援活動を実施しています。活動地域は、ウクライナの西南部に位置するオデーサ州イズマイール市です。この地域では、物価の高騰や生活必需品の不足が深刻化し、避難民だけでなく避難民を受け入れる地元住民も困窮した生活を余儀なくされています。また、医薬品や医療器具などの不足により、病院での医療サービスの量的、質的な低下も深刻な問題となっています。
2025年3月から、地域の中核病院であるサフィアニ中央病院への医療用物資を提供する活動を行いました。これにより、この病院を利用する国内避難民と同地域の住民合わせて56,000人がより量、質の改善された医療サービスを受けられる体制を整えました。

▲現地病院へ提供したベッドで治療を受ける患者
NICCOはルーマニア・ブカレストに拠点を置き、タイムリーかつ現地ニーズに即した支援を、現地団体と連携しながら実施しています。
2、自然災害
2025年も世界各地で地震や干ばつなどの様々な自然災害が発生しています。そのような中、NICCOは、軍事クーデターによる非常事態宣言下で発生したミャンマーの地震被災者への支援を行いました。
『ミャンマー地震支援』
NICCOは、2025年3月28日に発生したミャンマー地震被災者の支援を行いました。被害の大きかったマンダレーのシンガイ地域を対象に、生活物資を配布しました。この地域は、他地域からのアクセスが困難でほとんど支援が届いておらず、基本的な日用品も不足し、現地の人々は不安定な生活を余儀なくされていました。
NICCOは、特に支援の必要な世帯1,050世帯(4,338名)を対象に、ビニールシートなどの家屋修繕資材やキッチン用品や衛生用品などを配布することにより、被災者の生活基盤の回復を図りました。

▲電気もなく簡易的な住まいで暮らす被災者。NICCOが配布した蚊帳とマット、ソーラーランプで安心した寝床を確保できました。(安全上の理由から、写真の顔部分はぼかしています)
3、水衛生
2024年時点で世界では4人に1人が安全な水を入手できない状況にいます*。
*Progress on household drinking water, sanitation and hygiene 2000-2024: Special focus on inequalities, UNICEF
『ザンビア水衛生の新事業調査』
ザンビアの首都ルサカでは人口の約7割が上下水道の整っていない低所得地区に暮らしています。不衛生な生活環境では過去に何度もコレラが流行しており、命を脅かすものとなっています。インフラが整わない中では、住民が日常生活の中で衛生的な行動を習慣化していくことが不可欠です。
NICCOは京都大学の原田准教授(NICCO理事)と共に、住民主体の衛生行動を習慣化するための新事業に向けた調査、現地パートナーとの協議を進めています。

▲ザンビアから来日した専門家チームと活発な意見交換を行い、今後の連携強化に向け、交流を深めました。
4、貧困
2024年現在、世界では約8億3900万人が極度の貧困ラインで暮らしています*。サハラ以南アフリカ、特に東部および南部アフリカでは、極度の貧困は依然として高い水準にとどまっています*。
* September 2025 global poverty update from the World Bank: New data and regional classifications
『マラウイ農村自立支援』
マラウイでは、外貨不足や化学肥料の高騰により、農家の貧困や食料不足が深刻化しています。NICCOでは、2008年から7年間、世界各地でエコサントイレ*を活用して「飢餓の起きない村づくり」を目指した村落開発支援事業を実施しました。これらの実績を生かし、NICCOはマラウイにて、来年から新たに150世帯にエコサントイレを建設し、農家の収入向上を目指した事業を開始する予定です。

▲NICCOが建設したエコサントイレ。マラウイではこれまでに1,052基のエコサントイレを建設し、今でも大事に使用され続けています。
ご寄付の使い道
本キャンペーンで寄せられたご寄付は、ウクライナ緊急支援やミャンマー地震支援、マラウイ農村自立支援など、NICCOが活動するすべての地域での活動に大切に活用させていただきます。
税制上の優遇措置について
NICCOは公益社団法人の認定を受けているため、寄付金に対して税の免除措置を受けられます。これにより個人・法人を問わず、会費納入やご寄付に税制上の優遇措置が受けることが可能です。詳しくはこちらをご覧ください。
NICCOの活動を一緒に支えてください。
紛争や自然災害のニュースを聞かない日はないほど、世界では今も多くの人々が困難な状況に置かれています。「私にも、できることがあるかもしれない」その思いを、ぜひ私たちの活動にお寄せください。あなたのご支援は確実に、現地で困難に直面している人々に届き、その人々が前を向く力を支えるものになります。
こうした皆さまからの思いとともに、これからも私たちは歩み続けます。世界中のすべての人が平和で安心して暮らせる世界を目指して。



