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触法行為の背景について、浅見祐香先生
目白大学心理学部心理カウンセリング学科の専任講師・浅見祐香先生(公認心理師、臨床心理士)は、認知行動療法等が専門です。性依存や窃盗症等への支援経験を共有し、触法行為の背後にある依存や嗜癖行動を学習として捉え、再学習の必要性を強調します。
「人は生まれたときから犯罪や触法行為をしているわけではありません。それらの行動も学習の結果であるため、新しい学習を通じて触法行為をしないという選択が可能になると考えられます」
グループセラピーが対人関係への気づきや改善に有効である一方、認知行動療法は個別の支援も大事と指摘。支援者との共同作業を通じて、行動の背景にあるものを分析し、代わりとなる行動を見つける支援の重要性を語りました。
「結果の部分は一人ひとり異なる場合が多いため、これをしっかりと見極めながら、代わりとなる行動が何か、どうすれば少しでも置き換えられるかを一緒に考える取り組みを行っています」
課題と展望として、性依存や触法行為に対するプログラムの整備が遅れている現状を指摘し、外部専門家の活用がプラスになると提案しました。
壮絶な過去と現在、青木知明氏
川崎マック施設長の青木知明氏は自身のアルコール・薬物依存症の経験や、触法行為に至るまでの壮絶な過去を赤裸々に語りました。
「アルコールや薬物への依存は非常に早い段階から始まりました。具体的には、中学校1年生や2年生頃にシンナーやお酒、タバコに手を出してしまいました」
父親は医者、母親は教師という家庭に生まれましたが、幼少期に父親が不倫の末に家を出ており、母親が一人で3人の子どもを育てる状況でした。その後、青木氏は暴走族となり、地元で非行に明け暮れる生活を送るようになります。
「私には姉と弟がいますが、そのような家庭環境の中で育ったことが影響し、やがて孤立感を抱くようになり、非行や依存症への道を歩むことになりました」
家庭環境の不和や孤立感が、彼を非行や依存症へと駆り立てる要因となっていったと語ります。
青木氏は「刑務所の回転ドア現象」(刑務所を出たり入ったりを繰り返すこと)を例に挙げ、触法者が福祉の支援を受けられない構造的課題を指摘。法務省と厚労省の連携が十分とは言えず、民間が担っている現状を解説しました。
「この50年担ってきているのは、我々だという自負はあります」
ジャパンマックや自助グループとの出会いが自らの回復を支えたと語り、早期につながることの重要性を強調しました。現在は支援者として活動しており、「当事者の経験」を活かして回復の支援に取り組んでいます。
矯正施設退所者の受け入れ、森啓介氏
ジャパンマック事務局長の森啓介氏は、みのわマックでの矯正施設退所者の受け入れ体制を整備する経過を共有しました。
「みのわマックが矯正施設の退所者をきちんと受け入れる体制を整えることになったのは、実はそれほど古い話ではありません。この4~5年の間に、少しずつ形を整えてきたという経緯があります」
また、刑務所出所者や性嗜好障害者への支援の実例を挙げました。性嗜好障害のケースでは、何度も警察の対応を要するトラブルになり、地元に住むことができない状況にあった当事者を受け入れた事例を紹介。このケースでは、当事者がマックでの支援を受けて回復の道を歩む一方、その家族も心の整理を進められたことが成果として挙げられました。森氏は語ります。
「我々だけで、いわゆる犯罪を犯した方々を支援するのは非常に難しいことです。また、依存症の回復においては、仲間と共に過ごしながら自分と向き合う時間がとても重要だと改めて気づかされました」
回復を目指すには、安全に暮らし、通える場所が不可欠であり、バーブホームの再建が急務であると訴えました。
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