活動・団体の紹介
精神に障害がある人の配偶者・パートナーの支援を考える会は、2016年6月に当事者家族(配偶者)と研究者らによって立ち上げられました。現在、定期的なピア・ミーティングの開催、研究者と協働し開発した心理教育プログラム(家族による家族学習会)の実践、ホームページや書籍等による情報発信、一般市民に向けた啓発活動を行っています。

活動の背景、社会課題について
令和5年の患者調査で、精神に障害をもつ人は603万人を数えるようになりました。精神疾患は多くが30歳代までの若年層で発症します。出産、育児、転居など夫婦にとって新しい生活を作り上げていく時期と重なるため、精神疾患の発症というエピソードは、配偶者・パートナーにも大きな混乱をもたらします。当事者や家族だけで抱えていくには限界があります。
当会の代表である前田は、2016年11月から2018年4月までの間に、ピアサポートミーティングの参加者等98名を対象としたアンケート調査を実施し、63名から回答を得ました。その結果、配偶者は、日常生活において様々な困難に直面していることが分かりました。

(前田直:精神障害者の配偶者が抱える困難と支援ニーズに関する現状調査.精リハ誌24,2020より引用)
一方で、仲間を作り、いろいろな支援を受けられると、生活が少しずつ楽になっていきます。私たちは、同じ悩みを抱える家族同士で一緒に考え、ひとつひとつ解決方法を探していきます。
活動内容の詳細、実績について
●ピアミーティングの開催
当会では2016年9月から配偶者・パートナーを対象としたピア・ミーティングを定期的に開催しています。当初は対面式で実施していましたが、新型コロナウイルス感染拡大に伴って、現在ではウェブ会議システムを用いた形態で実施しています。北海道や沖縄など、全国各地からの参加がある他、海外に在住している人も参加しています。
2016年から2025年4月までのピア・ミーティングの参加人数は述べ755名に上り、多くの人が支援を必要としています。
参加者の中には、18歳未満の子どもを持つ人も少なくありません。子どもたちは、家庭内の問題や進路、友人関係などに悩みを抱えていることがあります。当会では、精神疾患の親を持つ子どもの会(こどもぴあ)と協働し、未成年の子どもたちを対象としたピア・ミーティングも開催してきました。
●家族による家族学習会の開催
2019年には、研究者と協働して心理教育プログラム(家族による家族学習会)を開発し、2020年度以降に4回実践しました。学習会は、家族を「参加者」に迎え、同じ立場の家族が「担当者」としてチームで運営・進行します。1 回3時間、1コース 5 回で実施されます。セルフヘルプグループの重要な機能とされる「体験的知識」と、テキストによる「専門的知識」の両者を組み合わせた学習スタイルが特徴で、参加する家族と担当する家族の両者が、ともにエンパワメントされることが研究により実証されています。

代表者メッセージ
私たちが抱えている生活上の困難さを理解してくれる人は、残念ながらほとんどいません。ひとりの力は小さくても、みんなで手を取り合えば大きな力になります。社会に声を届けていきましょう。

寄付金の使い道について
いただいた寄付金は、毎月1回定期的に開催しているピアサポートミーティングの運営費と、年に一度開催している【配偶者版】家族による家族学習会の運営費に当てさせていただきます。