NPO法人アニメーター支援機構 菅原です。
2010年から15年以上、低賃金の新人アニメーター向けの寮「新人アニメーター寮」の運営など、新人アニメーターへの住居支援をメインの活動として来ました。
過去の住居支援者は、累計77名となりました!
「新人アニメーター寮」の過去の寮生には、
■田中正晃さん: 「新人アニメーター寮」一期生。
「進撃の巨人 Season3」 作画監督
■阿久津徹也さん: 「新人アニメーター寮」一期生。
「呪術廻戦 渋谷事変」絵コンテ・演出
「勇気爆発バーンブレイバーン」絵コンテ・演出
■刈谷仁美さん: 「第六回・新人アニメーター大賞」大賞受賞。
「新人アニメーター寮」四期生。
NHK連続テレビ小説 「なつぞら」オープニングタイトル
監督・原画・キャラクターデザイン
などがいます。


少子化により国内の産業は縮小して行き、日本はどんどん貧しくなって来ています。
そして海外に輸出できる物も、かつて世界を席巻した家電製品は中国、韓国にシェアを奪われ、ガソリンエンジン車もこの先どこまでもつのか?みたいな状態で、外貨を獲得出来る日本製品は、どんどん減って来ています。
このような状況の中で、世界的に高い評価を受けている日本のアニメは、文化としても、産業としても、非常に大切な物だと思います。
しかし、その担い手であるアニメ制作者たちは、長年にわたり過酷な労働環境に置かれ続けて来ました。
このプロジェクトをやろうと思った理由は、日本のアニメーションが文化として、また、産業として、現在、非常に危うい状況にあると考えているからです。
かつて日本の家電は世界的なシェアを誇っていましたが、技術者をないがしろにする経営を行った結果、トップクラスの技術者が中国や韓国を中心とするアジアのメーカーに流失し、世界的なシェアを失った、という歴史があります。
アニメーター支援機構として、この15年間、アニメ業界の動向を見てきましたが、アニメ業界もかつての家電業界と同じ道をたどろうとしていると感じています。
現状のアニメ業界の問題は簡単に言うとアニメ製作の構造上の問題なのですが、この問題とちゃんと向き合わず、場当たり的な対応を続けて来たために、さまざまなほころびが生じています。

現在のアニメ業界は、長年に渡る低賃金による離職の多さや、アニメ製作の構造上の問題から、深刻なアニメーター不足となっています。
2010年頃からは、自社の人手不足を他社から優秀なアニメーターを高額なギャラで引き抜いて解決する「拘束料」という制度がアニメ業界内で一般化して行き、引き抜きによって、一つの会社内に長期間居続けるベテランが存在しなくなる状況を作り出しました。
「拘束料」は、低賃金が問題視されて来たアニメ業界において、ベテランのアニメーターにとっては非常に良い話であった反面、ベテランの不在は、新人の育成を困難な物にしました。
「拘束料」には、それまで作画の技術継承に重要な意味を持っていた徒弟制度を崩壊させる、という負の側面があったのです。

新人アニメーター寮チャンネルの動画の中で、リョーコが満足な研修を受けられなかった、という回がありましたが、実はあれはリョーコ1人に起こったことではなく、リョーコと同世代のアニメーターには似たような経験をしている人も多かったのでは?と思います。
新人アニメーター寮チャンネル「研修!新人アニメーターの4月はこんな感じ」
また、キーアニメーションを描く「原画マン」の作業は、本来は1人のアニメーターが「レイアウト(一原)」というラフを描いて、次に「原画(二原)」という清書も描く、という工程だったのですが、こちらもアニメーターの人手不足から、「レイアウト(一原)」を描く人と、「原画(二原)」を描く人を別の人にお願いする、というのが一般的になって来ています。
このことは、作画監督が修正したレイアウトが、それを描いた原画マンに戻って来ない、ということを意味していて、原画マンが作画監督が描いた修正を見て学ぶ、という機会を失わせています。

そもそもかつてのアニメーターは「動画」という中割りを描く仕事をして行く中で「アニメ制作の基本的なルール」を学んでいました。
全ての工程を1人で作るアートアニメーションとは異なり、商業アニメは「演出」「制作」「原画」「動画」「仕上げ」「色彩設計」「撮影」など、さまざまな工程にそれぞれのプロフェッショナルが存在していて、分業によって作られています。
アートアニメーションでは、全ての工程を1人で作っているので、現在作業している素材がどのような状況になっているのか?は、(どんな作り方をしていたとしても)作っている人自身の作業なので把握可能です。
しかし、商業アニメは分業によって作られているため、各工程のプロフェッショナル同士が共通認識として「アニメ制作の基本的なルール」を守りながら作らないと混乱が生じます。
「制作費の安い作品を大量に作った方が儲かる」という現状のアニメ製作の構造上の問題により、アニメ業界では、非常に長い間、低賃金のブラック労働の時期が続きました
なぜアニメの制作本数は増えているのにアニメの制作現場は貧乏なのか?(岡田斗司夫さん解説切り抜き)

この中でも特に「動画」の工程を担当するアニメーターのギャラが異常に安い物であったため、国内には「動画監督(動画検査)」を除き、「動画」のプロフェッショナルがほぼ存在しないような状況になってしまっています。
このような状況の中で、若いアニメーターはかつてのように「動画」の仕事をする中で「アニメ制作の基本的なルール」を学んで行くことも出来なくなって来ました。
以上のような複合的な問題により、この15年ほどの間、アニメーターの技術継承が全く上手く行っておらず、結果、作画のクオリティの低下や、修正によるスケジュールの遅れ。
「放映落ち」が多発するなど、さまざまな混乱を生み出して来ました。
また、問題をかなり長い間放置して来たため、基本的な技術やルールを学ぶことが出来ないまま、歳を重ねてしまったアニメーターさんもかなりの数存在しています。
※時代や環境が悪かっただけで、決して本人が悪い訳ではないのですが。
現状は、90年代に活躍していたアニメーターが60代を迎え、徐々に引退して行く中、十分な教育を受けられないまま来てしまったアニメーターがどんどん増えている、という地獄のような状況です。
このような状況の改善に少しでも役立つことが出来ないか?と考え、今回のプロジェクトを進めています。


①新人育成をしながら、MV制作をします。
また、その新人育成の様子を実写のドキュメンタリーとして撮影し、YouTubeで公開します。
アニメ制作のさまざまな工程をドキュメンタリー撮影しながら、最終的にTV放送クオリティのMVを完成させます。
※今回のプロジェクトの目標はここです!

②MV制作の中で完成した素材を新人向けの教育資料として書籍化します。
TVアニメの制作過程を外部に出すことは通常難しいのですが、このMVはアニメーター支援機構のオリジナル企画ですので、全ての工程をお見せすることが可能です。
コンテ、設定資料、レイアウト、原画などのMV制作で使用した素材に加え、作業の様子などを分かり易く解説した書籍を作る予定です。
※こちらは今回のプロジェクトの達成後に計画している内容です。


NPO法人アニメーター支援機構では、2010年から15年以上、低賃金の新人アニメーター向けの寮「新人アニメーター寮」の運営など、新人アニメーターへの住居支援をして来ました。
また、それとともに、この15年間、アニメ業界や、アニメーター自身への意識改革の働きかけと、国の省庁や国会議員などへの働きかけも行って来ました。
住居支援は「いま困っている人を何とかする」という、緊急避難的な対策であって、アニメーターの低賃金問題の根本的な解決には、日本のアニメ製作の構造上の問題を解決する必要があるためです。
具体的には、
①欧米のような産業別組合を作ること。
②法律の改正によってアニメ製作の構造上の問題を改善すること。
最低でも、この2つの内のどちらか1つを実現する必要があります。
※産業別組合とは、その業界の会社(アニメ業界であればアニメ制作会社)が集まって作られた組合のことです。日本の労働組合は欧米とは異なり、東映なら東映の労働組合という感じで、その企業内の組合なので、影響力が非常に小さく、制作費の決定権を持っている製作委員会に対抗出来ません。
ただ、この15年間、実際に働きかけをしてみた結果として、(個人や制作会社レベルで頑張っている人はもちろん居るのですが)基本的にアニメーターさんは集団作業の仕事ということもあり、悪目立ちを嫌い、仕事を失うリスクを負ってまで、矢面に立つ事は難しいように感じています。
また、ベテランであるほど拘束料などで収入が安定するため、現状を変えようとするモチベーションが持ちづらいことも、長い間、問題が改善されて来なかった原因の1つではないでしょうか。
国の省庁の方や国会議員の方と話しても、アニメ文化や、業界への理解が非常に浅い状態で、効果の薄い施策をしてしまっているな、という印象を受けました。
産業別組合も、法改正も、まだまだ道のりは遠そうだな…、と感じています。
引き続き、国やアニメ業界への働きかけも継続して行く必要があると思いますし、そうして行く予定ですが、アニメーター支援機構としては、別ルートの道も模索したいと考えています。
それが、アメリカでのアニメスタジオの設立です。

2024年にオレゴン州ポートランドにアメリカ支部の事務所を作る所までは出来ていて、既にアメリカでの仕事が請けられることも決まっています。
日本は少子化により徐々に仕事が減って行くことが予想されるため、今後は海外からの仕事の受注が重要になって来ると思われます。
映画産業で有名なロサンゼルスの最低賃金は、時給$20(約3,000円)と、日本の最低賃金の3倍近いので、アメリカで仕事を取って日本のアニメーターに振ることが出来れば、シンプルに賃金UPをすることが可能になると思います。
ただコレはあくまでも短期的なメリットで、アメリカにスタジオを作る本当の目的は、アメリカの産業別組合について学ぶことです。

アメリカで仕事をして行く中で、可能であれば、アメリカの産業別組合に所属して、組合活動を学ぶなども出来れば良いなと思っております。

その上で最終的には、アメリカで学んだ産業別組合に関する知識を日本での産業別組合設立や、国による法改正に役立てることが出来ればと思っています。
私たちの取り組みを応援してください!











今回のプロジェクトでは、新人原画マンを1名、固定給で雇用し、ミュージックビデオの制作を通して、育成して行きます。※新人原画マンの育成の様子は、YouTubeの「新人原画マン/育成プロジェクト」という動画のシリーズで見ることが出来ます。

ちゃんとしたギャラの支払いをしながら、新人の育成もして行こう、という試みです。
今後は育成する新人原画マンの人数も増やして行きたいと思っています。
このような短編アニメ作品を継続的に制作して行き、新人の育成と人材の確保、ノウハウの蓄積をしながら、アニメ制作者の労働環境に配慮したアニメスタジオを作ります。
今回のMV制作は、その一歩となります。是非、応援よろしくお願いします!


2010年のNPOの設立から、15年が経ちました。
設立初期には、低賃金の新人アニメーターに年/60万円の「住居支援金」を支給していました。
また、2014年からは低賃金の新人アニメーターが月/家賃/3万円以下で住める寮「新人アニメーター寮」をOPENして、低賃金の新人アニメーターに住居支援をして来ました。

入社してから3年目までの新人アニメーターは、生活が非常に厳しいことが多いので、そのための【最低限のセーフティネット】を開設する、という当初の目標は、とりあえず、実現する事が出来たのではないかと思います。
また過去の住居支援者が、成長して次々と監督や作画監督などになって来ているので、「若いアニメーターの才能を守る」という意味でも、一定の成果は収められたのでは?と思います。

今回のミュージックビデオの楽曲の制作には、「RWBY」の作曲者のMason Liebermanさんを始めとした、海外の著名なアーティストに協力して頂きました。
また、ボーカルとして「涼宮ハルヒの憂鬱」のハルヒ役や「フェアリーテイル」のルーシー・ハートフィリア役で知られる、声優の平野綾さんにも参加して頂きました。
この楽曲をベースに、過去のアニメーター寮の寮生や、住居支援者にも協力して頂いて、アニメーションのミュージックビデオを制作して行こうと思っています。
この試みに、是非、ご協力お願いいたします!

集まった支援金は、ミュージックビデオの製作費として使用します。

※この予算は最低限の予算です。
アニメ制作者に、なるべく良いギャラの支払いが出来るようにしたいと思っています。
なお、500万円までは既に集まっていて、今回、制作費の残り500万円を集めようとしています。

【アニメーションチーム紹介】
作画監督
■西位輝実さん
「ジョジョの奇妙な冒険 ダイヤモンドは砕けない」キャラクターデザイン/総作画監督
「劇場版 呪術廻戦0」総作画監督
「るろうに剣心 -明治剣客浪漫譚-」キャラクターデザイン/作画監督

原画
■原画ちゃん
2023年~アニメーター支援機構で雇用して育成している新人アニメーター。
今回のMVでは原画を担当しています

【音楽チーム紹介】
監督・作曲・指揮
■メイソン・リーバーマンさん
「RWBY」「 ベイブレードバースト神、エデン」「神之塔」「PUBGモバイル」「エーペックスレジェンズモバイル」「TFT: Battle for the Golden Spatula」などの作曲家。
アルケイン、スパイダーマン、機動戦士ガンダム、新世紀エヴァンゲリオン、ウルトラマンなど、様々なTVゲームのコラボのテーマ作曲担当者。
コロナ禍救済のための公式チャリティー公演「カウボーイビバップ ザ・リアル・フォークブルース」で菅野よう子&SEATBELTSとコラボ。
「盾の勇者の成り上がり」「メイドインアビス」「スター・ウォーズ: ビジョンズ」「ポケモン」「リーグ・オブ・レジェンド」などの音楽家。

ボーカル
■平野綾さん
「涼宮ハルヒの憂鬱」涼宮ハルヒ役、「DEATH NOTE」弥海砂役などで知られる声優。
高い歌唱力に定評がある。

ミックス、マスター、ギター
■青木征洋さん
「ストリートファイターV」「ASTRAL CHAIN」「No Straight Roads」などの作曲家。
チャリティシングル「カウボーイビバップ ザ・リアル・フォークブルース」のミックス担当者。

ピアノ
■小畑貴裕さん
「約束のネバーランド」「ニンジャラ」「ミラー・ツインズ」などの作曲家。
「僕のヒーローアカデミア」や「ワンピース」などのピアノ。

オルガン
■タイ・ベイリーさん
ケイティ・ペリーのキーボード奏者。
グラディス・ナイト、スティーブン・クロッパー、ピーター・フランプトン、デイヴ・マシューズ、エリー・ゴールディング、アダム・ランバートなどとレコーディングや演奏経験あり。

リズムギター
■デービッド・ギブソン・マクレーンさん
「PUBGモバイル」や「This is the President」の作曲。
Tournament Arcというバンドのギターとドラム。
「PUBGモバイル」「TFT: チームファイト タクティクス」「Renaine」の音楽家。

ベース
■チャールズ・バートゥードさん
ユーチューバー:https://www.youtube.com/channel/UCAi_uNeDWRXj8C8yw358gWw
マサチューセッツ州のボストン市の芸術センター、パレスシアター、アガニスアリーナなどで演奏経験あり。

ドラム
■ブレイズ・コラードさん
バークリー音楽大学でドラムの助教授。
「ファイナルファンタジーXV」のドラム。

ストリングアレンジメント
■ジェフ・ボールさん
「コール オブ デューティー」「PUBGモバイル」「デビル メイ クライ 5」「マスエフェクト3」「リーグオブレジェンド」などのバイオリン奏者、作曲家。

■しほりさん
名古屋出身、アメリカLA在住のシンガーソングライター。2007年に瀬名名義でメジャーデビュー。3rdシングルがオリコンデイリーチャート5位にランクイン。2009年より水樹奈々、ももいろクローバーZなど人気アーティストへ100曲以上を提供。「初恋サイダー」(Buono!)を始めとするヒット曲を多数送り出す。2018年に単身渡米し、ゼロから音楽活動を開始。2020年、世界的人気ゲーム「リーグオブレジェンド」のスキンテーマソング「BATTLE QUEENS 2020」作詞作曲歌唱を担当。アメリカでもその存在感を発揮している。

企画
■菅原 潤
2010年にNPO法人アニメーター支援機構を設立し、以来、アニメ業界の低賃金問題の改善に取り組んでいます。
これまでの主な活動は、低賃金の新人アニメーターが、家賃+水道光熱費+ネット代込みで月/3万円以下という、安い家賃で暮らす事が出来る、新人アニメーター寮での住居支援でした。
※これまでに77人の新人アニメーターに住居支援をしており、その中からは監督や作画監督になった人も。
今後は低賃金問題の、より本質的な改善に取り組んで行きます!

応援よろしくお願いいたします!

金額15,000円 |

金額30,000円 |

金額50,000円 |

金額100,000円 |

金額300,000円 |

金額500,000円 |

金額1,000,000円 |

金額15,000円 |

金額30,000円 |

金額50,000円 |

金額100,000円 |

金額300,000円 |

金額500,000円 |

金額1,000,000円 |