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2021年2月1日のクーデター後、多くの公務員が市民不服従運動(Civil Disobedience Movement、以下CDM)に参加しました。CDMは、政府への抗議の意を示すデモや公共料金の不払い、店の営業取りやめなど、さまざまな非暴力の運動です。これに対し、ミャンマー国軍は実弾を用い、CDM参加者を殺害しています。
CDMに参加した公務員は、職場に戻れなくなり、家を追われました。
このようなCDMに参加した公務員を含め、クーデター後に新たに国内避難民となった人の数は、6月12日時点で1,516,100人に上ります。
国軍は法律を改正し(条項505Aの追加)、国軍を批判する投稿をSNSにしただけでも逮捕されるようになってしまい、今は情報発信すら難しくなっています。
ミャンマーでは、必ずしも高給ではないものの、公務員(看護師、警察、教師等)であることはステータスであり、市民から尊敬の対象とされてきました。
しかしクーデターに参加し職を失ったCDM参加者は、職を失っただけでなく、国軍から逃れるために住む場所も失い、公務員というミャンマーでは特別なステータスも失いました。そのためCDMに参加した人は、金銭的にも精神的にも、とても厳しい状態にあります。
パルシックは、このようなCDMに参加した人や国内避難民の方への支援のため、2021年10月より寄付キャンペーンを実施してご寄付を募り、ヤンゴンと周辺地域で現金給付や医療品・食料を配付しました。
<支援内容>
- 279人の市民不服従運動(CDM)に参加して失職した人に現金約6,500円(10万チャット)を配付しました。
- 200人に新型コロナウイルス対策用の家庭用医薬品(マスク、経口補水液、消毒液、ビタミン剤等)を配付しました。
- 747人に食料(米・乾麺・食用油)を、特に妊娠中の女性や障害のある人に優先的に配付しました。
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(配付した食料)
支援を受け取ったある女性からは、感謝の言葉とともに、メッセージをもらいました。この女性は国防省の職員として働いていましたが、CDMに参加したことで逮捕状が出されたため、2021年4月に森へと避難しました。今は安定した収入が無く、支援に頼っています。
国軍・治安部隊は何百人もの無罪の人びとを殺し、村を焼き払っています。私はこの闘いに勝ちたいですし、きっと勝てると信じています。正義は常に勝つべきですから。厳しいかもしれませんが、決して屈しません。メディアでの報道が減ってしまったので、今ここで何が起こっているのか、世界の人びとは知らないでしょう。ここで起きていることは、ただの内戦ではありません。軍事政権は戦争犯罪と同時に人道に対する罪を犯しているのです。人びとは殺され、財産は没収され、盗まれ、破壊されます。女性や子どもたちは性的・身体的な虐待を受けています。私たちの闘いはまだ終わっていないことを、皆さんに知ってもらいたいです。
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(この女性が避難した先で暮らす家)