日本最大の食中毒被害「カネミ油症事件」半世紀経っても続くこの問題を、今この世代で変えたい

高度経済成長期の中、引き起こされた日本最大の食中毒事件である「カネミ油症事件」。
事件発生より半世紀経ってもなお、問題は一つも解決されていません。
1968年当時を知る人はどんどん減っていく一方で、当時の様子を知らない人は増えています。健康被害を訴える次世代でも当時の様子を知らないのです。

本ドキュメンタリー映画を通して、カネミ油症患者の方々の苦悩、偏見と差別に晒されて生きてきた個々の人生の軌跡を明らかにし、今を生きる多くの方に「カネミ油症事件」の事実を知っていただきたいと思っています。

今回、カネミ油症の被害者である下田順子さん、恵さんがインタビューに応じてくださいました。

お二人がカネミ油症とどのように向き合ってきたか、カネミ油症について知ってほしいこと、国や行政の対応について求めてることについても触れています。

▼ぜひインタビュー動画をご覧ください。

「生きていくことに絶望し、何度も命を絶とうと思った」母・下田順子さん

私は６歳のときにPCBが入ったカネミ油を食べました。小学校での生活が始まってまもなく、倦怠感、頭痛、腹痛、多量の鼻血の症状が現れました。できものができ、臭くて痛くて、患部は熱感で夜も寝られず、かゆくてたまりませんでした。
背中にできた”おでき”は白色のブラウスを血に染め、流れた粘液は強烈な悪臭を放ちました。クラスメイトには「近くに寄るな」と言われ、鼻をつまみ臭いとなじられ、ひどいいじめにも遭いました。

しかし、ひたすら耐えることしかできませんでした。

顔の下半分には、PCBの毒性であるぶつぶつの塩素ニキビ、塩素ざ瘡が隙間なくでき、爪は色素沈着で茶褐色に変色し、瞼は腫れ、目やにで目はかすみきつくてきつくて毎日体はふらふらの状態でした。

生きていくことに絶望し命を絶とうと思ったことが何度もありました。

PCBの毒は娘にも引き継がれ、耳や背中に悪臭を放つふきでものができました。

私たちは、自然界にはない物質によって、多大な影響を親から子へ、子から孫へ世代を超えて影響を受けているものと思われます。

しかし今、ここに私が生きているのはこの被害の実態と、どのように私たちがこのPCBダイオキシン被害と向き合ってきたかを後世に伝えなければいけない。
その思いで私は生きることを決意して今に至っています。

「知らないことから差別と偏見が生まれる。カネミ油症を知らない世代に伝えていき、笑顔で暮らせる社会にしたい」娘・下田恵さん

高校生のときに初めてカネミ油症という言葉を知りました。
母から聞いたカネミ油症の症状とこれまで自分に出た症状が同じであることに衝撃を受けました。

カネミ油症を知らない方々が多くいます。知らなければ理解をすることもできません。
カネミ油症を知らない世代に伝えていくこと、社会からカネミ油症を変えていくこと。
そして、差別と偏見をなくして、皆さんが笑顔で暮らしていくことができる社会にしていきたいと思っています。


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下田順子さん、恵さんご協力をいただきありがとうございました。
半世紀以上たっても続くカネミ油症事件の真相を伝え、被害者救済の道をつくるため映画「母と子の絆～カネミ油症の真実」の製作を進めています。
ぜひともご支援をいただけますと幸いです。
https://congrant.com/project/y...
・目標金額：1,000万円
・期間：2023/12/20〜2024/02/29