アジア協会アジア友の会

フィリピン コロナと台風、生活を営むすべを失った人々のために

2020年11月大型台風22号(ユリシーズ)がフィリピンを襲い、300万人を超える人々が被災しました。マニラ首都圏東部、およびリサール州では、周辺を流れるマリキナ川の増水により各所で洪水が発生し、家屋が浸水し、コロナ感染拡大もおさまらない中で、非常に困難な生活を余儀なくされている被災者が多く出ました。コロナ禍で収入のある仕事をすることができず、どん底の暮らしをしている中で台風にも襲われ、住まいや家財すべてを失ってしまった村人たちは、生き延びるすべも見当たらない状況です。 被災者の方々が生命をつないでいくために、生活を復興していくために皆様のご支援・ご協力をお願い申し上げます。

はじめまして。アジア協会アジア友の会(JAFS)と申します。

アジア協会アジア友の会(JAFS)は、大阪を拠点にアジア18ヵ国にネットワークを持ち、現地NGOと協働している国際NGO団体です。

1979年に設立され、今年で42年目を迎えます。私たちは、水・教育・環境・自立の4つを軸に活動を行なっています。

思いもよらない大きな台風被害 コロナで進まぬ復興

台風ユリシーズ(国際名Vamco)は、2020年11月11日から12日にかけてフィリピンを横断し、特に北部の多くの州を壊滅的に破壊しました。北部のカガヤン州、イザベラ州、ヌエバビスカヤ州、キリノ州等では約151,600世帯の人々が家屋の倒壊等、深刻な被害を受けました。台風の影響で、農業と社会基盤が合計約129億ペソ(226,418,835.00ドル)破壊され、2020年にフィリピンを襲った最悪の台風として宣言されました。フィリピンには毎年多くの台風がやってきますが、今回は特に世界的に問題になっているCovid-19の感染拡大と重なり、復興への手掛かりがつかめず、困難な状況に陥っています。

リサール州は、台風ユリシーズの大きな被害を受けた場所の1つです。 25,000を超える家族が州内の137の避難所で避難生活を送りました。カルドナ市では、洪水によって家屋が浸水し、人々は避難所に移動することを余儀なくされました。漁業を生業とする村人のボートも壊れ、また設置した養殖場の100を超える囲いは、部分的または完全に損傷し、破壊されました。そのため、養殖魚が逃げ出し、大きな損失を受けています。人の背を超える高さの水が家に侵入したため、約300家族が安全のために避難所に避難しました。

台風ユリシーズは当初、普通の台風の規模だと認識されていたため、多くの人々は、台風に備えながらもリラックスしていました。しかし、予期せず、夜になると非常に強い雨や風が吹き、すぐに湖の水位が上がり、湖岸に住むほとんどの家が水に浸かり、あっというまに家が水没しはじめました。夜で暗かったこともあり、一部の家族は水の突然の上昇のために、家電製品を含む持ち物を移動することができませんでした。さらに、彼らの命を脅かすのは、襲ってくる大きな波です。彼らの小さな古い家を飲み込んでいきました。地元の救助チームの助けを借りて、何百もの家族が救助され、避難しました。予想しない多くの避難者がでたので、村のあるゆる施設は一時的に避難所となりました。ホールや裁判所、小学校も解放されました。

漁師や生活の便利さから湖岸に沿って住んでいる家族のほとんどは、家財道具のすべてを流されてしまいました。もともと丈夫ではない竹やニッパヤシ、トタン等軽い素材でできた家々は、強風で簡単に吹き飛ばされました。 アンゴノでは約500世帯、カルドナでは600世帯の家が破壊されてしまいました。

被災者からの声 生きていくための生活復興支援を

◇アランさん(契約労働者・小さな3人の子どものお父さん)

台風の風や雨が強くなり、家の中に水が流れ込んでくる中で、眠っていた子どもを起こして小さな子ども達と一緒に避難するのは本当に大変でした。素早く移動しなければならないのにうまく動けず、救助隊が来て避難所への移動を手伝ってくれるまでは生きた心地がしませんでした。ほとんどの家財は水没してしまいましたが、夜が明けてから、子ども達の服やその他の貴重品を少しだけ避難所に運ぶことができました。

◇漁師組合のメンバー

台風のために仕事ができなくなりました。天候が悪い間はもちろん漁にでることができませんし、台風がさったあとには愕然としました。ボートは流され、養殖場は壊滅的な被害にあって、魚はどこにもいませんでした。私たちのような漁師にとって、収入は日々つかまえた魚を売ることで得ています。他の収入はなく、魚を釣れないと食べることができません。いつも大変な時は親戚や友人から食べ物を借りたりするのですが、今回は広範囲に被害が出ているので、借りることができませんでした。

◇リサさん(小学校の避難所で暮らす)

最初、私たちは湖岸から離れたバランガイの小学校に連れて行かれました。一つの教室に、4家族または5家族が一緒に滞在し、各家族のスペースとプライバシーを守るために、布や毛布で作られた即席のカーテンで区切られました。教室内で共通のトイレを共有しました。夜はとても寒かったのですが、通常の避難所でなかったためにマット等もなく、セメントの床で寝るしかありませんでした。あまりにも急な水が襲ってきたために、家からなにも持ち出せていない家族も多くいました。また、避難に時間をかけられる場合でも、私達の地域はその日暮らしていくのに精一杯で、防災のためのグッズを準備できていない家庭がほとんどです。地方自治体が提供してくれた食べ物といくつかの生活用品をわけあい、なんとか数日を過ごしました。疲れきった体でなれない環境で過ごすことはとてもつらく、強い気持ちでと思うのですが、涙がとまりません。

ご支援の使い道

*必要資金           100万円

*使途                 台風ユリシーズの被害に加え、コロナ禍により生活を営むすべを失った被災者の生活復興支援。

① 緊急支援物資の配布、コロナ感染拡大防止のための活動支援

  食料、衣料、応急処置キット、衛生用品、寝具、ソーラーライト等の配布をおこないます。

② 壊滅的な被害を受けた農場・漁場の復興支援

  農場は土づくりからおこなうため、有機肥料作りの指導や野菜の種の配布等をおこないます。漁場では多くの村人が船を失ったので、村人が共同で使える船、網や養殖場の材料等の支援をおこないます。

*対象地域   フィリピン リザール州アンゴノ、ビナンゴナン、カルドナ

 

避難所に移動してきた被災者は雨と風から身を守ることはできましたが、次に心配になるのは新型コロナウイルスの存在です。家に戻れない家族にとっては、避難所にとどまる以外に生き残る選択肢はありません。

台風被災から3カ月が経過した頃から、避難所にとどまりながら、自宅や畑等の片付けを少しずつ進めています。まだ水面下にある家まで小さな竹の橋を架け、家と家も竹橋でつなげています。台風の犠牲者の話を思い出すとまだ苦しみや悲しみから抜けなすことができませんが、制限や課題に対処しながら知恵をのぼり、この困難を乗り越えるために力を合わせてできることから始めています。

被災直後から現地提携団体ASIと連携して、特に被害の大きかった863世帯に食料やコロナ対策のための衛生用品等を支援したことは、村人たちの大きな希望になりました。事前に調査した中で、一番必要とされたお米、缶詰、砂糖、コーヒー、ミルク等の食料、そして家族をCOVID19から守るためのフェイスマスクとフェイスシールドを受け取った被災者からは、久しぶりに気持ちを落ち着けることができたと喜ばれました。

台風被害を受けた家族は生計手段を失いました。生きていくための、漁業と農業を取り戻せるよう、生活復興支援にご協力ご支援をお願い申し上げます。

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