活動の背景、社会課題について
▶わが国における男女賃金格差の問題、ジェンダーギャップ指数が118位/146位(2024)であることが示しているように日本は男性優位な社会です。日本でアルコール依存症の専門治療が始まったのは1960年代ですが、治療対象のほとんどが中高年の男性でした。
▶現在、日本には複層的な困難を抱える女性たちが数多く存在しています。しかし、圧倒的なマイノリティであり支援は少ないのが現状です。
▶依存している対象を「止める」ことから、回復は始まるとされてきましたが、社会状況の変化とともに、被害体験がもたらす精神的不調や障害の現れ方も刻々と変化しています。
▶見過ごされてきた発達障害など支援からこぼれ落ちてきた女性の困難は複雑に絡み合い、アディクションを手放すという従来の治療や援助の方法は、重要でありながら同時に女性にとって新たな負荷を生じさせるものとなっています。
▶薬物依存の女性は複層的な困難の中で負のサイクルに陥っています。
活動・団体の紹介
▶NPO法人リカバリーは20年以上、様々な暴力被害を背景に依存症をはじめとするメンタルヘルスの不調や障害などで複層的な困難を抱える女性に対し、住居提供や就労支援などの包括的援助を続けてきました。
▶複雑に絡み合った困難を持つ彼女たちに「最も近い応援団」として寄り添うのがリカバリーです。

寄付金の使い道について
リカバリーは、全国から困難をもつ女性を支援していますが、複層的な困難を抱える彼女たちをサポートするには既存の制度の枠組みでは賄えず、持ち出しの支援を続けてきました。
「彼女たちを支えるための新たなチャレンジやそのチャレンジを持続可能なものとしていく」
そのために、マンスリーサポーターのみなさまからのご支援が大きな力となります。
1.リカバリーにつながる前の女性への支援
- 「いまの状況をなんとかしたい」「変わりたい」と願う女性に直接会いに行く(月10万円)
リカバリーは全国から複層的な困難を支えた女性たちを支援していますが、時に、塀の中にいる女性やそのご家族から利用の希望があり、ご本人のいる場所まで直接会いに行く必要があります。今後の希望を聞いたり、複雑に絡み合った困難を整理したり、リカバリーの利用がスムーズに進むよう障害福祉サービスの申請に同行したりと直接支援を行うための資金にします。
- リカバリーでの生活をお試し体験してみるための居室を作りたい(月6万円)
前述の通り、リカバリーには全国から利用希望者がいらっしゃいます。Zoomなどオンラインツールも発展し、現地にいかなくても話ができるようにもなったのですが、実際にリカバリーで何泊かしてみることで利用後の暮らしをイメージしやすくなります。今すぐ利用する決心がつかなくても、ちょっとだけお試しすることで必要な時に使える資源の選択肢に入ることもねらいです。
2.リカバリーの事業を充実させるためのお金
- バックオフィススタッフ(事務職員)の雇用(月15万円)
現在、専門職スタッフが多くのバックオフィス業務をこなしています。バックオフィス専属のスタッフを雇用できると、専門職スタッフが支援に専念でき、より専門的な支援を提供できるようになります。
※リカバリーでは、特に出産後などの女性の職場復帰、障害やご病気を抱え働く時間に制限がある方、シニア世代の方などの雇用を積極的に考えています。
代表者メッセージ
意思が弱いから酒やクスリを止められない。私が精神科病院で働き始めた頃、依存症にはそういうスティグマ(偏見)が張り付いていて、私も例外ではありませんでした。そこには私が担当している数少ない女性がいて、自分が依存症になったことへの罪悪感と恥の感覚に苦しんでいたのです。彼女たちといろいろな話をすることで、酔う背景にたくさんの暴力被害があることを知りました。個人の失敗どころか、そこへと追いやる仕組みのなかでどうにもならない現実があるのを知ったのです。私は自分こそが無知だと知って恥ずかしかった。
やがて医療の限界を感じて、女性たちが安心して暮らせる、居られる場所を地域の中につくろうと立ち上げたのが“それいゆ”です。トラウマを抱える女性たちの生活をさまざまな角度から支える日本で初めての事業として2002年に始まり、現在も継続しています。
2025年のいま、女性たちが抱える逆境はますます交差し、横断するケアが求められています。このたびNPO法人リカバリーはその横断を可能にする仕組みづくりを始めます。自傷が少なくなる、カフェや畑で働く機会が増えるなど、彼女たちの小さな変化は周囲の人たちにとっても次の希望へとつながります。どうぞ私たちの新しい挑戦を応援してください。一緒に彼女たちが起こす小さな奇跡の場面に立ち会ってください。
みなさまのご協力を心からお願い申し上げます。
NPO法人リカバリー代表 大嶋栄子
