南アルプスの素晴らしい山岳資源を未来へ
南アルプスの北部エリアに位置する甲斐駒ヶ岳は、日本百名山の一座であり、山麓から一気に聳え立つ雄姿から「南アルプスの貴公子」とも呼ばれ多くの登山家に愛されています。また、日向山は山頂付近に白砂が広がる光景から「天空のビーチ」と呼ばれ、ファミリー層から登山家まで、多くの方に親しまれています。近年、この素晴らしい景観を楽しむために多くの方が訪れており、踏圧の影響による登山道の崩壊、植生の消滅が随所に見られるようになってきました。
私たちは、美しも脆い花崗岩でできたこの山々を未来へ引き継ぐために、登山道の環境保全活動を行っています。
「ほくとの山2030」宣言 - 南アルプスエリア -
既に始まっている登山道の荒廃は、登山道の急速な利用増と大雨などの異常気象によって、加速度的に進んでいます。可及的速やかに永続的な保全活動を行う仕組みを整え、利用を上回る保全活動を行わないと、多くの植物・生物が消滅してしまう可能性があります。
北杜市は、南アルプスユネスコエコパーク登録10周年にあたる2024年6月、北杜市の南アルプスエリア全ての登山道の修復を2030年までに完了させ、ほくとの山を生物と人と両方にとって豊かにする「ほくとの山2030」を宣言しました。2030年までに、利用を上回る保全活動を実現させます。
保全活動を持続的に行う上での課題 ① 財源の確保
北杜山守隊は、北杜市より整備委託を受けていますが、将来に向かって永続的に保証されるものではありません。災害復旧や高齢化等による行政の財源不足を大きなリスクと捉え、自主事業による財源確保に取り組んでいます。2022年度の財源は、委託金(観光庁の補助金を財源とした委託含む)が100%だったところ、2023年は1/3程度になり、その他は自主事業や会費・寄付となりました。
しかしながら、財源規模は2022年度の額と同規模で推移しています。
技術者に正当な対価を支払い活動をしていくため、技術者の知識・技術向上の研修ための財源が不足しています。また、「ほくとの山2030」実現に向けて活動量を増やすためにも、さらなる財源の確保が必要となっています。
保全活動を持続的に行う上での課題 ② 人財育成
財源が確保されても、担い手がいないと保全活動はできません。北杜山守隊は、ボランティアだけに依存せず、「なぜ登山道が崩壊するのか」を正しく解説できるインタープリターや、実際の保全活動を行う技術者に正当な対価を支払い、技術・知識の向上に努めています。具体的には、
・インタープリター研修、技術者研修
・ワークショップ、および、会員限定作業の実施
・会員制度を活用した次期インタープリター、技術者の育成
などを行うことで、持続可能な保全活動を目指しています。
活動の質・量ともに上げていくために
「ほくとの山2030」の実現に向け、2024年度は日向山登山道の修復完了、甲斐駒ヶ岳黒戸尾根の修復作業の本格化、および、国立公園エリア内での活動をスタートさせます。自主事業の強化はもちろんのこと、寄付や会費の支援の呼びかけを行い、財政基盤の強化を図っていきます。
是非、月額サポーターとなって、2030年を目指した目標を、私たち北杜山守隊と一緒に実現する仲間になってください。
代表理事メッセージ
北杜山守隊代表理事の花谷泰広です。
設立から3年目を迎え、北杜市と連携してビジョンを発信し、国立公園内の整備を担える団体にまで成長してきました。一方で、南アルプスの山岳資源の保全を進めていくためには、まだまだ時間とお金、そして人財の育成が必要です。
次世代に南アルプスの山岳資源をつなぎ、北杜山守隊のビジョン「みんなで守る、山の道。」を実現するため、継続的なお力添えをお願いいたします。
技術リーダーメッセージ
北杜山守隊の技術リーダーを努める、(有)山栄建設の代表取締役社長、山部晋矢です。
土木建設業のノウハウを生かし、登山道の保全に従事しており、人と自然、土木建設業と自然とのより良い関係を模索しています。甲斐駒ヶ岳黒戸尾根には、「今すぐ直したい!」と思う崩落箇所が何ヶ所もあります。麓からの標高差や距離もあり、1日に行える作業量は限られているので、試行錯誤しながら、全ての登山道に緑が戻る日を夢見て、保全活動に取り組んでいます。
寄付金の使いみち
●技術者の技術向上・以上のための教育・研修費用
●技術者の招聘に関わる費用
●登山道保全作業(荒廃、複線化、侵食の食い止め)
●利用者の意識・行動変容を目指した啓発活動、情報発信