
まず前科がある――つまり過去に盗撮という性犯罪で処罰された人物が、なぜ今もなお警察官として働いていたのか。
この点について、私は言語道断だと思います。
犯罪の抑止を使命とするはずの警察官が、その立場を持ったまま性犯罪を繰り返していたこと。
そして、罰金刑という軽微な処分だけで済まされ、何事もなかったかのように現場に戻されていた現実。
これは警察という組織の“自浄能力の欠如”を強く示しているのではないでしょうか。
現職警官の性犯罪という深刻さ
私たちが警察に対して求めているものは、「守ってくれる存在」であることです。
その立場にある人が、性的加害を行う。
しかも、サンダルに小型カメラを仕込むという周到な準備をしてまで。
こうした事件は、被害者の恐怖だけでなく、「誰を信じればいいのか」という社会全体の不信感につながります。
一般人の性犯罪より、より重く捉えられるべきなのは、その“権力性”にあります。
「助けを求めるべき相手が加害者だった」という経験は、二重の被害です。
本来であれば、警察内で徹底した処分と再発防止の対策が行われていなければならなかった。
にもかかわらず、それがなされていなかったことに、強い疑問と危機感を覚えます。
なぜ職にとどまれたのか――制度の欠陥
一度、盗撮という犯罪で罰金刑を受けた者が、なぜ警察官として現場に戻れたのか。
一般の会社であれば、前科のある社員を現場に復帰させることには慎重になります。
仮に経理課の社員が横領を働いたら、たとえ額が些少であってもそのまま経理職は続けられないのではありませんか? 退職にならなかったとしても、お金を扱わない他の部署に異動になるでしょう。
ところが、警察という公務員組織では、内部処分が甘く、場合によっては隠蔽体質さえ見え隠れします。
再発防止のためには、処分の透明化と再発時の厳格な対応が不可欠です。
罰金刑で済ませて“終わったこと”にするのではなく、
性犯罪については「再犯の可能性が高い」という専門的知見にもとづいた制度設計が必要です。
今回の加害者が、依存症治療を継続して受けていたのかも気になる点です。
盗撮は“軽犯罪”ではない
日本では、盗撮や痴漢などの性犯罪が今でも「軽いもの」として扱われがちです。
罰金で済む、示談で終わる、懲戒処分にならない……。
こうした扱いが、被害者の沈黙と、加害者の再犯を生み出す原因になっていると私は感じます。
被害者は、深く傷つき、自分の身をどう守ればいいのか分からなくなり、「信じていた社会に裏切られた」と感じるようになります。
今回の事件で被害に遭った女性も、突然、面識もない男からスカートの中にカメラを向けられたと知った時、どれほどの恐怖だったか。
しかも、その相手が警察官だったと知ったときの絶望は、想像に難くありません。
サンダル型カメラとスパイ機器の脅威
今回の事件で使われたのは、“サンダルに仕込まれた小型カメラ”でした。
こうしたスパイカメラは、インターネットで簡単に購入できます。
「メガネ型」「ボールペン型」「ペットボトル型」「充電器型」など、その種類は年々増え、しかも性能もあがってきている。
盗撮を目的とした機器が堂々と売られているこの現実に、私たちはもっと危機感を持つべきです。
「小型カメラの販売=即違法」ではありませんが、その使用実態はほぼ性犯罪に直結しています。
必要なのは、販売・所持・悪用に関する法整備と、明確な規制です。
最後に――被害者の立場に立つ社会へ
この事件において、私がもっとも危惧しているのは、
「警察官という肩書があったからこそ、許されてきた過去があるのではないか」という点です。
組織が加害者をかばう構造の中では、再発は必然です。
私たちは、被害者の立場に立ってものを考えなければなりません。
「また同じようなことが起きるのでは」と思わせてはならない。
一人ひとりが、「盗撮は性犯罪」「痴漢も性暴力」と明確に認識し、
加害者ではなく、被害者の声に耳を傾ける社会を築くことが、今、求められていると思います。
そして私は、盗撮という犯罪を繰り返した人物を、再び現場に戻した組織の責任も問いたいです。
被害にあった女性のためにも、せめてSNSで声をあげ続けたいと思います。