ごあいさつ
一般社団法人笑壺研(えつぼらぼ)代表理事 小越康宏
国立大学法人 福井大学 学術研究院 工学系部門 教授、博士(工学)
社会の中で生き抜く力には、得意なことを最大限に伸ばし、様々なスキルを身に付けて自信をつけ、自尊心や自己肯定感を高めることが重要です。笑壺研では多様な活動を通じ学びの場を提供し、社会との接点を持ちながら自立に向けた支援を行っていきます。
放課後等デイサービス「えつぼJr.(えつぼじゅにあ)」について
私たち、えつぼJr.では、発達障害・パステルゾーンのお子さまを対象に、療育を行っています。発達障害児・者が抱える問題は百人百様ですが、彼らの持つ能力もまた、百人百様です。状態像を的確に捉え、適切な支援が重要視されています。そのため、私たちのえつぼJr.では、教育・医学・心理学・情報工学・薬学などの専門家が一丸となり、十分な検証を行ないながら支援を進めています。
お子さまの持つ特性として、例えば、時に過敏すぎる感覚は、ある状況には対応しにくい原因かもしれませんが、別の場面では思いがけない能力になるかもしれません。彼らの能力は未発掘の資源―私たちはそう捉えています。何が飛び出すのか、私たちも予想がつきません。そのクオリティは、世界に誇れるレベルのものかもしれません。
「笑壺」とは、大喜びするという意味です。えつぼJr.では、自分の能力を見つけ、発揮するその喜びを感じてもらうために、1人ひとりの適性を探っていきたいと思っています。すぐに怒り出す、落ち着きがない、忘れ物が多い、音読が上手にならない、一人で遊ぶことが多いなど、しっかりと丁寧に把握し、そして、適切な支援を行っています。
※パステルゾ-ンとは
発達障害の「パステルゾーン」とは、発達障害の特性が見られるが、診断がつくための基準には達していない状態を指します。
これまで、診断基準を満たしてはいないため、黒(=障害)ではないけど、かといって白(=定型発達)でもないということで「グレー」ゾーンという言葉が使われることが多くありました。しかし、子ども一人ひとりの個性は単純に白と黒とその間のグレーなのでしょうか?発達のスペクトラムと言われるように、その子その子、一人ひとり色が違うはずです。このような考え方から、「パステルゾーン」、「発達パステル」という呼び方が広まりつつあります。私たちのオリジナルマークもパステルを基調にした色で作られています。
※「障害」という表記について
笑壺研では「障害 disorder」は特性のある方、その人自身の中にあるものではなく、社会、ならびにその人と社会との間の障壁(社会的障壁)によるものであり、障害者=社会にある障害と向き合っている人たち、と捉えているため「障害」という言葉を使っています。
プロジェクトを立ち上げた背景
保護者の皆さまにとって、学校や放課後等デイサービスでのお子さまの様子が気になると思います。また、お子さまのまわりには、担任の先生、保護者、支援者など、大勢の大人たちがいます。みんなが共通認識をもって、お子さまを見守り、同じ方向性をもって温かい環境で、適切な支援を継続することが重要です。
当法人の研究者らによって開発された、学校、家庭、福祉機関、さらに、医学や発達心理学、教育学などの専門家を連携させる ICT個別教育支援システム* を当放課後等ディサービスにおいて実践的に活用することで、保護者様と支援者が、お子さまの日々の様子を記録・共有することができます。蓄積されたデータの分析機能を用いることで、お子さまの成長を目に見える形で確認したり、支援者が一丸となって支援することにつながります。また、神経発達症(発達障害)の専門家からも支援に関するアドバイスをもらうことができます。
例えば、その日のお子さまに関する出来事を支援者と保護者が共有することで、放課後ディで上手くできたことを家庭でも褒めてあげたり、上手くできなかったことをフォローアップしたり、専門的な支援について相談したりすることも可能となります。
*https://www.ieice.org/~cs-edit/magazine/number_63/197_kaiseturonbun/kaiseturonbun.html
えつぼJr.では、ベテランスタッフが日々考案する療育の個別プログラムが実施され、その成果についても日々記録されるため、そのお子さまに適した支援方法などが蓄積され、振り返りや、これからの支援プランの検討に役立ちます。将来の進学や就職においても、そのお子さまに適した環境調整や支援方法を詳細なデータとして引き継ぐことも可能となります。
成長の実感はデータとしてのエビデンスで確認することもできますが、何よりも、この半年間、専門スタッフの療育により、毎月お子さまの出来ることが増え、笑顔や語彙が増えていることを実際に実感することができます。それが私たちの励みになり、日々喜びを感じながら、お子さまの支援に取り組ませていただいていることを誇りに思っています。
このプロジェクトで実現したいこと
法改正により、令和6年度より個別支援計画には、5領域とのつながりを明確化する必要が出てきましたが、放課後等デイサービス「えつぼJr.」は、これをしっかりと実施できる施設です。素晴らしい自然、文化、歴史が息づく地域環境の中で、地域コミュニティとの連携により、子どもたちに豊かな学びと成長の機会を提供します。
現在取り組んでいるさらなる経営改善の効果が表れ、経営が軌道に乗るまでの間、施設の運営を維持し、経費の問題と療育の質の両立化が実現できる持続可能な施設を実現したいと考えています。
えつぼJrの特徴
えつぼJrの活動内容
自己肯定感や自尊心を高め生きる力を育むこと、研究成果に基づいたICTシステムによる、放課後等デイサービス・家庭、学校・地域一丸で連携した支援を大切に、次の5つの領域、すなわち
(1) 心身の健康や生活に関する領域「健康・生活」
(2) 運動や感覚に関する領域「運動・感覚」
(3) 認知と行動に関する領域「認知・行動」
(4) 言語・コミュニケーションの獲得に関する領域「言語・コミュニケーション」
(5) 人との関わりに関する領域「人間関係・社会性」
全ての領域を網羅し、個別の特性をよく把握したうえで、個に応じたバランスのとれたプログラムを熟考しながら療育を提供しています。
平日のミニ体験活動、土曜日の体験活動の内容は、自然、地域、運動、生物、歴史、文化芸術、ものづくり、コンピュータリテラシーや、プログラミング教育など、楽しみながら本物に触れながら学ぶ機会を多く取り入れるプログラムを実施しています。
施設の特徴と専門性
このプロジェクトのもうひとつの大切な目的は、素晴らしい自然や歴史・文化の中で、子どもたちが様々な体験をすることを通じて、これらを継承し、さらにIoTやICTを活用した新しい農業や芸術活動の創生など、発達障害・パステルゾーンの就労支援を行うことです。
私たちの事業所は、鯖江の中心街から10キロほど離れた、自然豊かな山間部である河和田地区にあり、写真の様に美しい大自然に囲まれた穏やかな環境にあります。写真の左後方には地域の体育館もあり、思う存分、体を動かすこともできます。
また、伝統的工芸品の漆器産業が盛んな歴史ある地域です。鯖江市の小学校は全校、給食で越前漆器を使用しています。えつぼJr.でも夏休みに、深く美しい色合いの越前漆器に盛られたお料理をいただきます。写真は福井の郷土料理のアブラギリ(油桐)というトウダイグサ科の落葉高木の葉で包んだ「葉ずし」で、地元産の食材や名水と呼ばれている「桃源清水」を使用して作られています。地域に伝わる伝統料理で食育できる素晴らしい環境です。
また、歴史的に薬草の里であったことから、自生する様々な植物が学びとなります。
写真は、メトロポリタンミュージアムやスミソニアン博物館で植物を用いた染色の研究を行ってきた博士(薬学)をもつスタッフが、植物について教えているところです。子どもたちは、植物を使った、飲み物づくりや、染色活動が大好きで、いつも興味津々で集中して取り組んでいます。私たちの事業所では、元教員や医学や心理学、植物、情報系の専門家・研究者、プロの芸術家がスタッフとして関わり、それぞれの専門性を活かした学びのプログラムの提供により、子どもたちの興味の幅を広げたいと思っています。自然は、化学や科学の面白さに気づくきっかけになります。プログラミング教育は、楽しみながら問題を解決する力や考える力を育てます。
さらに、伝統芸能である「狂言」が盛んで、小中学校には「狂言クラブ」もありますが、えつぼJr.でも狂言を学びます。
地域に伝わる狂言や自生する植物を用いた染色、アートなど、他では得られない文化的・歴史的な体験を子どもたちに提供することで、地域への愛着を育みます。この愛着は、地域コミュニティへの参加意欲を高めるきっかけとなり、子どもたちが積極的に地域社会に関わろうとするモチベーションの向上にもつながります。
地域に伝わる狂言や自生する植物を用いた染色、アートなど、他では得られない文化的・歴史的な体験を子どもたちに提供することで、地域への愛着を育みます。この愛着は、地域コミュニティへの参加意欲を高めるきっかけとなり、子どもたちが積極的に地域社会に関わろうとするモチベーションの向上にもつながります。
寄付金の使いみち
お子さまに提供するICTによるプログラムや教材開発、また、染色や芸術活動、運動、自然体験プログラムにおいては、様々な、材料や道具が必要です。お子さまの様々な特性に応じた安全面の確保のための施設の設備の充実や、備品の購入も必要となっています。
また、私たちの事業所は郊外の中山間地域にあるため、都市部とは異なる問題も抱えており、特に、送迎にかかる諸費用が必要となります。
さらに、当施設を訪れるお子さまは着実に増えているものの、世の中の発達障害やパステルゾーンに対する認知を広げ、支援の必要性についての理解を深める必要があることを日々痛感しています。今後、講座や講演会の開催、様々なSNSによる情報発信を行い、地域社会での発達障害やパステルゾーンに関する啓発活動や広報をさらに強化していきたいと考えています。
現在、利用者数と経費のバランスが取れるよう経営改善にも努めていますが、そこに至るまでの間に皆さまからのご支援をいただけましたら幸いです。
■目標金額分:60万円
- ICTによる教材開発:子どもたちの療育に役立つ教材の開発。
- 歴史・文化・芸術、自然体験プログラムの開発や必要諸経費
- 安全面の確保:施設の設備の充実や、備品の購入、送迎に関わる諸費用。
に充てたいと考えております。ファーストゴールを達成した場合、次の目標として120万円を目指し、以下の活動に充てたいと考えております。
■Nextゴール:120万円
- コミュニケーションスキルトレーニング:子どもたちのコミュニケーション能力を育成するための新しいプログラム開発。
- 得意を伸ばす活動:個々の得意分野を伸ばすためのプログラム開発の実施。
最後に
間近で子供達と接して (4月から初めて放課後等デイサービスに勤務するスタッフより) 「流れをこよなく愛する子」
川の側で車を停めたら、走り出て姿が見えなくなったこともあるという男の子のご利用が、6月から始まりました。ベテランスタッフが皆、どう対処して良いのか、困惑しているのが分かりました。彼には、スタッフは常時2人で対応します。目を離すと、彼は私達が目を離したことを感じとり、さっきまでお行儀良く努力していた態度が一変するからです。
私は初めての送迎時の運転を担当しましたが、窓ガラスに唾を吐き、シートベルトを差し込む窪みに唾を流し込む、そんな行為が続きました。ベテランスタッフは、ご家族と対処法を相談しながら、唾を吐かないための飴を準備したり、大好きな「働く車」の図鑑を用意したり、来所する度の彼の行動に応じて、次の回までに、スタッフ一丸となって何十もの対応案や教材を相談し、考えながら、実践を続けました。流れを見るのが好きな彼とは、2、3回川沿いを一緒に歩きました。手をつないで、「流れてるね」「葉っぱ、ばいばい」と一緒に話しながら歩いたことは、少しずつ、でも確実に、彼の中に蓄積されていたようです。
このような取り組みを続けていると、ほんの2か月で、飴も図鑑もなくても、送迎時の唾吐き行為は激減しました。さらに、語彙も増え、外に飛び出ることはほとんどなくなりました。
えつぼJr.では、できた時にはどんな小さなことでもたくさん褒めます。信頼できる大人から褒められると良い気持ちになり、頑張ろうという新たな意欲が湧いてきますし、自分を信じてもらえていると感じると、力はより発揮できるものです。彼の態度や、口から出る言葉からは、えつぼJr.に来て嬉しい気持ち、ここにいていいんだ、ここで頑張ろうという気持ちが溢れ出ているように感じます。
(えつぼJr.のスタッフ一同より)
これからも、我々スタッフ一同、発達障害、パステルゾーンのお子さまの療育に取り組み、多様な活動を通じてお子さまの個々の能力を最大限に引き出す場を提供することで、お子さまが自立への一歩を踏み出すためのサポートを行っていきたいと思います。
発達障害の特性のある人々の「凹」を埋めるのではなく、「凸」を活かす環境を作ることは、支援であるだけでなく、社会全体の多様性と持続可能性のために重要と考えています。えつぼJr.の活動が、障害者支援の枠を超えて、誰もが自分の能力を見つけ、発揮する喜びを感じてもらえる社会になるよう貢献していきたいと考えております。何卒よろしくお願い申し上げます。
コース紹介
①お礼メッセージと活動報告
寄付金:3,000円
いただいたご寄付で子どもたちの療育のための活動へ使わせていただきます。
・代表理事からのお礼と、施設の近況報告のメールを定期的にお送りします。
②お礼のメッセージと越前和紙カード
寄付金:5,000円
いただいたご寄付を子どもたちの療育のための活動へ使わせていただきます。
・代表理事からのお礼と、施設の近況報告のメールを定期的にお送りします。
・子どもたちが書いた絵を越前和紙に印刷したカードをお送りします。
③薬草講座・染色講座に関するオンライン講座へのご招待
寄付金:10,000円
いただいたご寄付を子どもたちの療育のための活動へ使わせていただきます。
・代表理事からのお礼と、施設の近況報告のメールを定期的にお送りします。
・子どもたちが書いた絵を越前和紙に印刷したカードをお送りします。
・薬草講座または薬用植物の染色等の各種オンライン講座へご招待します。
④ハーバルサシェと薬草講座・染色オンライン講座へのご招待
寄付金:30,000円
いただいたご寄付を子どもたちの療育のための活動へ使わせていただきます。
・代表理事からのお礼と、施設の近況報告のメールを定期的にお送りします。
・子どもたちが書いた絵を越前和紙に印刷したカードをお送りします。
・薬草・薬茶・薬用植物の染色等の各種オンライン講座へご招待します。
・河内桃の葉やミント等を包んだ匂い袋、ハーバルサシェをお送りします。
一般社団法人笑壺研
ホームページ: https://etubolab.org/
代表:小越康宏
設立年月日:2018年12月28日
金額3,000円 |
金額5,000円 |
金額10,000円 |
金額30,000円 |
金額3,000円 |
金額5,000円 |
金額10,000円 |
金額30,000円 |