阿蘇グリーンストックとは
阿蘇グリーンストックは1995年「阿蘇の緑の大地(草原・森林・農地)を、広く国民共有の生命資産(グリーンストック)と位置付け、農村・都市・企業・行政四者の連携で後世へ引き継ぐ」をスローガンに、県内企業・団体・行政・市民からの拠出金により設立されました。
特定のスポンサーを持たない民間の小さな財団ですが、阿蘇の自然保護、草原保全に心を寄せる方々のご支援・ご協力により、設立以来なんとか活動を続けています。
阿蘇千年の草原を守る応援団『野焼き支援ボランティア』
千年以上、阿蘇の人々は大切な草原を守り利用してきましたが、近代化による農業形態や生活様式の変化にともない草刈りや放牧で利用される草原の面積は大きく減少しました。また、畜産業の低迷による後継者不足・高齢化により、野焼き・輪地切りといった草原維持のための作業がむずかしくなり、放棄による藪化など草原面積の減少・草原の変容が進んでいます。それに伴って、阿蘇らしい草原景観が損なわれ、草原生態系の多様性が失われることなどが問題にされるようになりました。
1999年から始まった『野焼き支援ボランティア活動』は、九州を中心に全国からボランティアを募り、研修会を義務付けたうえで、人手不足や高齢化によって、野焼きや輪地切りの持続が困難な牧野へ派遣するものです。地元以外のボランティアを取り入れた野焼き支援活動は阿蘇千年の草原の歴史の中でも初めてのことであり、やがて25年を迎えるこの活動は、地元からの期待も大きく、社会的にも大きな反響と評価を得ています。
現在阿蘇地域の約3分の1の草原(広さにすると約7000ヘクタール)で、野焼き支援ボランティアが活動しています。都市在住の山好きの方が多く、中心年齢は60歳以上。『阿蘇への恩返し』を合言葉に、県内外から、遠くは関西や関東から駆けつける方もいらっしゃいます。ボランティアの方は、参加することで一般では入れない草原景観の堪能、地元の方の感謝の言葉、汗を流す充実感などを味わうことにやりがいを感じているようです。
阿蘇の草原を守ることで見えてくること
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阿蘇の草原に関心を寄せてくださり、ありがとうございます。
阿蘇の草原を守ることで見えてくることがあります。
・阿蘇の草原は、全国の草地構成と比較しても、二次草原といわれるススキ草原とシバ草原の面積割合が圧倒的に高く、この二次草原は、氷河期からの生き残りである大陸系遺存種の生育環境として重要なことも明らかになっており、草原生態系保全上も重要な地域といえます。
・日本一の規模を誇るサクラソウの群生、阿蘇地域とその周辺にしか生育しないハナシノブ、絶滅危惧種であるヒゴタイやツクシマツモトなど、四季折々に可憐な草花が咲き誇ります。また、阿蘇は森林と草原の両方の自然環境に恵まれていることから、豊富な種類の植物(1600種)、鳥類(150種)やチョウ類(105種)が見られ、日本国内でも絶滅危惧種が集中している生物多様性ホットスポットの一つとなっています。
・また草原は牛の放牧地として、安心・安全な肉用牛を生産し日本の農畜産業を支えています。
・草原は、森林に匹敵する極めて優れた水源涵養機能を持っています。草原に降りそそぐ年間2500mmを超える多量の雨は、広大な大地に滲みこみ、6つの一級河川の水源となり、約230万人に水を供給する九州の水がめとなっています。阿蘇各地1,500箇所以上で湧く水は名水として知られています。
・千年に及ぶ人と草原との関わりは、野焼き、盆花採り、干し草刈り、草小積みなど独自の文化を生み出し、それらは阿蘇の自然とともに多くの文学作品にも取り上げられています。
・最近の調査では、野焼きによって植物体の中の炭素を一部地中に蓄積する効果があるなど、地球温暖化防止にも一役買っていることが明らかになっています。
・近年、全国各地で災害が起きていますが、草原は山火事防止や土砂崩壊防止など、災害防止機能もあります。野焼きを続ける理由のひとつに大きな山火事と土石流災害を最小限にとどめることがあげられます。野焼きが中止され草原が荒れると「霜崩れ」という土砂流失や崩壊が起こる危険性が高くなるのです。
このように、多面的な機能を有し、様々な恵みをもたらす阿蘇の草原は「九州の宝」として評価されているのです。
ご支援の使い道
お寄せいただきました寄付金は、財団の様々な草原保全活動に大切に使わせていただきます。
・野焼き支援ボランティア活動の安全装備品、ボランティア育成のための費用および運営費
・希少種保全のための活動(調査や草刈りなど)
・未来を担う子どもたちへの草原環境学習
当財団の事業活動にご理解とご賛同をいただき、是非ご寄附をお寄せくださいますようお願い申し上げます。