中途養育者とは
現代において家族形態は多様化し、結婚のうち4組に1組は再婚であるといわれています。
しかし世間では一般的に「普通の家族」=「両親とその(血のつながった子)という規範的イメージが強く、それ以外の家族形態は無視されたり、偏見の目で見られたりしがちであり、定型の枠組みに入らない家族はその事実を隠して生活している事が多いという現実があります。
子連れ再婚家庭(ステップファミリー)、親族による養育、里親、乳児院・児童養護施設等で暮らす子どもに寄り添い働く方や、LGBTによる子育てなど、人知れず「血の繋がらない子育て」に携わっている方々は少なくありません。しかし、現代の日本社会においては望むと望まざるに関わらず結果的に「普通の家族」を装う形となり、当事者は必要のないストレスを溜め込んでいます。
血の繋がらない養育への支援については日本社会では殆ど話題になることなく、現代に至っています。
なぜ中途養育者に支援が必要なのか
昨今、目黒の義父からの不適切な関わりによる虐待死事件や、さいたま市の「親じゃないくせに」といわれた事が理由とされる、継子殺害事件など、メディアに取り上げられる中途から養育に携わった者による悲惨な事件を見るにつけ、このままではいけないと思い至りました。
これらの事件に遭遇し、被害に遭った子どもたちに対して胸が締め付けれらる思いになるのも、憤懣やる方ない思いが沸き起こるのは、誰もが共通する部分ではないでしょうか。罪を憎む気持ちもよく判ります。しかし、やり場のない感情から加害者を社会から排除しても、問題の根本は変わりません。新たな困窮家庭から同様の虐待が起こる「社会的連鎖」を止めなくてはなりません。
そのためには先ず、多くの中途養育者が何故「実子ではない子育て」に関わる事になったかを考えて欲しいのです。
・子どもが授からないから、・好きだった相手がたまたま子連れだったから、・親族の家庭事情から引き取らざるを得なかった、など、理由は様々かもしれませんが、殆どの場合に、その決心の根底には「善意」があります。その行いは「子どもにとっての最善の利益」を考えた向社会的行動です。
それなのに何故、望んでもいなかったはずの「虐待の加害者」という立ち位置に陥ってしまうのでしょうか。
多くの中途養育者は通常「良い事をする際に社会は手助けをしてくれるはず」「なんとかなる」と考え、中途からの養育を決心します。
しかし、現実は甘くありません。養育に関して、社会は全く手助けをしてくれません。そもそも、中途養育者に関わる支援の枠組みが社会的に存在していないのです。
多くの中途養育者は子育て途上で多くの困難に遭遇します。その困難は元々「養育スキル」を持ってない事に起因します。
虐待事例の多くは、起こっている問題を家族が直接解決することが困難であり、かつ他の支援が届かない場合に発生すると考えられます。
虐待の連鎖を根本的に変えるため、我々に出来る事は何でしょうか。先ず「社会的に中途養育者を支援する枠組みを作る」ための活動ではないでしょうか。
すべての子どもたちに、温かくて優しい空間を
このページに辿り着いてくれて、ありがとうございます。A-Step代表、町田彰秀です。
ステップファミリー、親族、LGBTのカップルや里親、施設職員の方々など「実子ではない子育て」に携わる方々を「中途養育者」として、Webサイト「中途養育者サポートネット」を立ち上げてから約10年が経過していますが、昨今のマスコミ報道による中途養育者からの虐待事件や殺人のケースなどが報道される度に、中途養育者に対する社会的偏見から来るバッシングが強まっているように感じています。
元々、養育者が交替する際の家庭に起きる困難を社会に知ってもらうための活動をしている身として、非常に残念な事態です。
自分は亡くなった親族(ステップファミリー)の子を引き取る経験から、中途養育の困難を抱えている養育者との交流を、個人的に出来る範囲で続けてまいりました。
我々は元々、血の繋がらない子を中途より養育する事になった人達が相互扶助の精神で互いにサポート出来ることを目的としていました。しかしそれぞれの家庭で、子どもの成長と共に、家庭環境も変化していきました。同じ課題でも環境によって解決への道筋が変わってくるため、ある者は「普通の」家庭のように振る舞う事に成功したと考え、去っていきました。またある者は上手くいかず、その困難を家庭内で解決することが難しくなり、里親でいえば「措置解除」、ステップファミリーでいえば「再離婚」の道を歩むことになりました。セルフヘルプグループ活動は停滞していました。
そのような環境下ではありましたが、昨今の世論を感じるにつれ、自分たちの非力を嘆き、現状を静観するだけでは、多くの困難を抱える中途養育家庭にある子どもを救う事が出来ない。このままでは困窮家庭をさらに虐げる事に加担する事になると思いました。
我々中途養育当事者も、中途養育における「負の連鎖」をくいとめる義務があると考え、ここで多くの方々に活動への賛助を頂きたいと考えるに至った次第です。
何らかの理由で子どもたちの養育者が中途で交替せざるをえなかったとして、その子達に罪はないし、子どもの権利は守られなくてはいけません。
そのためには、中途養育者の自助努力以上の、一般の方々からの支援が必要です。
社会的に閉じてしまいがちな中途養育家庭における子ども達の社会的な居場所を再構築するために。
皆さまからの温かいご支援をお待ちしています。
中途養育者サポートネット
A-Step
代表 町田彰秀
ご支援の使い道
目標は「中途養育者支援を法の枠組みに組み込むこと」です。
しかし、これは簡単なことではないと思っています。どれくらいのコストと時間が必要なのか、見当もつきません。
私は、里親支援、ステップファミリー支援といった其々の立ち位置による権利擁護をイメージしているのではなく、養育者が交替する際の「子どもの権利を守るための最低限の支援」をイメージしています。里親には里親手当と養育費が支給されますが、親族里親は養育費のみ、ステップファミリーには何もありません。それぞれの立ち位置で養育者が困窮する際に子どもは余儀なく養育者交替を経験しますが、児童虐待はどのタイミングで起こるのでしょう。ひとり親支援や生活保護の前に、中途養育者が生活困窮に陥らない最低限の支援を構築する必要があると考えます。そこには支給に関わる部分だけでなく、中途養育者全域において、発達心理や社会的養護等の「学べる環境」を整備する事も挙げられると思っています。
もう一つは、中途養育者の困難を社会に伝えていく活動になります。中途養育者はその立ち位置から、親の会等、血縁規範の強い地域リソースの活用はとても難しいです。通常の養育者なら当たり前なことは、中途養育者には「養育のカラ期間」のために、部分的に養育スキルが抜け落ちてます。経験不足な事実を責められがちですが、その前に何故経験が不足しているかに気づき、手を差し伸べられる社会を作る必要があります。
私はこの日本という国が、子どものために本当に必要な事を検討し、支援を考えられる国になってほしいと切に願っています。それには中途養育するそれぞれの立場の方々が所属を超えて、協働し、中途養育者支援の枠組みを作っていく必要があると思っています。
しかし、現実にはまだ「何もない」といっても過言ではありません。
全てはこれからです。
皆様の賛同と協力を、一人でも多くの方から得られるように、頑張っていきます。
先ずはこのページをご覧になって頂いたあなたに。
悲しい事件を二度とおこさない為に、ご賛同と、ご協力を どうぞよろしくお願い申し上げます。