私たちの取り組み
自由に過ごすことのできる「居場所」
福山駅から徒歩10分。ビルの3階に私たちの運営する居場所があります。学校の課題をするために来る。ちょっと金欠の時にご飯を食べに来る。ここで出会った仲間と待ち合わせをするなど、使い方は自由。何となく一人でいるのが嫌で来ることや、モヤモヤを聴いてほしくて来ることもあります。
特別な相談や困りごとがあってもなくても行ける場所があることは、実はとても大切。自分にとっての居場所があれば、“この社会にいてもいいんだ”と感じることができるからです。
また、相談することに慣れていない若者は、困っていることを話すのにとても勇気が必要です。雑談をする内にふと出てくる悩みごとは、既に大きな問題に膨らんでいることも。そんな時には相談スペースでじっくりと話を聞きます。「P横」と若者が呼ぶ場所のすぐ近くに、この居場所スペースはあります。
食を通じてつながりを届ける「アウトリーチ」
居場所に来ることができる人もいれば、距離的に、精神的に難しい人もいます。そんな人たちには私たちが会いに行きます。食べ物や生活用品を持って行ったり、一緒に部屋の片付けをしたり、ちょっと気晴らしにご飯を食べに行ったり。「最近どう?」「元気だった?」と顔を見て話す時間を大切にしています。
近くの子にはお弁当を持って車で、遠方の子には食品や生活用品を宅配便でお届けします。ボランティアさんときれいに包んで手書きのメッセージカードを添えています。“一人じゃないよ”という気持ちも一緒に届くと良いなと思います。
ボランティアさんの手作り弁当 人気なのはもちろん肉料理!
校内居場所カフェのモデルづくり
学校へのアウトリーチ
全国的には増えつつある「校内居場所カフェ」。学校の中に第三の居場所として設け、生徒の声が気軽に出せる場を提供します。利害関係のない大人がそこにはいて、気持ちを吐露することもできます。
高校の先生方とお話ししていると、「自分の気持ちを話すのが苦手な生徒が多い」という言葉をよくお聞きします。10代後半の若者は、自分の気持ちに自分自身が気づけず、なんだかモヤモヤする。気分が落ちる。イライラする。といった感覚的なものは感じられても、それに向き合い、言葉にするのは難しいのです。
じっくりと言葉にしていくには、大丈夫だと感じられる安心安全な場と時間が必要です。居場所はそれにとても適した場です。あれこれ雑談している内に、気分は少しずつ感情として浮かび上がり、感情と共に本当は言いたかったことが言葉になっていきます。先生に相談ができるとしたらその後なのです。
そんな意味のある校内居場所カフェですが、広島県内の県立高校では実施されていませんでした。そこで、モデルづくりのために、学校と協働で始めたのが「まなびカフェ」です。まだまだ手探りな状態ですが、継続できるモデルづくりを模索中です。
自立へ向けてサポートを受けながら住む「自立援助ホームエクリュ」
15歳~20歳の女の子が暮らす自立援助ホーム。児童養護施設等で暮らした経験のある子や、家族を頼れず自立を目指す子などが入居しています。アルバイトで生活費を稼ぎながら、利用料を払い、貯金をしてひとり暮らしに備えます。アルバイト代は10万円に満たないことが多いのですが、その中から30万~50万円貯めて自立します。
トラウマなど抱えている場合も多く、まずは安心して暮らせることが第一。スタッフも一緒に居心地の良さに取り組んでいます。いろいろな「自分らしさ」を大切にできることが、その後の生活を支えます。心の安定が、未来を築く土台となります。それぞれが実現したい将来像を描き、そこに向けた生活が送れるようにお手伝いしています。
心身の不調が出やすく、病院受診が必要になることもありますが、基本的に医療費は自己負担。受診をあきらめることも珍しくありません。
困った時の家探し「居住支援」
「寮付きの仕事を辞めたので、すぐに家を探さないといけなくて・・」と言われることがあります。しかも初期費用がほとんど無い!という大ピンチにも遭遇します。そんな時に心強いのが協力してくれる不動産屋さん。そこでは「なぜ家族が保証人になれないんですか?」と言われる心配はありません。事情をよく把握してくださっているからです。
家族が保証人になるのが当たり前。というような、世間の壁はいたるところにあります。「保証人がいない自分は普通じゃないのか」と感じさせることのない社会をつくっていきたい。今日帰る家に困る若者がいることを、もっと知ってもらい、一緒に考えていただけると嬉しいです。
晴れ着プロジェクト
現在、成人式の振袖・前撮りの相場は20~30万円と言われており、親を頼れない若者は諦めることが少なくありません。そこで私たちは、年齢性別を問わず頑張っている若者が自分の好きな衣装、好きなロケーションで、好きな人と一緒に「今この時の私」を撮る時間をプレゼントしたいと考えています。
協力してくださる方々のお陰で、2年連続で晴れ着の撮影をプレゼントできました。「自分の未来が明るいなんて思えない」「自分に価値なんてない」とつぶやく子たちに、あなたは大切な存在で、可能性を沢山秘めているんだよと感じてもらえたらと願い、活動を続けています。
このサポーター活動について
若者を孤立させないために
ここまでご紹介したものは、すべて自主事業が土台となっています。対象を限定しない居場所の運営。食べ物を通じてつながりを届ける支援。校内居場所カフェ。保証人がいなくて賃貸契約が難しい若者への居住支援。今日帰る場所がない時の緊急支援。晴れ着撮影など、さまざまな機会を通じて、「あなたは一人じゃないよ」という気持ちを届けています。
現在、助成金や補助金が得られているものもありますが、助成金は最大3年間です。補助金も十分ではありません。「一人じゃないよ」を届ける活動をサポーターの皆さまと一緒に続けていきたいと思っています。
やさしさが未来を創り、更に未来にめぐる。今まで私たちが受け取ってきたバトンを、次の世代につないでいきませんか。