活動の経緯:情報発信から若者支援へ
はじめまして。
一般社団法人DiVE.tvの代表理事を務めております牧野佳奈子と申します。
私たちは2015年に、「多文化情報の発信」を掲げて活動を始めました。まずは愛知県内に住む外国籍の人たちのことを知ろう、そして知らせよう!と、様々な人にインタビューをし、ビデオをつくってYouTubeにアップしました。(合計180本の多文化ニュースは、こちらからご覧いただけます)
しかし次第に、ビデオ取材という方法ではアプローチできない人たちがいることに、気づいたのです。
それが10代後半の若者でした。
「子どもが不登校になった」
「うちの子はせっかく高校に入れたのに中退した」
「また20代の子が自殺未遂した」
「入管に収容されている人の中には日本語がペラペラの若者が結構いるよ」
などなど、外国籍の友人知人が増えるにつれ、若者のことを心配する声をちらほら聞くようになりました。
しかし肝心の若者は、どこに行けば会えるのかが分からない。会えたとしても、心を開いて話してくれる人はどれほどいるのか。また話してくれたとしても、彼/彼女たちの悩みにその場でアドバイスできることなど、たかが知れているのではないか...?
そんなモヤモヤした思いを胸に、2017年10月、10代の若者を対象とキャンプを初開催しました。
以後、参加者の人数や国籍数、プログラム等を見直しながら毎年「It's ME CAMP」を実施しています。
若者支援の現状と難しさ
愛知県は、東京に次いで全国2番目に外国籍の人が多く、約29万人が暮らしています。その中で最も多いのが、永住や定住の在留資格をもつブラジル出身の人たち。彼らは集合団地に住んでいるイメージが強いですが、今は一軒家を購入するなどして2世代3世代で住んでいる人も少なくありません。
つまり日本で生まれたり、幼少期から日本で育っている若者が増えているのです。愛知県には外国籍で10代の若者が約2万人(留学生や技能実習生を除く)おり、年々増加しています。
そうした中、最も大きな課題として取り上げられているのは日本語教育です。
文科省が2022年に調査した「日本語指導が必要な児童生徒」の数は、愛知県が全国トップで10,749人。2位の神奈川県(5,261人)の2倍以上でした。
そこで様々な自治体や非営利団体等が、子ども・若者の日本語教育や学習支援に取り組んでいます。
しかしその多くは小学生を対象にしたもので、中学生への支援は手薄です。また中学生への支援となると「目標が"高校進学"になりがちで、その先のことまではほとんど考えられていない」と複数の方々からお聞きしました。
高校生世代になると尚さら支援の量は少なく、高校に所属していない人に至っては実態もニーズもわかっていない...というのが現状です。
そこで私たちは「教育と仕事をつなげる愛知モデル構築プロジェクト」を立ち上げ、2020~2022年度に休眠預金を活用した事業として実施しました。
県内の定時制高校やブラジル人学校を対象に意識調査を行い、支援ニーズの高かった「情報提供」の内容や方法を吟味して、以下のような活動をつくりました。
① 仕事や資格に関する情報発信ビデオの制作
② 進路について考えるためのイベント(ワークショップ)
③ 自己肯定感を高めるためのクラブ活動(定期開催)
④ 個別の進路相談
「It's ME CAMP」から「mapa」へ
これらの活動は、一般的に「キャリア教育」と呼ばれます。
日本の公立/私立学校であれば、職場体験やインターンシップ、探究学習、進路指導などが実施されており、その内容もどんどん進化・充実しています。
しかし外国にルーツのある生徒の場合、たとえ言葉にハンディがなかったとしても、その前提となる知識(たとえばアルバイトと社員の違いや求職方法、在留資格による就労制限などの情報)が足りなかったり、自分に自信がなかったり、また親の意向で数年後にはどこに引っ越すか分からないといった不安定な状況が相まって、将来展望がしにくいというケールが少なくありません。
では、どんな活動を、どの順番で、どのように行うとよいのか。
私たちは多様な若者たちと接しながら仮説の設定と検証を繰り返し、次のようなステップアップの図を描きました。
この中で、最もハードルが高いのは「心の壁」を乗り越えることです。これは、日本に来てトラウマとなるような経験をしてしまったり、悪い噂などを聞き続けた人、また自分と回りの友達との違いに悩んだり、自分を見失ってしまった人に立ちはだかる大きな壁です。
この「心の壁」を抱いたままだと、日本語を学ぶモチベーションが全く起きなかったり、日本語はできてもその人自身の能力(ポテンシャル)を高める意欲が湧かなかったりと、一言でいえば "あまりにもったいない" 状況に陥ってしまいます。
It's ME CAMPやCAREER EXPOなどのイベントは、それを乗り越えるためのカンフル剤的な役割を果たします。
たとえば、過去のキャンプの参加者には、次のような感想を残してくれた人がいました。
「僕は自分が何者なのかよく分かりませんでした。でもここに来て、生きることには意味があると知ることができました。今では、たとえ日本語が上手じゃなくても他の人と話せると思えます」
「私は10歳の頃に日本の学校でいじめられました。それで私はずっと「日本人はブラジル人が嫌い」だと思い込み、自分から壁を作っていました。でもこのキャンプでそれは壊れました。そして、自分は何もできないという思いを乗り越えることもできました」
「キャンプファイヤーのステージで初めてMCやって、みんなの前に立った時なんも見えんくなって本当にやばかった!でもスタッフの人がめっちゃサポートしてくれたから、恥を捨ててがんばりました。これから多分、他の国の人を見る目がちょっと変わるかもしれないです」
たった2日間のイベントで、人はこんなに変われるんだ!...と、これまでのキャンプで何度も感動を味わいました。
しかし、それだけでは不十分だということも、同時に感じるようになりました。
その後のステップを1段1段のぼっていく長い道のりには、"伴走者"が必要なのです。
日本人であれば親や学校の先生や習い事の先生など、社会のことをよく知っている大人達が知らず知らずのうちに"伴走"してくれていることが多いです。しかし外国にルーツをもつ若者の場合は、彼らが置かれている状況や環境を深く理解し、さらに日本社会のこともよく知っている大人はそれほど多くありません。
つまり、モチベーションアップから伴走支援までをトータルにデザインする必要があるのです。イベントや情報発信、教室活動などをバラバラに行うのではなく、一連の流れをつくること。またそれぞれの活動を組み合わせたり、関連づけたりして、より多くの若者にアプローチすることが大切なのではないかー。
そのためには、活動内容だけでなく「場所」も大事にちがいない!
そう思ってつくったのが「mapa」という新しい拠点です。
「mapa」の可能性と必要性
今、mapaを担当している2人の常勤スタッフは、過去のIt's ME CAMP参加者です。
当時は再来日したばかりで日本語が全く話せなかったり、本当は話せるのに自信がなくて話そうとしなかったりと様々な壁を抱えていましたが、今ではすっかり支援者側に回り、後輩たちを力強く伴走しています。
また、今年のIt's ME CAMPをボランティアスタッフとして支えてくれる中心メンバーは、mapaに毎週来ている常連メンバーたちです。(18歳以下の常連メンバーは参加者としてキャンプに参加します)
そこに名古屋外国語大学の学生たちが加わり、一緒に準備作業を進めてきました。
こうしてmapaは、時に交流の場として、また時に学びの場として、また時には語り合いの場として、様々な物語を紡ぎ始めています。
そうやって若者たちの「声」を集め、一緒に考えたり、社会に向けてアピールしたりすることがmapaの役割だと思っています。
寄付金の使い道について
今回クラウドファンディングを実施するに至ったのは、今年度かかった以下の経費が赤字になっており、次の活動を展開するための資金的余裕がなくなってしまったためです。
この合計額100万円の赤字をゼロに戻すことができれば、次の展開(投資)として次のようなことを考えています。
非営利活動を継続するための経営は大変難しく、私(代表の牧野)自身、まだ未熟で勉強不足だと自覚しています。
ただ活動内容に関しては、今では自信を持って「間違っていない」そして「社会的価値がある」と断言できるようになりました。だからこそ、今後はより多く仲間を募り、「マキノのDiVE」ではなく「みんなのDiVE」「みんなのmapa」にしていきたいと強く思っています。
リターン(返礼品)について
私たちは、活動を応援してくださる方々と何かしらの繫がりをもちたいと思い、次のようなリターンをご用意しました。
1)読む・聞く・語る系
DiVE.tvの活動内容について、代表の牧野やスタッフ、常連メンバーたちの話に触れていただけます。
2)持つ・着る系
日系ブラジル人の若者たちが立ち上げたアパレルブランド「Righetti(リゲっチ)」の商品に、メッセージを添えて贈ります。Righettiは、デザイン、仕入れ、印刷発注、広報など全て日系ブラジル人の若者が手がけており、NHK名古屋やJICAセミナーでも紹介されました。
3)オーダーする系
DiVE.tvがもっている情報や知恵やセンス等を、ニーズに合わせてカスタマイズし、ご提案・ご提供します。ニーズが多ければ多いほど深くコラボレーションできるかもしれません。
次の100年をつくっていくために
日本は今、少子高齢化のピンチをどう乗り越えるのか?という岐路に立っていると思います。
単なる生産人口を維持するための外国人労働者の受け入れから、彼らと共に社会を築こうという多文化共生の理念実現に、どの程度シフトするのかしないのか。
私は本気でシフトしてほしいと願う者の一人として、肝心の当事者たちの声を一人でも多く集めたい。そして多文化共生社会の実現は理想論ではないということを、発信し続けたいです。
この志に共感してくださる方は、ぜひ仲間になってください。
どうぞよろしくお願いいたします。
2023/9/8
It's ME CAMP 2023 前夜のキャンプ場より
一般社団法人DiVE.tv 代表 牧野佳奈子
金額3,000円 |
金額3,700円 | 在庫39 |
金額5,000円 |
金額13,000円 | 在庫11 |
金額15,000円 | 在庫3 |
金額30,000円 | 在庫13 |
金額35,000円 |
金額50,000円 |
金額50,000円 |
金額100,000円 |
金額3,000円 |
金額3,700円 | 在庫39 |
金額5,000円 |
金額13,000円 | 在庫11 |
金額15,000円 | 在庫3 |
金額30,000円 | 在庫13 |
金額35,000円 |
金額50,000円 |
金額50,000円 |
金額100,000円 |