周産期医療とは
現在、日本に住む私たちにとって出産とは、新しい命と出会う、人生で最も幸せに包まれた瞬間です。しかし、それは、高度な周産期医療により、お母さんたちが安全に分娩でき、赤ちゃんが様々な危険から守られているから、という事実を知っている人は少ないと思います。周産期とは、妊娠22週から生後7日までを意味する言葉ですが、Neontal Intensive Care Unit (NICU)に代表されるように、高度な機械や訓練されたスタッフなどの豊富な医療資源に支えられています。日本の女性が妊娠すると、市町村役所に言って母子手帳をもらい、すぐに妊婦健診が始まります。お母さんの妊娠管理は、血圧尿検査はもちろんのこと、高額な超音波診断装置(エコー)で赤ちゃんの発育をしっかり管理していきます。それでも決して安全ではないのが、お産です。妊婦健診でリスクのある人は、さらに高度な医療が提供できる病院でお産をし、赤ちゃんに何かトラブルがあれば、NICUで管理します。ドラマ「コウノドリ」でもありましたが、助産師さんやNICUスタッフの献身的な医療、そして輸血をはじめとした豊富な医療資源に支えられて、はじめて安全なお産は成り立っているのです。その甲斐あってか、日本の妊産婦死亡率は、3.3人、周産期死亡率は3.3人、新生児死亡率は0.9人と世界で最も安全にお産ができる国の一つです。
発展途上国で周産期医療が浸透していない原因と現状
しかし、医療資源の乏しい発展途上国ではお産は常に死と隣り合わせです。我々の活動国であるホンジュラス では、妊産婦死亡率は129人、実に日本の40倍の女性がお産で命を落としています。新生児死亡率も10人ですから、やはり日本の10倍以上以上の赤ちゃんたちが命を落としているのが現状です。なぜ、こんなに差があるのか。原因の一つは単純に、周産期医療そのものが、医療資源を大量に使う贅沢な医療だからです。
しかし、テクノロジーの進歩は、今まで高価で専門家にしかできなかった医療サービスを、安価でより簡便なものにすることを可能としています。我々のミッションは、いままで先進国の一部の人しか受けれなかった周産期医療を、世界のすべてのお母さんと赤ちゃんたちに届けることです。
すべての母子に周産期医療を
IGPCは、母親と赤ちゃんの対面は特別なものであり、世界中どこにいても享受されるものと考え、「すべての母親と子どもたちが健康な社会を実現する」という使命のもと、周産期医療を中心とした活動を行っています。
日本の母体死亡率や新生児死亡率は、過去70年で大きく低下しました。その要因は多岐にわたり、周産期医療に関連した人や教育といったリソースだけでなく、高度な医療機器などのリソースも多く使用され、現在の社会が実現されました。
世界の周産期医療は改善傾向にあるとはいえ、低・中所得国や医療資源が限られた環境では、先進国同様のリソースを持続的かつ十分に利用することは困難です。
先進国の周産期医療を垣間見たものとして、医療資源が限られた環境においてもイノベーションによって低コストで質が高く、現場が持続可能な医療を実現するべく私たちは活動しています。
しかし、私たちが正しいと思っている周産期医療は、時代や環境が異なれば必ずしもそうではないかもしれません。
既存の知識、固定観念にとらわれず、現場から学び続けながら、私たちの活動がすべての母親と子どもたちの健康に貢献することを心から願っています。
NPO法人母と子の医療を世界に届ける会
代表 平川 英司
ご支援の使い道
ご支援の使い道は、主にシエラレオネ(スンブヤ)の周産期病院の設立、産科病棟での医療支援、物資援助、現地スタッフ教育に使用させていただきます。我々の活動の成果はホームページで公開させていただきます。
ご支援の程よろしくお願いいたします。