活動の背景
1994年に日本が批准した子どもの権利条約は、子どもには、「自分に影響を与えるすべての事柄について自由に見解を表明する権利が保障されている」と規定されています。
しかし、家庭、学校、社会のなかで一人ひとりの子どもの声は十分に聴かれているとはいえません。虐待やいじめを受けても声をあげられず、あるいは声をあげても受け止められないまま悲劇に至ってしまったケースも散見されています。周囲が受け止めなかったり、声の大きい人にかき消されてしまったりすることがあるのです。
全国子どもアドボカシー協議会では、どの地域においても、子どもたちが等しく意見表明権を行使できる基盤をつくるため、子ども・若者の意見を聞きながら、子どもの意見表明支援(アドボカシー)を普及・啓発・支援する活動を行っています。
わたしたちは、各地の子どもアドボカシーを実践する団体・個人の皆さまと連携し、課題を乗り越え、子どもの権利の保障を基本とした社会の実現に取り組んでいきます。
各地で準備が進む「子どもアドボカシー」事業と課題
2022年6月に成立した改正児童福祉法により、子どもの権利擁護の環境整備を行うことが都道府県等の業務として位置づけられ、各地で仕組みづくりがはじまっていますが、子どもアドボカシ-(意見表明等支援)は新しい概念であるため 、抵抗感やためらいが動きを鈍らせがちな現状もあります。地域の中には、「どこから環境整備をしていったらよいか分からない」という声もきかれます。
2023年1月のNPO法人全国子どもアドボカシー協議会調べによると、アドボケイト(意見表明支援員)の育成や人材確保、関係機関との調整など、具体的な課題を抱えている自治体が多い一方、「子どもアドボカシー」自体が新しい概念であるため、「仕組みづくり全体」に対して事業を進めるうえで課題や障壁があると考えている自治体も少なくありませんでした。
わたしたちは、全国へ「子どもアドボカシー」活動を拡げるため、微力ながらその環境整備に少しでもお役に立てることができればと思い、各自治体や民間団体の課題やお困りごとをご相談いただける、コンサルテーション事業を実施するとともに、意見表明支援員(アドボケイト)の養成講座を行っております。
▼2023年1月NPO法人全国子どもアドボカシー協議会調べ➤詳細はこちら
▼意見表明支援員(アドボケイト)養成講座の様子
国内で意見表明等支援(子どもアドボカシー)の取り組みがまだ進んでいない地域を中心に、子どもアドボケイト(意見表明支援員)を養成するための「子どもアドボカシー講座」を実施しています。開催地においてアドボケイトとして現場に入る人材を確実に養成するための活動を行っています。
子どもの声を大切にし、ともに生き育ちあう社会の実現を目指して
昨年度は、全国各地の子どもアドボカシー事業の事例報告を交えて各地の課題や活動の進捗について意見交換を行う「交流会」の実施や、地域で子どもアドボカシーを展開するための課題などについて議論する「自治体向けセミナー」などを実施。今年度5月には「子どもとともに生きる社会を実現するために」何が必要かを考えることをテーマとした「全国セミナー」(全国より150名以上が参加)を開催しました。わたしたちは、「子どもの声を大切にし、ともに生き育ちあう社会の実現」を理念に、子ども・若者参画を中心とした【アドボカシー(意見表明等支援)】を全国へ拡げる活動を続けています。
▼2023年度全国セミナーの様子(150名以上の方に会場またはオンラインにて参加)
2023年度の全国セミナーでは、子ども一人一人の声を、子どもを取り巻く環境や制度などの社会の仕組み・システムに反映させていくためのヒントを探ることをテーマとしたシンポジウムを開催.。子どもアドボカシーを、子どもと「ともに」を進めるためのアクションプランを考えるワークショップを実施しました。
代表者メッセージ
子どもアドボカシーは、子どもたちの声を聴いて、子どもの権利を実現するための新しい取り組みです。この協議会は、国内ではほとんど取り組みが進んでいない分野に挑戦する人たちが集い、社会に新たな視点を提供することを狙いとして立ち上げられました。
我々は、何よりも子ども・若者の声を大切にし、そして彼らから学び、解決しながら、彼らとともに、歩んでいきたいと思っております。微力ではございますが、当団体では、どの地域においても一定の質を確保した子どもアドボカシー活動が展開され、その推進を図れるよう、そのためのネットワークを構築し、当団体の活動を展開していきたいと思います。
ご支援の程どうぞよろしくお願いいたします。
主なメディア掲載
●2023年
5月18日 | 朝日新聞 東京版 | 子どもの声を社会に アドボカシーを考える |
5月14日 | 朝日新聞デジタル | 子どもの意見表明どう広げる 「子どもアドボカシー」で全国セミナー |
4月14日 | NHK Eテレ みんなのためのバリアフリー・バラエティーバリバラ | 子どもの声を聴いてみよう |
3月18日 | ANN系列局 全国放送のドキュメント番組 「テレメンタリー」 |
子どものきもち ~里親委託 おいてけぼりの心~ |
2月12日 | 京都新聞 | 親からの暴力、友達からのいじめ 本心聞き取り支援に生かす 広がる子どもアドボカシー |
●2022年
10月4日 | 徳島新聞 | 親の暴力・友達からのいじめ 苦しむ子の声逃さない 広がる「アドボカシー」 |
9月27日 | 岩手日報こども新聞 | 幸せにくらす権利を守る「子どもアドボカシー」重要 |
9月8日 | 共同通信 | 「子どもプラス」「広がるアドボカシー」 苦しむ子どもの本心聞く 希望を知り、権利守る |
6月14日 | NHKニュース (17時・19時・21時) |
「こども家庭庁」で何が変わる |
5月13日 | NHK おはよう日本 | 「君の声が聴きたい」子どもたちの声に耳を傾ける |
5月6日 | 朝日新聞 | 子どもアドボカシー、全国協議会が設立 「私抜きで決めないで」 |
5月5日 | NHK ニュース | 「子どもの声聞く環境づくりを」虐待を体験した若者が訴え |
3月27日 | 毎日新聞 | 子どもアドボカシーの全国組織発足 意見表明の支援員育成目指す |
3月16日 | 西日本新聞 | 苦しむ子の「声」後押し 全国組織27日発足 福岡に事務所 |
寄付金が使われる事業
子どもの権利条約を基本とし、子ども・若者とのパートナーシップのもと、子どもアドボカシー活動を推進する団体・個人の交流と連携を通して、子どもの声を大切にし、すべての子どもの権利を尊重する社会の実現に寄与することを目的として活動しています。
(1) 子ども・若者によるアドボカシー事業(子ども・若者委員会の運営)
⑵ 子どもアドボカシー活動を推進する団体・個人の交流・研鑽事業(全国セミナーや交流会の開催、子どもアドボカシー事業の相談対応など)
⑶ 独立アドボケイトなど人材養成及びプログラム開発事業(アドボケイト養成講座開催など)
⑷ 子どもアドボカシーに関わる調査研究及び提言事業(子どもアドボカシー事業の手引き作成、その他調査研究など)
⑸ 子どもアドボカシーに関わる情報提供及び広報事業(ホームページ改修費、年次報告作成費など)
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