glolabとは
私たちglolabは外国にルーツを持つ若者、特に高校生にむけたキャリア教育をおこなっているNPO団体です。「逆境を成長機会に」をスローガンに、企業や学校など多様なセクターと連携し、外国にルーツを持つ若者の未来を応援をする活動に取り組んでいます。外国にルーツを持つ若者を含む全ての若者が自ら将来を選び自分の持つ力を発揮できる社会の実現を目指しています。
なぜ外国にルーツを持つ高校生にキャリア教育が必要なのか
文部科学省が令和3年度に実施した「公立小・中・高等学校等における日本語指導が必要な児童生徒の受入状況等に関する調査の結果」によれば、日本の全高校生の大学や専門学校への進学率は75.0%であるのに対し、日本語指導が必要な高校生の進学率は46.6%で、28.4ポイント低く、進学も就職もしていない者の率は、全高校生が6.5%に対し日本語指導が必要な高校生は、11.8%と5.3ポイント高くなっています。
私たちglolabは当プログラムの参加者を含めてこれまで、120名あまりの外国ルーツの高校生にキャリアプログラムを提供してきました。活動を通して、日本人の生徒であれば比較的容易に得られるであろう進路の情報をなかなか得ることができないという問題があることを実感しています。
これは言語等の壁により保護者が日本の事情に明るくなく、子どもの進路選択に関わることが難しいからです。
また、進路に関して様々な不安を抱えている高校生が気軽に相談でき、外国ルーツの生徒の背景やニーズを理解して対応できる場も圧倒的に不足しています。
これらに加え、在留資格という制度上の課題もあることがわかりました。「家族滞在(※1)」「公用(※2)」という在留資格で日本に暮らす高校生たちは、その定住性が認められず、経済的に困難な状況であっても国の高等教育の修学支援新制度をはじめとする多くの奨学金から対象外とされています。
2024年度から「家族滞在」の在留資格でも日本で小学校中学校高校を卒業していれば、国の高等教育の修学支援新制度や日本学生支援機構の奨学金が対象となりました。
これは大変喜ばしいニュースですが、依然として「公用」の在留資格の生徒は対象外です。
また、glolabが支援している「家族滞在」の生徒の多くが小学校、または中学校を母国で卒業してから来日しており、彼ら彼女らも奨学金の対象外となっています。
このように、外国にルーツを持つ高校生が進学を目指す時に以下のような課題に直面します。① 進学に関する情報取得・相談の場の不足
②奨学金受給の制限など制度上の課題
③日本語の能力の問題
このような様々な課題に直面する中で、高校生が自ら進みたい道を選択していくことは簡単なことではありません。まわりの大人が積極的に関わり、さまざまな体験や学びを通じて進路を主体的に選択していく力を醸成する場が必要なのです。
活動内容の詳細、実績につい
このような外国にルーツを持つ若者の課題に取り組むために私たちは進路を主体的に選択する力を醸成するための主に2つのキャリアプログラムを提供しています。
NEWDOOR進学プレッププログラム
進学を希望しつつも経済的に困難を抱え、奨学金の対象外となる場合が多い家族滞在、公用等の在留資格を持つ高校2年生に向けたキャリアプログラムです。このプログラム」では、生徒たちが自分が直面する課題を乗り越え、自分の将来についてじっくり考えて進路選択をしていけるように①1年間のキャリアワークショップと、②月1回2時間のオンライン日本語作文教室、③プログラム終了後に10万円の受験給付金の支給を提供します。①キャリアワークショップでは、外国ルーツの社会人の出会いの創出、夏には大学訪問を中心とする合宿も実施します。②の日本語作文教室は、プロの日本語教師が自分の考えを日本語でアウトプットできるよう丁寧な指導を行います。最後に複数の受験機会を担保するために受験費用として1人10万円を支給します。プログラム詳細はこちらをご覧ください。
Colorful 進路支援プログラム
キャリアコンサルティングの技法を用いて開発された外国にルーツを持つ高校生を対象としたプログラムです。高等学校や支援団体向けに実施しています。
キャリアを作るステップにもとづいて、①自分と向き合い自己肯定感、自己効力感をたかめることを目的とした自己理解コース、②社会にある多様な仕事への理解を深めるための仕事理解コース③高校卒業後の「みらい」を想像し計画するみらいプランニングコースという3つのコースを提供しています。プログラム詳細はこちらをご覧ください。
*1 パッチワークモデル:多様な人から自分に参考になる複数の事例を組み合わせてロールモデルを創ること
ご寄付の使い道について
いただいたご寄付は上記2つのキャリアプログラムの運営費として大切に使わせていただきます。具体的には、会場費、日本語教師の謝金、教材、受験給付金等に大切に使わせていただきます。
支援者の声
「様々な家庭環境が理由に就学が困難な外国ルーツの若者たちにチャンスを与えたい」
「身内ではできなかった第三者だからこそできるフォローをしたい」
「外国ルーツの若者たちの可能性を広げたい」
そのような話を(glolab代表理事)柴山さんから伺った際に私は感銘を受け、何よりも自分ができなかった事の贖罪に対し、できる範囲の事をしたいという思いが、支援に至った動機です。若者には無限の可能性がある、というのは与えられる環境次第です。地力があっても、それを発揮できるスタートラインに立てるかどうかで未来の選択肢の幅に大きく影響します。
1人でも多くの外国ルーツの若者たちが新しいドアを開けて学びの機会をつかみ取り、未来を切り開いていけるよう、切に願っています。
(まるはちさん・NEWDOOR進学プレッププログラム支援者