
私のポスト内容はこちらです。

この一連の流れに、称賛と驚き、そして怒りや安堵など、さまざまな反応が集まりました。
行為の背景にあった“正当化”の危うさ
報道では、逮捕された男性が「過去に自分は女子高生から痴漢行為をされた。その経験から、復讐として回数が分からないほど(痴漢行為を)やった」と話していたとされています。
加害者にどのような経験があったにせよ、それを無関係の女子高校生たちに向けて繰り返すことは絶対に正当化されません。
たとえ過去に傷を受けたとしても、その痛みを他者に与える理由にはならないのです。
性犯罪加害者の中には、過去に性被害を受けたことのある方がいる という話を聞いています。
私たちは、そのような“負の連鎖”を止める社会を目指したい。
誰かにされた嫌な経験を、別の誰かに繰り返す――そうした構造は断ち切る必要があります。
中学生の行動が、加害の連鎖を断ち切った
今回の事件で、何よりも光が当たったのは、15歳の女子中学生の行動です。
駅で、以前に痴漢をされた相手を見かけた彼女は、スマホで男の姿を撮影し、すぐに110番通報しました。
その情報をもとに警察が現場に駆けつけ写真を確認し、当該の人物が再び電車に乗り込んだ際には、警察官も同乗。
署員らの前で女子高校生の体を触ったため、男を現行犯逮捕しました。
これは、私の推測になりますが、以前この男に痴漢行為をされた彼女は、警察に通報・相談したのだと思います。その時に、同じような被害にあったら、または加害者を見かけたら、すぐに110番していい と警察からアドバイスをもらっていたのではないでしょうか。
とはいえ、自分に対して痴漢行為をした加害者を見つけた時、彼女には恐怖や動揺があったと思います。そうした中で、それでも「行動する」という選択をした彼女の判断力と勇気は、非常に大きな意味を持っています。
それによって、これから起きたであろう被害の連鎖が止まったからです。
加害を止めた人を称える文化へ
私たち痴漢抑止活動センターでは、こうした「加害を止めた人」の存在が、もっと社会で評価されるべきだと考えています。
特殊詐欺を未然に防いだコンビニ店員が表彰されるように、 電車内で不適切な行動を止めた、通報した人もまた、称えられるべき存在です。
とはいうものの、痴漢加害者逮捕に貢献した方をニュースで取り上げるのは危険性もあります。加害者に逆恨みされる可能性もあるからです。だから表立って表彰するのは難しいと思うけれど、その行動と勇気は賞賛されるにふさわしいと多くの方に知ってもらいたいです。
今回のような行動がニュースになること、そして多くの人にシェアされたこと自体が、すでに希望の兆しです。
「見かけたら止める」を当たり前に
公共交通の中での迷惑行為や痴漢は、今なお多くの人の身近にあります。
それに気づいたとき、「見なかったふり」ではなく、「どうすれば止められるか」を考える人が一人でも増えたら―― それだけで、被害の拡大は防げます。
神戸市交通局が「痴漢にあったら見たら110番!」というポスターを制作し、電車やバスの車両内に掲示した時、警察への通報が1.8倍になったと聞いています。

誰かの勇気ある行動が、誰かを守る。
その循環ができれば、「また痴漢に遭うかもしれない」と不安を抱えている人たちに、確かな支えを届けられると信じています。
わたしたちの活動について
私たち痴漢抑止活動センターは、2015年から10年間にわたり 「言葉にできない声を代弁する」ための活動を続けてきました。
たとえば、痴漢にあってしまった時に自分で声をあげられない中高生に、痴漢抑止バッジを無償で届ける。
小さい缶バッジだけれど強い意思表示ができるツールを通じて、加害を未然に防ぐ。
そうした現実的で地に足のついた取り組みを、今も続けています。
さいごに
今回の事件は、女子中学生の行動と警察の迅速な対応によって、加害が止まった一例です。
こうしたケースが広く共有されることによって、「自分にもできるかもしれない」「何かあったときには声をあげていいんだ」と思える人が増えていくことを願っています。
今後も、こうした事例を通して、「被害者が黙るしかない社会」から、「声をあげることが評価される社会」へと、少しずつでも変えていけるよう、発信と活動を続けていきます。
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