認定NPO法人キャンサーネットジャパンは、小児がん啓発・支援の一環として、脳腫瘍の子供達が治療のために必要な検査を受けられるよう本プロジェクトを立ち上げました。皆さまからの温かいご支援をお願いいたします。
*本プロジェクトは、日本小児がん研究グループ(JCCG)脳腫瘍委員会の「小児脳腫瘍の遺伝子検査(メチル化中央診断)プロジェクト」に賛同し、実施しているものです。
なお、毎月、毎年定額で継続的にご寄付をいただく方法もございます。継続的にご支援いただくことで、安定して脳腫瘍の子供たちが最適な治療を受けることを支えることができます。
2023-02-27 17:11
応援メッセージ2:平戸 純子先生 (公立富岡総合病院診療部長/群馬大学医学部病態病理学非常勤講師)
病理診断では、細胞の形や組織構造の特徴によって腫瘍のタイプを診断します。腫瘍のタイプによって治療方法が異なるため、正確に診断することは、治療に携わる脳神経外科や小児科の先生方が適正な治療方法を選ぶ上で非常に重要です。小児に発生する脳腫瘍は、性質が異なるタイプの腫瘍が同じように見えてしまうことがあり、正確に診断することが特に難しいとされています。
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平戸 純子(公立富岡総合病院診療部長/群馬大学医学部病態病理学非常勤講師)
私は長年病理医として脳腫瘍の病理診断に携わってきました。病理診断では、細胞の形や組織構造の特徴によって腫瘍のタイプを診断します。腫瘍のタイプによって治療方法が異なるため、正確に診断することは、治療に携わる脳神経外科や小児科の先生方が適正な治療方法を選ぶ上で非常に重要です。 身体にはさまざまな種類の腫瘍が発生しますが、脳腫瘍は種類が多いこと、同じ腫瘍のタイプでも多彩な細胞形態を示すことや、症例が少ないために経験を積む機会が十分得られないことなどから、診断が難しい腫瘍の一つとされてきました。その中でも小児に発生する脳腫瘍は、性質が異なるタイプの腫瘍が同じように見えてしまうことがあり、正確に診断することが特に難しいとされています。現在では、細胞の形や組織の構造といった、個人の見方や解釈に左右されすい性質だけでなく、特徴的な遺伝子異常の解析結果を合わせて診断することが行われていますが、タイプによっては、解析に多くの労力が必要とされます。さらに最近ではより客観的な分類として、メチル化解析による腫瘍のタイプの分類が行われています。従来の形態学的な方法では診断が難しかった腫瘍もメチル化解析を行うことでより正確な診断ができるようになりました。診断がむずかしい腫瘍の全てでメチル化解析を行うことが理想ですが、費用がかかります。なるべく多くの患者さんがこのような新たな研究成果の恩恵を受けられ、適切な診断と治療を受けることが可能となりますように是非ご協力をお願いいたします。