Inna Project

ニジェール紛争難民の子どもたちの家 Inna House

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Inna Houseでは、ニジェールの紛争から逃れてきた難民の子どもたちの生活・学習サポートをしています。2022年2月に子どもたちの居場所となるシェルターをオープンしました。皆さまからの温かいご支援をお待ちしております。
2024-04-23 19:09
3月の活動報告
2024年3月の活動報告です。

急成長中のラシダン!

去年頑張って勉強して、年長さんから小学校2年生へ飛び級したラシダン。1学期目は授業についていけなくて大変そうでしたが、勉強を頑張って100点も取れるようになり、2学期の最初のテストではクラスで6番になりました!もう2年生の内容に追いついて、他の生徒と変わらないくらい、なんならトップクラスの成績をとっています。ラシダンの今後の成長が楽しみです!

テストが返却されてとても喜んでいましたが、「まだまだ間違いがたくさんある」と私に怒られて、悔しそうにしていました(笑)

今年も頑張って勉強を続ければ、また飛び級できるかもしれません。ガーナでは飛び級が認められていて、まだ10代前半で大学に行っている子も一定数います。優秀な生徒はどんどん飛び級していくので、ラシダンの能力的には今後も飛び級できると思いますが、もう飛び級させるつもりはありません。学校で学べることは勉強だけではなく、学校で過ごす時間が大切だからです。飛び級はせず、今後も勉強を続けて、よりレベルの高い学校に編入できたらいいなと思っています。ラシダンは今の友達が好きなので編入はしたくないと言っていますが、もっとレベルの高い学校に行ったら、ラシダン自身がもっと楽しめるのではないかなと思います。

自分のお母さんについて書くという英作文のテストがありました。
上の写真はラシダンの英作文です。
「僕のお母さんの名前はインナです。お母さんは29歳で、日本から来ました。彼女の一番好きな色は赤で、一番好きな食べ物はワチェです。お母さんは僕のことをとっても愛しています。僕もお母さんのことをとっても愛しています。」
作文ではこんなふうに書いてくれました。子どもたちが無条件に「愛されている」と感じることは、インナプロジェクトで一番大切にしているモットーです。私たちが子どもたちを愛することはもちろんですが、その愛情を子どもたちがしっかりと受け取り、自分は愛されていると感じること。そして初めて、本当の愛情が子どもたちに届いていて、本当の信頼関係を築いていると言えます。このことを今まで子どもたちに言ったことはありませんでしたが、ラシダンが自らそのテーマを選んで、愛されていると書いてくれたことは、子どもたちに愛情が伝わっている証拠です。今日まで活動を続けてきて、たくさんの批判も受けてきましたが、子どもたちがそう言ってくれることが何より嬉しいです。今までやってきたことは間違っていなかったんだなと感じました。

ガーナの独立記念日

3月6日にガーナの独立記念日がありました。今年でガーナは独立から67周年です。ガーナはアフリカの中で最初に独立した国で、今日まで67年間独立を保ってきました。しかし今でも植民地支配されていたときの名残はしっかりと残っており、現在も先進国から搾取され続ける構造は変わっていません。そのため国が豊かになりにくい状況が続いています。奴隷制度こそ無いけれど、本当の意味での独立は67年たった今でも果たされているとは言えません。資源豊かなアフリカ諸国は、途上国と呼ばれていますが、奴隷制度がなければ今頃は世界でもっとも発展していただろうと言われています。今起きている貧困も紛争といった問題も、奴隷制度がなければ起きてなかったはずです。
Inna Houseの子どもたちも独立記念日やガーナの歴史について学校で学んでいますが、この日は改めてみんなで平和について考えました。紛争や内戦に対して「怖い」という感情が先行し、思考停止してしまいがちですが、どういった仕組みでそれが起きているのか、どのような構造で、何が紛争を持続させているのか、という原因をみんなで考える必要があります。

アフリカンゲームズ

アフリカンゲームズという、アフリカ内でのオリンピックのような大規模なスポーツイベントがありました。オープニングセレモニーをみんなで見に行って、幾つか近くで行われた試合を見に行きました。オリンピックにもないようなアフリカならではの競技もあり、また卓球などガーナではなかなか見かけないようなスポーツも観戦することができ、とても面白かったです。
しかし、どの競技においても、エジプトとモロッコがほとんど優勝していました。この二国はアフリカの中でも最も発展している国で、ガーナなど他のアフリカ諸国にはスポーツクラブなどスポーツを練習できる場所も、学べる機会も少なく、子どもの頃からスポーツに親しむ機会なんてほとんどありません。そのためほとんどの試合でエジプトとモロッコが勝っていて、結果がもうわかっているようで正直そこに関してはつまらなかったです。しかしやはり陸上は、ケニアとエチオピアが最強でした。ケニアは標高が高いので、ちょっと走るとすぐ息が切れてしまいます。そんな場所でトレーニングをしている彼らですから、低地で走ったら最強です。
子どもたちはアフリカンゲームズを観戦して様々なスポーツに興味を持ち、水球やバスケを習いたいという子どもたちもいました。どこかで練習できる機会を見つけたいと思います。子どもたちの夢を広げることができてよかったです。

インナハウスのラマダン

3月10日から1ヶ月間、ラマダンがありました。ラマダンはイスラム教徒にとってとても神聖で最も重要とされる一ヶ月間で、日の出から日没まで飲食を断ちます。
インナハウスの子どもたちはみんな、もともとニジェールの砂漠に住んでいた遊牧民なので、イスラム教徒です。10代の年長の子どもたちは断食をしていました。日中学校にいきながら断食をするのは体に厳しすぎるので、「水だけでも飲んだら?」と言いましたが、子どもたちはみんな我慢していました。
ラマダン期間中は日の出前に朝ごはんを済ませなくてはならないので、毎日早朝に起こされてうるさかったです。笑 そして日没と同時に、フルーツ、特にデーツを食べる必要があり、デーツはとても高いので買いたくなかったのですが、ムスリムにとってラマダンは一年間で何よりも大切で、デーツを食べることもとても重要な習慣なので、値段が安くなっているときを見計らって買いました。子どもたちは毎日デーツを食べられなくて不満そうでしたが、なんとか今年もインナハウスはラマダンを乗り越えました。

ホーリーがありました

ホーリー祭(Holi)とは、ヒンドゥー教の春のお祭りのことです。 もともと豊作祈願の祭りだったものが、その後、各地の悪魔払いの伝説などが混ざって、現在みられる形になったと言われています。ガーナでも毎年、インド人コミュニティが主体となってホーリー祭が行われます。
インナハウスの子どもたちと去年も参加し、「来年も絶対行きたい!!」と子どもたちはとても楽しみにしていたので、行くことができてよかったです。しかし断食中のお兄ちゃんたちは、とても暑く日陰もない中で外にでて大騒ぎすると熱中症になってしまうので、ホーリーに参加できなかったのですが、とても残念がっていました。

さて、当日ホーリー祭にはガーナ人も参加していましたが、ほとんどがインド人でした。インターナショナルスクールの子どもたちも来ていて、国際色豊かなイベントでした。普段、インド人コミュニティと触れ合うことも滅多にないので、みんなでインドの音楽を聴いたり、インド料理を食べたり、子どもたちにとって良い国際交流になりました。
実は、面白いことに、子どもたちはみんなインド映画を見て育っています。ニジェールの砂漠の中でも、テレビを持っている人の家に行くと、インド映画を見ることができました。そしてなぜか、インド映画ばかり放映されていました。
そして今回、映画で見ていたインドの文化を実際に体験することができて、子どもたちにとって良い経験だったと思います。

ムスタファとラシダンの誕生日会

ムスタファの誕生日は、セルジオ・ラモスというサッカー選手と同じ誕生日にしました。
インナハウスの子どもたちは、難民で戸籍もないので誕生日がありません。彼らの文化でも、誕生日を祝う習慣がないので、子どもたちのほとんどは誕生日が何かを知りませんでした。ムスタファも、他の子どもたちと同じように好きな誕生日を選んでもらうことにしましたが、ニジェールから来たばかりの頃は誕生日が何かわからなかったので、彼の好きなサッカー選手と同じ誕生日にすることにしました。一番好きなサッカー選手はメッシと言っていましたが、もうメッシの誕生日は他の子どもの誕生日になっていたので、他に好きな選手を聞くと、ロナウドと言いました。しかし彼の誕生日はちょうどすぎてしまったばかりだったので、また他の選手を聞くと、セルジオ・ラモスと答えたので、彼の誕生日にすることにしました。そうしてムスタファの誕生日は3月30日に決定しました。それからずっと、何ヶ月も前から、ムスタファは「来週は僕の誕生日だよ!」と言い続けていました。

そしてやっと3月に入り、ムスタファの誕生日がやってきました!先月2月22日はラシダンの誕生日でしたが、誕生日会をできなかったので、ムスタファと一緒にみんなでお祝いしました。インナハウスでは誕生日会などお祝いをするときは、祝われる人がリードしてみんなでお祈りをしてからご飯をいただきます。ムスタファとラシダンは1人ずつお祈りをしましたが、今回はレストランでの食事だったので、人目が気になって躊躇していましたが、私にちゃんとお祈りするよう怒られて、ちゃんとお祈りをしました(笑)。

ガーナ料理とレバノン料理のミックスのレストランに行きました。このレストランでは、料理がとても大きな皿に盛られて運ばれてくるので、みんなでシェアして食べることができます。ものすごい量なので、食べても食べても食べきれません。残した分は持ち帰ってインナハウスで食べますが、難民でストリートチルドレンだった子どもたちは「どれほど食べても食べきれない」という体験をしたことがなかったので、彼らにとってそれは本当に幸せな時間なのだそうで、子どもたちは必ずこのレストランに来たがります。このレストランには外に子どもたちが自由に遊べる遊具がたくさんあり、子どもたちはご飯を食べた後、そこに遊びに来ていた他の子どもたちとかくれんぼをして遊んでいて、とても楽しそうでした。

チャリティーヨガ教室

2022年から、ガーナ在住の日本人女性がチャリティヨガ教室を開催してくれました。日本大使館で、大使夫人賛同のもと、毎週月曜日に実施しています。その先生が3月に帰国されるということで、チャリティヨガ教室で頂いた寄付の使い道など、インナプロジェクトから最後に活動報告会を実施しました。現地在住の日本人の方々に活動を知ってもらえる良い機会になりました。先生、参加してくださった皆様、ありがとうございました!

終わりに

緊急の事情があり一時日本に帰国していました。4月も子どもたちと共に、日々成長してまいります!
引き続き、応援のほどどうぞよろしくお願い致します。

このページは寄付・ 会費決済サービス
コングラント」で作成されています。
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