
「あれ、性的広告が…減ってる?」と感じたある日
ある日、いつものようにPCでネットサーフィンをしていて、ふと気づきました。
「最近アダルト系の広告を見かけなくなったな」と。
以前なら、ポケモンGOの攻略サイトや、SNSやニュースを見ていても、突然、性行為を想起させるような電子コミックの広告が目に飛び込んでくることがありました。
「なんでこんなところに?」「子どもも見るかもしれないのに」——そんな違和感を、何度も抱いてきました。
私にとって、それは“日常の不快感”のひとつであり、うんざりしつつ心のどこかであきらめていた部分もありました。
けれど、その「当たり前」が変わりつつあります。
クラシル・オレンジページの“異例の対応”
その転機が訪れたのは、2025年3月。
料理レシピサイト「クラシル」、そして生活情報誌「オレンジページ」の公式サイトに、性的な広告が表示されていることに、X上で「不愉快だ!」というポストが投稿されたのです。
私も同意見だったので、Xでリポストしたり意見を述べたりしました。
同様に、「不快だった」「どうにかしてほしい」という共感の声が、次々に集まり元ポストはバズりました。
何が驚きだったかというと、その後の展開です。
「クラシル」も「オレンジページ」も、すぐに公式に謝罪し、「今後、性的広告を排除する方針」を表明したのです。
企業が、ユーザーの声を受けてネット広告の方針を変える。
これまで、こうした対応を明確にとった例を、私はほとんど知りません。
だからこそ、インパクトが大きかった。
「ちゃんと伝わったんだ」と、心の底から思いました。
日本電子書店連合、ついに動く
そして6月。さらなる動きが読売新聞で報じられました。
電子コミック大手11社が加盟する「日本電子書店連合」が、性的表現のあるコミック広告について、全年齢向けサイトへの配信を停止したというのです。
この背景には、「日本広告審査機構(JARO)」に寄せられた苦情の急増がありました。
2024年度だけで、インターネット上の性的広告に関する苦情は600件超。
そのうち200件以上が電子コミック関連、しかも5割以上が日本電子書店連合に属する企業に関するものでした。
JAROの指摘を受けて、同連合は4月30日に緊急会合を開き、連合として性的広告の配信基準を統一し、同日から全年齢向けサイトへの配信を停止。同連合は読売新聞の取材に「社会的な批判を受け、業界全体の課題として受け止めている。広告表現の適正化や健全な運用体制に向け、連携し取り組んでいく」とコメントしているそうです。
JAROによると、5月以降、同連合加盟社の性的広告への苦情はなくなったそうです。
「声を上げることには意味がある」と思えた瞬間
この一連の出来事を振り返って、私は心から「GJ(Good Job)!」と思いました。
なぜなら、ほんの数ヶ月前まで、ネット上では、“性的な広告が出るのは不愉快だけど仕方ない”という空気があったからです。
でも、ユーザーの違和感がSNSを通じて可視化され、
企業が反応し、業界が動いた。
「声を上げても意味がない」と思い込まされてきた私たちが、
この変化の主役だったという事実が、静かに、でも確かにそこにあります。
もちろん、まだ課題は残っている
JAROによれば、今も「医院・病院」「オンラインゲーム」など、他のジャンルにおける性的広告への苦情は継続してるそうです。
つまり、ネット全体から性的広告が消えたわけではありません。
それでも——
「気持ち悪い」「見たくない」と思ったとき、その違和感を言葉にすること。
「見せられたくない」と意思表示すること。
それが、確かに社会を少しずつ変えているのだと思います。
「ネット広告が“まし”になった」と感じられる社会に
私たちは、情報の受け手であると同時に、声を届けられる存在です。
広告もコンテンツも、“誰がどこで見るか”という視点から見直されるべき時代が、ようやく来たのかもしれません。
「ネット広告がましになった」——
それは、小さなことかもしれません。
でも、それを「当たり前」にしたのは、確かに私たちひとりひとりの声だったのだと思います。
痴漢抑止活動センターも、電車内痴漢がなくなるように声を上げ続けていきます。私たちの活動に共感してくださる方は、ぜひ、サポーターになって活動に参加してください。