
福島県飯舘村在住の伊藤延由さんから応援メッセージをいただきました。IT企業に勤めていた伊藤さんが、会社が建設した農業研修所の管理人として農業を始めたのが2010年。すっかり農業の魅力に取りつかれ,そろそろ新年度の準備に取り掛かるというタイミングで震災、そして原発事故により、老後の夢を完全に奪われてしまいました。研修所が良心的な研究者やジャーナリストの活動拠点として活用されるようになる中で、伊藤さん自身も放射線量測定をするようになりました。汚染の現場での日常的な調査活動は、専門の研究者が限られた期間で行う調査に比べてはるかに詳細で、調査結果に基づく情報発信は極めて説得力があります。福島原発事故で被災した現場における重要な「市民科学」の実践です。原発事故から11年以上が経過しましたが、今後も放射能測定・分析を続けていかれることを期待しています。(高木基金 事務局長 菅波 完)
伊藤延由さんの助成研究の概要 2017年度 2018年度 2019年度
伊藤延由さんへのインタビュー
http://www.takagifund.org/activity/interview/24_itou/index.html
写真は2019年3月23日 飯舘村放射能エコロジー研究会 第10回シンポジウムにて。
私は2017年~2019年の三年間高木基金の助成を頂き調査を進めてまいりました。
私の調査は福島第一原発事故によって飯舘村の汚染がどうなったかがテーマです、現在もあらゆるものを測定し続けています。
私は高木基金の助成を頂き資金的な面のほかに、審査、成果発表などの機会を通じて有識者(本当の有識者)の方々から的確なアドバイスを頂けたことが幸いでした。
一介の百姓見習いを名乗る私の発表が少しでも注目されたのは高木基金の助成を頂いたことによるものだと思います。
事故前の私は放射能についての知識は皆無に等しかったのですが、原発事故によってメルトダウンしたのは原子炉だけでなく核物質の管理基準もメルトダウンしたと思っています。一般公衆の追加被ばく量が年間1mSvが20mSv、原発構内は今も100Bq/kgで管理されていますが、一般公衆が住むエリアには8,000Bq/kgを超える土壌が普通に存在し、私のような素人が30万Bqの土壌を測定し測定が終われば山に返すことが日常です。
原発事故が起こればこれまでの基準は守れないだから基準を下げる事が平気に行われています。私は高木先生ご存命ならどんなコメントを出されただろうと思いながら測定を続けています。
クラウドファンディングが成功し若い市民科学者の支援が続くことを願っています。
伊藤 延由