子どもの現状
子どもたちは今、困難な時代を生きています。
いじめ、親や養育者等からの虐待、部活動などでの体罰、身近なおとなからの性暴力など、子どもの心とからだが傷つけられたという報道は後を絶ちません。
不登校の児童生徒数は2023年度、全国の小中学校で34万人を超え、過去最多を更新しました。
どうすることもできないと生きる自信をなくし、「死にたい」「消えたい」と悩み苦しんでいる子どもの数は計り知れず、そして、すべてをあきらめて自ら命を絶つ子どもが年間500人以上いるのです。
いやと言えない(言えなかった)・できない(できなかった)自分を恥ずかしいと思ったり、自分にも悪いと罪悪感をもつのは、暴力を受けた人にみられる心理で、自らSOSを出すことはとても勇気のいることです。
そして、状況が長引けば、その子ども自身が本来もつ力がどんどん発揮できなくなります。
もうどうしようもできない、あきらめるしかない、消えたいと思う気持ちで自分自身を抑圧するようになり、孤立し、自傷、さらには自殺を選んでいくのです。
これは、自己責任でもなければ、個人的な問題だと片づけてしまうことはできません。
社会状況の厳しさやおとなの余裕のなさ、コロナ以降の人とのつながりが希薄になっている状況などに加えて、“子どもだから”“子どもなのに”“子どものくせに”といった子どもの力を認めないような言動がまだあちこちで聞かれることも要因であると考えます。おとなも学びが必要です。
子どもの話(声)を聴く
「何か(困ったことが)あったら相談してね」「遠慮なく言ってね」
しかし、「相談してね」と言うおとなほど信用できないと思っている若者もいます。“心の声”に、気づいてもらえていないと思うからでしょう。子どもが実際に話す、音声として発するにはプロセスがあり、そのプロセスを含めて“子どもの声”として理解することが必要です。
35年前に国連で採択され、日本も批准する「子どもの権利条約」第12条には、意見表明権について書かれていて、これは、「子どもが意見を聴かれる権利」とも言われます。また、国連子どもの権利委員会は、「乳幼児期の子どもの意見および気持ちの尊重(respect for the views and feelings of the young child)」が重要だと指摘しています。
私たちがイメージしがちなopinion(オピニオン 意見)ではありません。
たとえまとまった意見でなくとも、気持ちであっても、乳幼児期の子どもの声に耳を傾けるとともに、その尊厳および個人としての視点を尊重することが求められています。
おとなが子どものSOSに気づく
子どもがしんどい状況におかれ、もう話ができないと自分を追い込んでしまう前に、まずおとなは、子どものちょっとした変化に気づくことが必要です。
子どもの問題行動は、問題提起行動、SOSでもあるのです。
気づいたときに、「どうしたの?」「何か困っているの?」と声掛けをしてみる、寄り添ってみる。話すタイミングは子ども自身が決めるので、子どもが話をしてみようかなと思える関係性・環境をつくっておくことが大事です。子どもは、ここは安心な場だと思える環境に身を置けば、モヤモヤを抱えたり、自分の居心地が悪いと感じたときに、声をあげることができます。
専門家でなくても、少しの知識とスキルを身につければ、私たちも、慌てずに子どもとやりとりができます。そういう人が身近に複数いることは、子どもにとって大きな支えになります。
子どもの安心・安全な育ちを支えるために
CAPは、日本で30年、子どもへの暴力防止活動を実践し、これまで約600万人のおとなと子どもにであってきました。子どもの声もたくさん聴いてきました。先生や専門職に橋渡しが必要な深刻な内容もあれば、CAPの話を聞いて、自分がモヤモヤしていることを話す(聴いてもらう)だけで、すぐに問題解決とならなかったとしても、「すっきりした~」と元気を取り戻して帰る子どももたくさんいます。
CAPの私たちと話す練習して、話すことの心地よさを感じた子どもは、今後はもっと身近なおとなに話すようになります。実際に、学校や保育園・幼稚園などで行う子どもワークショップの直後は、先生に話をしに行く子どもが増えるのです。
おとなが子どもの変化に気づいて声掛けをすること、子どもが話しやすいと思う環境を作ることが、暴力防止(悪化防止・再発防止)には必要です。まずは子どもから見えているだろう状況に思いめぐらし、子どもの目線(視点)に立つことを心掛けてください。そして、子どもは権利をもっている、権利行使の主体であると理解し、子どもの力を信じることです。対応するおとなも疲弊しないように、不安や悩みを抱える子どもたちを孤立させることなく地域全体で支援していく体制をつくる-そのために地域のおとながつながって、知識とスキルを共通認識にする、共に学んでおくことが必要です。
すべての子どもが、自分は権利をもった大切な存在だと思ってほしい。
その子どもを見守る地域のおとながつながってほしい。
CAPは、子どもの安心・安全な育ちのために備えることを支援し、できるだけ多くのおとなが子どものSOSに気づけるようになってほしいと願っています。
子どもの権利を保障できる社会をめざそう
2023年4月に、こども基本法が施行されました。
「こども基本法」の第1条の目的には、『日本国憲法及び児童の権利に関する条約の精神にのっとり、次代の社会を担う全てのこどもが、生涯にわたる人格形成の基礎を築き、自立した個人としてひとしく健やかに成長することができ、こどもの心身の状況、置かれている環境等にかかわらず、その権利の擁護が図られ、将来にわたって幸福な生活を送ることができる社会の実現を目指して、こども政策を総合的に推進する。』と謳われています。
30年前から、子どもへの暴力は子どもへの人権侵害と位置付け、活動してきたCAPとしては、
ようやく、子どもを権利行使の主体と位置づけ、子どもを中心においた施策の展開の基盤となる法律ができ、しくみづくりが始まったことの機運も加速させねばと思っています。
子どもが生きやすい社会は、誰にとっても生きやすい社会です。
今年は、日本が子どもの権利条約を批准して30年!
今こそ、誰もが安心して暮らせる社会を、ご一緒にめざしましょう。
子どものSOSに気づけるおとなをもっと増やすために、ご支援ください。
いただいたご寄付で、地域で子どものSOSに気づけるおとなを増やす事業(CAPおとなワークショップ)を展開していきます。
寄付のおもな使途
・市民団体が開催するおとなの学びの場(CAPおとなワークショップ)への資金提供(2万円×25回程度以上)
・おとなワークショップを提供する活動者のスキルアップと事業運営にかかる経費
CAPセンター・JAPANについて
CAP(キャップ Child Assault Preventionの英語の頭文字をとったもの)は、子どもへの暴力防止という意味です。日本で1995年から、子どもの人権侵害である暴力を予防するための活動を実践してきました。これまでに、全国の幼稚園・保育所・学校・施設の600万人以上のおとなと子どもにCAPプログラムを届けてきました。
詳しい活動は、ホームページをご覧ください。https://cap-j.net
CAPセンター・JAPANは、SDGsのターゲット16.2「子どもに対するあらゆる形の暴力をなくす」の達成のために活動しています。
GIVING for SDGsについて
このプロジェクトは「GIVING for SDGs sponsored by ソニー銀行」の認定プロジェクトです。
「GIVING for SDGs sponsored by ソニー銀行」では、寄付決済時に発生する決済手数料をソニー
銀行が協賛することで、寄付者の想いがこもった大切な寄付金を全額 NPOに届けます。寄付金の
社会への還元性を高めることで、寄付文化の浸透および NPOの社会課題解決に向けた活動を支
援することが可能です。
▼GIVING for SDGs特設サイト
https://congrant.com/jp/corp/s...
▼ソニー銀行のウェブサイト
https://moneykit.net/?cid=cf_g...
ソニー銀行様より、以下の応援メッセージを頂きました
このたびは「GIVING for SDGs sponsored by ソニー銀行」へのご参加、誠にありがとうございます。
本プロジェクトは、虐待や体罰をはじめ、性暴力、いじめ、差別などを受ける子どもを周囲の大人たちが早い段階で気付くことで、子どもの自殺を予防するための知識とスキル強化を図るものです。
この取り組みが社会問題の解決や大人と子どもの相互理解の促進につながると同時に、増加傾向にある日本の小中学生の自殺数を減少させ、ひとりでも多くの命を救えるようになることを切に願っています。
また、ソニー銀行では、本プロジェクトを通じてSDGs目標「No3 すべての人に健康と福祉を」「No5 ジェンダー平等を達成しよう」「No10 人や国の不平等をなくそう」「No16 平和と公正をすべての人に」の実現にも貢献できることを期待しています。
寄付控除について
CAPセンター・JAPANは認定NPO法人ですので、いただいたご寄付は寄付控除をお受けになることができます。
寄付控除については、以下をご覧ください。
寄付金控除について https://cap-j.net/join/kihukou...
金額15,000円 |
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