身勝手な人間たちと暮らす犬たち
かつての保護は、「飼い主が亡くなった犬」や「捨てられていた犬」の保護の他、「咬みつく」「吠える」など、飼い主の手に負えない犬の保護が多かったものですが、最近は、「結婚相手が犬が嫌いだから」とか「ペットショップで聞いていた話と違うから」とか「犬が増えすぎて処分しないと退去させられるから」などなど、「そもそも、この人は飼う資格がない!」「なんでこの人が犬を飼ったの?」という人からの保護が増えました。
そういう人たちからすると、犬は、いらなくなったら捨てられる存在なのです。
我々は「こんな飼い主の元で暮らす方が不幸だ!」と思い、こういった飼い主から犬を保護しています。
犬たちに罪はない
犬は飼い主を選べません。
出会った飼い主が悪かったばっかりに、ずーっとサークルに入れられたまま、満足にご飯も与えられず、生まれてから一度もシャンプーもされず、病気になっても放置されていた犬、不幸にも生命を落とした犬もいます。
犬に罪があるわけではないのに・・・だから我々は、そういった犬を保護した時は、「我が子」として迎え入れ、保護したワンコたちが「ここに来てよかった!」と思えるよう、愛情をたっぷりかけています。
また、我々以上に愛情をかけていただける里親さんが来られた場合、保護犬と里親さんとの相性をしっかり考えた上で、ワンコが「里親さんのところへ来てよかった!」と思えるような方に譲渡しています。
不幸な犬がどんどん増えている
しかし、最近は健康状態の悪い犬の保護が多く、突発的な医療費の負担が多くなってきました。
たとえば、多頭飼育環境で育ったスミレ(1歳)は、近親相姦のくり返しで生まれたため、先天的な心臓疾患を持っていて、手術をしなければ4、5年で生命を落とす診断でした。
保護犬は、「お金のかかる治療」を受けられないことが多いです。「殺処分ゼロ」の愛護センターで保護しても、医療費のかかる、重篤な疾患の治療は行われず、自然死を待ちます。小さな保護団体では、保護そのものを拒否します。
でも、無知な飼い主が、避妊や去勢もせず飼い続けた結果で、スミレに罪はない・・・だから我々は、スミレに手術を3回受けさせ、完治はしなかったものの、普通の犬と同じくらい生きられるようになりました。
ただ、手術には50万以上の費用がかかっており、また、腎臓疾患もあるため、一生療養食を続けなければなりません。心臓も完治したわけではないので、まだ1歳で遊びたい盛りですが、長時間遊ぶこともできません。譲渡もできないので、ここで一生暮らすことになるでしょう。
高齢犬の保護も増えています
高齢化社会が進んだ関係か、近年、高齢者が死別したり施設入所したりすることで、長年連れ添ったワンちゃんを飼えなくなるケースが増えています。
しかし一般的に、高齢者が飼っていた犬は治療費やケアの負担が大きい反面、譲渡会などで里親が見つからないこともあって、保護を断る所が多いのが現実です。
DOG DUCAは、そういった行き場のない高齢犬の保護をしてきましたが、2019年に、新たな取り組みとして、犬の飼育経験が豊富で元気な高齢者に、高齢者が飼っていた高齢犬を譲渡する「シニアドッグ・サポーター制度」を用意して、元の飼い主と暮らせなくなったワンちゃんたちに、新たな飼い主を見つけ、幸せに暮らしてもらう活動をしています。
しかし現実は厳しいものがあります。
元気で健康な高齢犬ばかりなら問題ないのですが、実際はそうではありません。
特に高齢者の健康状態が悪くなってから保護したケースだと、飼い犬のケアがほとんど出来ていない状態のため、病気が進行していたり、中には完治ができない状態になっている犬も少なくありません。
2020年に保護したパピヨンのリヴは、単身の高齢者が病院に搬送されてからずっと家に放置され、エサもなかったので、自身の後ろ足をかじって過ごし、保護した時にはすでに壊死して、片足を切断することになってしまいました。白内障もありましたので、譲渡せず一生ここで面倒を見ます。
譲渡できる子であっても、特に歯がボロボロになっている子が多く、手術するのに、一回5~6万円もかかっています。
白内障などの目の病気になっている子もは、治療費に年間5~6万円かかり、どこにも行き場がない高齢犬を救えば救うほど、経済的負担が大きくなる現実があります。
ここには、スミレやリヴのように他では生きられなかった子が集まります。
我々は、罪なき小さな生命たちをあきらめたくはありません。
年々高齢犬の保護が増え、治療費が上がっており、寄付は3,000円*からお願いします。
「小さな生命を守る」我々の活動に、少しでもお力添えをいただければ幸いです。
NPO法人 DOG DUCA代表 髙橋忍
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