
この記事を読んで改めて考えさせられたのは、痴漢の問題も、子どもの性被害の問題も、実は“同じ構造の中で起きている”ということ。
そして、これらの問題を根本から解決していくには、「社会の空気」そのものを変えていく必要があるということでした。
被害が“見えないまま”起きている
厚生労働省の推計では、1日に1000人以上の子どもが性被害にあっていると言われています。
けれど、メディアで大きく取り上げられることはほとんどありません。
保育園、学校、家庭、習い事など、身近な場で被害が起きていても、「気づかれにくい」現実があります。
そして、この構造は、痴漢被害にもまったく当てはまります。
声を上げづらい空気、まわりが見て見ぬふりをする雰囲気。
電車の中で起きているのは、大人の女性への痴漢だけではありません。
中高生の女の子、つまり「子ども」が主な被害者であることも多いのです。
根っこは「社会の変容」にある
アメリカの研究者は、こんなふうに語っています。
「小児性被害は、100%予防可能な社会課題です。ただし、社会全体で対策に取り組めば」
この言葉に、私は深くうなずきました。
なぜなら、私たちの痴漢抑止活動も、まさに**「社会の空気を変えよう」という挑戦**だったからです。
アメリカにあって、日本に足りないもの
アメリカでは、「CAC(チャイルドアドボカシーセンター)」という仕組みがあります。
子どもが被害に遭ったとき、専門職が連携してサポートする施設です。
全国に1000ヵ所以上あり、制度も資金も公的に支えられています。
一方、日本にはCACが2ヵ所しかありません。
しかも法的な位置づけも、公的資金もない状態です。
多くは寄付頼みで、持続可能とは言いがたい状況です。
痴漢抑止活動も「空気」を変える試み
よく聞かれます。
「痴漢抑止バッジをつけるだけで痴漢がなくなるの?」
「もっと厳しい対策が必要じゃないの?」
確かに、バッジだけで社会が一気に変わるわけではありません。
でも、「私は見ているよ」「一人じゃないよ」というメッセージが、空気を変えていく。
そう信じて活動を続けてきました。
私たちが変えたいのは、「見て見ぬふり」を許す空気です。
我慢するのが当たり前とされる風潮です。
それは、子どもの性被害が起きても、気づかれないまま放置される構造と、まったく同じです。
子どもを守るには、大人が変わる
いま、日本に必要なことがあるとすれば、それは大きく2つあると思います。
ひとつは、制度の整備。
たとえば、CACへの公的資金の導入や、再犯を防ぐための実効性ある法律。
もうひとつは、大人の意識のアップデート。
子どもたちに性教育や同意教育を届ける前に、まずは大人が自分の無意識の偏見や常識を見つめ直すことが必要です。
私もまだ学びの途中です。
でも、子どもたちが安心して暮らせる社会をつくるには、「大人の変化」が第一歩だと強く思っています。
社会は、きっと変えられる
痴漢も、小児性被害も、被害に遭っていい人なんてひとりもいません。
そして、声をあげる人、支える人が増えていけば、空気は必ず変わっていきます。
私は、「社会の変容」をあきらめたくありません。
子どもたちを守るために、大人の私たちができることを、一緒に考えていきたいと思っています。
読んでくださって、ありがとうございました。
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