確かに存在する加賀市若年女性の「声なき声」
大学進学は県外に出たものの、家族の意向で、就職はUターンすることを前提とした上京でした。自立しろと言われながらも、家族の期待をつねに感じていました。痴漢被害にあったとき「気をつけてね」という周囲の言葉が辛かった。女性だけに言うのではなく性別関係なく「性暴力はダメ」と指導してほしかった。自分がいけないんだと、自分を責めてしまいました。いま、もし学校や親がしんどい女性がいたならば、自分は悪くないんだと信じてほしいです。それは環境や関係性の問題で、今見えている世界が全てではないことを知って欲しいです。親や他人に利用されることもなく、あなたは自分の人生の主役になれることを知って欲しいです。(加賀市出身・30代女性)
高校生の時に付き合っていた彼氏からデートDV(蹴る殴る)をうけていました。すぐに別れることはせず、自分が我慢すればよいと思っていました。友人にも相談したことはありましたが、「別れた方がいい」としか言われないだろうと予測できて、あまり相談しませんでした。中学校の時に学校で飲酒を疑われたことがあります。すべての先生が自分を疑いましたが、一人の先生だけ自分の味方をしてくれて救われました。「本人がやっていないって言っているのになぜ信じないのか」と言ってくれた。その先生は受験の時も一緒に会場まで着いてきてくれました。とにかく中高生時代に色々な大人に出会う機会をつくって欲しいと思います。大人になったら色々となんとかなる。社会の理不尽は続いていくけど、自分の責任で自由に生きていくこともできる。学校だけがすべてではないことを伝えたい。恋愛で困った高校生がいたら話ききたい。共感できることいっぱいあります。(加賀市出身・30代女性)
「15〜25歳の時に困ったこと?うーん...別に無いかなあ...」
質問を受けた女性の第一声。困ったことは今までに無いと言っていました。じっくりと、遠回りしながらも、時間をかけて会話を進めていくと、ふとした瞬間、堰を切ったように当時の経験をつぶさに語ってくれたのです。
女性として、若者として傷ついたこと。助けを求めることができなかったこと。これが当たり前だと受け入れその傷を無かったことにしたこと...。その一つ一つのストーリーを聞いている私たちの心も、きゅうっと締め付けられる思いになりました。
「今の今まで、問題だとすら思っていなかったけど、もっと助けを求められたら、問題を問題だと言ってくれる大人がいたら、違ったのかな。」
合計25名、約50時間にのぼるヒアリングを終え、私たちは"声なき声"の存在を目の当たりにして愕然としました。「今もなおこの加賀市で、ひとり悩んでいる女性がいるのかもしれない。知ってしまったからには、見て見ぬふりはできない。」脇目も振らずトップスピードで駆け抜け立ち上げた、石川県加賀市の若年女性のための基金、KAGA JOJOJO FUND(略称:かがじょ基金)。まずはこの地で育つ彼らがどうか健康で孤立せず尊重されて過ごしてほしい。そんな気持ちが込められています。そして、痛みを伴いながらも私たちに当時の記憶を伝えてくださった25名の女性たちへ、最大の敬意を表して。
基金設立の背景、社会課題について
石川県加賀市の人口は63,109人。(令和5年4月時点)石川県南加賀で唯一の消滅可能性都市(2040年までに20〜39歳までの若年女性が5割以下になる)に指定されました。若年女性の人口減少が進むと言われている中、若年女性を取り巻く環境について調査を進めると、3つのことが明らかになりました。
❶ 支援の空白期間
15〜25歳の女性の人口は2,942人(令和5年4月時点)ですが、行政との繋がりがあるのは、未就学児〜中学生まで。それぞれ子育て支援課、教育委員会などが管轄となります。そして母となる女性もまた母子保健の文脈で子育て支援課へと繋がります。ここで行政の支援から抜け落ちているのが「高校生〜大学生世代」そして「子どものいない若年女性」なのです。
一方で、加賀市に登録のあるNPOなどの非営利組織を調べたところ、この15〜25歳を直接の対象とした支援を行っている団体は存在していないことが明らかになりました。
❷ 多岐に渡る「困りごと/生きづらさ」
そんな中、当事者の困りごとを独自調査してみると、「困りごと/生きづらさ」は確かに存在し、そして多岐に渡っていることがわかりました。
加賀市で10代を過ごした20代〜30代の女性を対象にしたヒアリング・アンケート調査の結果、学生時代に困ったこととして、「進路へのプレッシャー」「予期していない妊娠・若年妊娠」「思春期の健康や性に関して相談できない」が上位に挙げられました。20代前半頃に社会人となって困ったこととして「職場でのセクハラ」「女性という理由で能力を過小評価」「妊娠・出産によるキャリアの断絶」「結婚を期待される」が上位に挙げられました。
❸ 地域の大人の出番
加賀市で今10代を過ごしている10代後半の女性へのアンケート調査で、地域の大人に求めることとして上位に挙げられたのは「特別なサポートは求めないが、大人の考えが変わってほしい」「進学/進路などキャリアのサポート」「専門家による知識や心理面のサポート」という項目です。
これらの調査結果等から見えてきた状況を整理してみると、石川県加賀市の若年女性における課題が少しずつ見えてきました。
今回、KAGA JOJOJO FUND(略称:かがじょ基金)を拠出元として行いたいのは、課題の上流で原因となっている以下2点にアプローチするための事業を行うことです
- 若年女性の周辺にいる大人の知識をアップデートし、若者の力になれる大人を増やす
- 若年女性が安心して学び合える場所や機会、さらには支援者を通して多様な大人と出会うことにより新しい価値観を得る
活動内容の詳細、実績について
2022年に立ち上がったKAGA JOJOJO FUND(略称:かがじょ基金)は、当時たくさんの方から短期間で多くの寄付をいただきスタートしました(約3ヶ月で延べ367件・約210万円)。市内からの寄付を中心に、全国・世界からも共感の声とともに寄付とエールをいただき、この課題は加賀市特有のものではなく、全国で起きている課題であることを実感しています。
初年度に集まった寄付金は、「地域に"ほけん室"をつくる事業」として若年女性の課題に取り組む2つの団体に「助成金」という形で支給しています。またあくるめ財団では、資金的な支援にとどまらず、外部有識者を招き、採択団体が抱える課題とのマッチングを行いながら、伴走支援をしています。
2023年度の地域に"ほけん室"をつくる事業採択者
- 合同会社スオ
15-18歳の若年女性を対象とした「ffirm youth club」というユースクラブをつくり、
ジェンダー/人間関係/ルッキズムなどをテーマにしたワークショップを定期開催。
これまでの実績
・ワークショップ等実施回数:6回
・ワークショップ参加人数:のべ32人(2023年11月現在)
Instagram
@ffirm__
@ffirm__youth__club
- 一般社団法人石川県助産師会
加賀市の大人向けに文部科学省が推進する「生命(いのち)の安全教育」を解説する研修会を開催し、大人の知識のアップデートを目指す。参加者の内、より学びを深めたい人が参加できるコミュニティも準備中。
研修会実施回数:2回
研修会参加人数:のべ25人(2023年11月現在)
Web: https://ishikawa-midwife.com/
2つの団体の取り組みを間近で伴走していくなかで、この若年女性の課題に対する取り組みは、単年度ではなく中長期的な視点で続けていくことが重要であると考えています。今年度はその2年目として、かがじょ基金 第二弾に取り組んでいきます。
寄付金の使い道について
集まった寄付金は、加賀市の若年女性をサポートするNPOや専門団体が実施する「地域に"ほけん室"をつくる事業」活動資金として、公益財団法人あくるめより助成を行います。支援先の団体は公募し、複数の専門家や有識者で構成された審査委員会で厳正に審査された上で決定されます。
- 事業目標:2023年〜2025年の3年間で以下の状態を作ります。
【当事者へのリーチ】
若年女性の学び合いコミュニティ参加数
<目標>
石川県加賀市で15-25歳を過ごす女性:常時30名規模
【当事者周辺の大人へのリーチ】
若年女性支援に関する研修を受講した人数
<目標>
・事業者の数 20店舗 /2年
・受講した大人 200名 /2年
- 寄付金の使い道:2024年度の助成事業として以下の通りの活動を行います。
80万円助成(最長2年)を2件
+60万円有識者による伴走支援
今回のキャンペーンは総額220万円を目標としています。そのうちの120万円をこちらのクラウドファンディングで募ります。そのほか、継続寄付も受け付けておりますので、詳細は KAGA JOJOJO FUND(略称:かがじょ基金)特設サイト (https://akurume.com/kagajo-don...)よりお申し込みください。
活動・団体の紹介
公益財団法人あくるめは、石川県加賀市の若者一人ひとりの小さな想いを支援し、持続可能な未来に向かって子ども達の笑顔がいきかう元気な地域をつくるため2017年8月に設立されました。2020年6月には、石川県より公益認定を受け、一般財団法人から公益財団法人となりました。
代表者メッセージ
公益財団法人あくるめ 代表理事 山口美幸
あくるめは加賀市に特化した財団として、個人・団体の活動を応援してきました。海、山、城下町、温泉街と、個性際立つ町々が存在する加賀市は、なんとも愉快で魅力的です。あくるめの相談窓口には、市内外問わず、加賀市で挑戦したい人が訪れてきます。私もあくるめに関わり七年。加賀市がより好きになりました。
そんな生活多様性都市である加賀市は、消滅可能性都市というもう一つの顔を持っています。昨年のあくるめの活動で、15歳から39歳の女性にヒアリングを繰り返してきました。見えてきたのは、加賀市の若年女性の生きにくさが、20年前からなんら変わらないという事実でした。そこで立ち上がったのが「かがじょ基金」です。
そのかがじょ基金も二年目を迎えます。若年女性に寄り添い、彼女達を取り巻く環境として、周りの大人の学びの現場を増やしていきたいと思います。皆様のご理解とご賛同をいただけますよう、お声掛けさせていただきます。よろしくお願い申し上げます。
税制等の優遇措置について
当財団への寄付は、税制優遇措置を受けることができます。
詳しくは、こちらをご確認ください。
※この寄附金は所得税法上の寄附金控除、法人税法上の特別損金算入限度額、相続税法上の非課税の適用対象です。
※所得税の寄附金控除及び住民税の寄附金税額控除の適用を受ける場合は、所得税の確定申告が必要です。
※この寄附金は石川県の条例指定対象の寄附金です。お住まいの地域によって住民税の寄附金控除を受けることができます。
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