「貧困」と「孤独」日本社会が抱える二つの問題
日本は今、7人に1人の子ども達が貧困状態にあります。厚生労働省の調査によると日本の子どもの貧困率は13.5%とOECD加盟国の中で最低水準、G7の中ではアメリカに次いで2番目に悪い数値となっています。
また、内閣府の調査によると日本人の約4割の人が「孤独」を感じており、OECDの報告によると家族以外との付き合いがほとんどない「社会的孤立」の状態にある人の割合は15.3%と、24ヵ国中でも最も高い数値が出ています。
窮乏状態にある子ども・若者その家族、地域や家族との繋がりが希薄化する高齢世帯、社会的に隔絶される障害児・者。小豆島という小さな島の中にも、いや、小さな島の中だからこそ、日本が抱える「貧困」と「孤独」の問題はより一層切実なものとして顕在化しています。
どうしてこうなってしまったのでしょう。この状況をどうにかできないか。
地域の繋がりの希薄化は一方で個人のプライバシーの尊重と同調圧力からの解放をもたらします。しかし、その反面で助けを必要としている人たちの声を届けにくくさせ、他人への無理解と無関心を増長させます。
すぐ隣で助けを求めている人にすら手を差し伸べることが出来ない社会なんて、私たちは望みません。誰もが声を上げられる・誰も排除されない、そんな地域社会を目指して、私たちはまず自分たちの手で出来ることから始めました。
「居場所」と「訪問」で作る繋がりと助け合い
家や学校、職場でもない第三の場所(サードプレイス)の必要性が認められつつあります。子どもは親や先生が求めていることに敏感です。私たちも社会が求める自分というものに敏感です。期待されることは悪いことではありません。しかし、ときにそれは息苦しさを感じさせます。子どもがごっこ遊びすることでいつもの自分から自由になるように、私たちも普段の役割から解放されるいつもと違う場所を求めています。そんな遊び場のようなサードプレイスが私たちの「居場所」です。
私たちは小豆島に二つの拠点を構えます。そこでは毎週末のお遊び会に加えて、こども食堂や子育てカフェ、パソコン教室など様々な活動をおこなっています。
私たちは現状、小豆島で唯一のこども食堂を運営する組織です。「子供が一人でも安心して来られる無料または低額の食堂」として始まったこども食堂は、今では老若男女を問わず誰でも来れる地域の繋がりの場としての機能を持っています。地元の方々からご寄付いただいた食材を使いながら、学生や年配のスタッフとともに、子供から大人まで幅広い世代の方々に食事を提供する。私たちが主催する食堂も地域の交流の場として定着してきました。
しかし、コロナ禍で食事を共にすることすらはばかられる昨今、こども食堂に来たくても来れない人たちがいます。そんな人たちのためにも「こども宅食」という食品配達を軸にしたアウトリーチ型の支援の必要性が高まっています。私たちも2020年の春ごろから子育て世帯を中心にお弁当や物品の配達を開始。今では週3回約100食ほどの宅食を通じて、繋がりの維持と継続的な支援に力を入れております。
また、島内には身体に不自由を抱える方や移動手段を持たない世帯など、居場所に参加したくてもそうできない人達がいます。地域社会から隔絶されてしまいがちな彼・彼女らの「参加できない」を一つでも多く減らし、当たり前の地域生活を送ってもらう。居宅介護に移動支援、送迎サポートも私たちの活動の大きな主軸です。
食堂やお遊び会による居場所づくり、宅食や居宅介護による訪問サポート。地域の人と人とをつなぎ同心円の繋がりを作ることで助け合いのネットワークを広げていく。それが私たちの思い描く地域社会の未来の姿です。
活動の継続と地域社会の未来のために
「身近にいる困っている人を助けたい」そんなささやかな思いから始まった私たちの活動は、小豆島に住む"普通の人達"によって成り立っています。初めはほんの小さなお遊び会でしかなかった集まりは徐々にその輪を広げ、居場所づくりにこども食堂、こども宅食、居宅介護、相談サポート、自立支援などなど…今やその活動は多岐にわたり、すでに私たちの想定を超えつつあります。それは大変喜ばしいことであると同時に、今まで以上に支援を必要としている人達がいることをひしひしと感じさせます。しかし、人手や能力、そしてお金が足りず、歯がゆい思いをすることがこれまでに何度もありました。
「あと少しでもお金があれば」「あと一人でも手助けしてくれる人がいたら」
そう思わない日はありません。
一人でも多くの手助けがあれば、一人でも多くの人を救うことが出来ます。一つでも多くのご理解とご声援があれば、私たちは今まで以上に誇りを持って今後の活動に全力を尽くすことが出来ます。
いただいたご寄付は主にこども食堂やこども宅食の運営費、送迎サポートや相談支援などのランニングコスト、その他スタッフの人件費など今後の活動基盤として使わせていただきます。
小豆島の未来のために、子ども・若者の未来のために、日本の地域社会の未来のために。
皆様のご支援とご協力を心よりお待ちしております。
代表からのメッセージ
瀬戸内海の多島美の一つを織りなす温暖な島、ここ小豆島で、子ども・若者支援の活動を展開している当法人代表・社会福祉士の岡広美と申します。
私が移住してきた2015年に、あるお母さんから、お子さんの発達障害のことや不登校のことを「誰に相談していいかわからない」との相談を受けました。よくよく話を聴いてみると、家の近所や学校には、知り合いが多すぎて、「あなたの子でしょ?」とか「あなたがお母さんだから、しっかり育てる責任がある」と言われ、誰にも相談できないというのです。そのお母さんは、お子さんや家族の心配を一人で抱えてとても孤独に見えました。都会では、隣に誰が住んでいるかもわからず、皆がある意味孤独感を感じる時がありますが、それは誰にとっても、皆知らない人が多く、皆も孤独を感じているかもしれない~という相対的な孤独という状況ではないかと思うのですが、それに対し、人口約3万人弱の当地では、お互い知らない人がいない程小さな地域だからこそ、誰にも相談できないという孤独感、つまり絶対的孤独という状態があり、それは、そのような状況に陥っている人が少なからずいるのかもしれないと感じさせられた経験でした。
子どもが育つ環境では、お互い様精神は欠かせません。人は人の中でしか成長できないと思うからです。また、大人も同様に成長途上です。私は今、ここ小豆島で、どんな子もどんな人も、多様性があり「みんな違ってみんなおもしろい!」ということを学んでいます。いろいろな人が交流し合い、関係しあい、違いがあるからこそ、様々なアイディアが生まれます。「違い」や「差」は多様性を生み、多様性は「力」に昇華されると思います。違うものが交じり合うからこそ、新しいものが生まれると思うのです。
子ども・若者たちを真ん中にして、皆で、小豆島の多様性あふれるおもしろい(interestingな)未来を一緒に作っていけたらいいなぁと願っています。是非、皆さまのお力をお貸しください。是非是非、ご協力をお願いします!
共に!小豆島で!