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こんにちは。Inna Project代表の山口韻奈です。
今月は、ストリートボーイズへの食料配布を始めました。
先月の活動報告でも触れましたが、4月に入ってから物価が3倍になり、シェルターで給食を配布するのが困難になりました。
さらに物価の上昇に加え、成人した若者たち(ストリートボーイズと呼んでいます)がInna Houseの子どもたちに暴力を振るってお金を奪うという事件が何件も起きました。
彼らは普段子どもたちと同じエリアで物乞いをしていますが、暴力を使ってお金を奪いとらないと生きていけないような状況に追い込まれてしまったのです。
物価が急上昇するまでは、彼らは子どもたちにとってお兄ちゃんのような存在で、暴力を振るってくることはありませんでした。とても危険な状況ですが、Inna Houseの子どもたちが物乞いをやめることはできません。シェルターにずっといることができれば安心ですが、子どもたちが家族の生計を担っており、お金を持ち帰らないと親からも暴力を受けることになるからです。
そこで、Inna Houseで作った給食を、ストリートボーイズにも届けることにしました。お腹を満たすことで少しでも安心させてあげることができれば、Inna Houseの子どもたちを暴力から守ることができます。
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Inna Houseのシェフのナナマさんが作ったご飯を、アシスタントのヤンガストと一緒に、ストリートボーイズのいるところに持っていきます。
子どもたちも一緒に配布するのを手伝っています。配布は、水曜日から日曜日に行なっています(月曜日はクラブの休業日なのでストリートボーイズは来ないため、配布は休み。火曜日も、人通りが少なく、物乞いをしている人が少ないため行なっていません)。
初めは深夜に配布していましたが、彼らの要望で、彼らの仕事が終わる朝6〜7時ごろに配布することにしました。
彼らは普段、物乞いの他に、クラブの駐車場の整理などを行なってお金を稼いでいます。
「仕事が終わったらご飯が食べられる!」と思って、仕事を頑張れると言って喜んでいました。
50人〜70人分のご飯を持っていきますが、いつも15分ほどで完食します!
彼らはすごく喜んで美味しそうに食べていて、ご飯を受け取るといつも “God bless you (あなたに神のお恵みがありますように)”と言ってくれます。
本当は心の優しい青年たちなのです。
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初めて配布したときは、「なんでタダでくれるの!?」と怖がって受け取らない人がほとんどでした。
何か毒が入っているのではないかと疑っている人もいました(笑)。
「大丈夫だよ」と食べて見せたりもしました。
2回目には、みんな押し寄せてくるようになりました。
「並ばないならあげません!」と、意地でも並ばせました。その方が効率も良いし、全員が必ずもらえるからです。
自分たちより年長のストリートボーイズが並んでいるのを見て、Inna Houseの子どもたちもちゃんと並べるようになりました。
しかし、悲しいことに、まだInna Houseの子どもたちからお金を奪おうとしてくる人もいます。
先日は、ストリートボーイズが二人がかりで10歳の男の子を捕まえ、お金を奪いました。
ストリートボーイズはたくさんいるので、給食の配布を受けていなかった人かもしれません。
Inna Houseの子どもたちが現場を目撃し、みんな激怒してストリートボーイズを追い払いました。
男の子は無事でしたが、いつまでこの物価の状況が続くか全くわかりません。
ストリートボーイズたちを安心させ、子どもたちを守るためにも、できる限り配布を継続して行いたいと思っています。
引き続き、ご支援のほどよろしくお願い致します。