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こんにちは。Inna Project 代表の山口韻奈です。
10月は、シェルターを3週間ほどクローズしていました。
クローズすることになった理由は2つあります。
一つは、近隣住民との騒音のクレームを立て続けに受けていたことです。
ガーナは12月が観光シーズンで、たくさんの観光客が訪れます。それに合わせて、普段シェルターを利用せずニジェールで暮らしている子どもたちも、稼ぎ時なのでガーナへと戻ってきます。子どもたちがもっとも多く訪れ、もっともシェルターが必要とされる12月に、騒音問題のせいでシェルターを運営できなくなることはなんとしても避けなくてはならなかったため、近隣住民からこれ以上のクレームを受けないように、10月は思い切ってシェルターをクローズすることにしました。
もう一つは、子どもたちと私の間に大きな誤解が生じ、子どもたちが私を敵視するようになってしまったことです。
私をとても慕っていつもサポートしてくれていた18歳くらいの男の子がいるのですが、彼は誰からも無償の愛を受け取ったことがなく、私に完全に依存するようになっていました。
インナハウスの子どもたちのために奮闘する私を見て、常に私と一緒にいたい、彼の人生には私しかいない、私を誰にも取られたくない、という状態でした。
私はとても忙しく、常に彼と一緒にいることなどできませんし、他の子どもたちの面倒も見なくてはなりません。
嫉妬した彼は、子どもたちの両親に私のありもしない噂を伝え、両親が私をさらに嫌うように仕向けました。そして彼は子どもたちに、「いんなは悪い人だから話したらいけない、話しているところを見たら殴る」と脅すようになってしまいました。もちろん両親も、彼から私の悪い噂を聞いているので、子どもたちに「いんなには近づくな」と言います。
私が子どもたちに会っても、誰一人私に話しかけられなくなってしまいました。私が子どもたちの近くに行くと、彼は「いんなから離れろ!」と彼らの言語で叫び、私に近づいてくる子が一人もいなくなってしまいました。
最初は、なぜ子どもたちが私を避けているのか全く分からず、ただただビックリしていましたが、「両親やその男の子が常に監視していて、いんなと話すことができないんだ」と、人目を盗んで、子どもたちが状況を教えてくれました。「子どもたちの安全が第一だから、私と話さなくてもいいし挨拶もしなくていいよ」と子どもたちには伝えました。
でも内心は、本当に悲しすぎるし、悔しかった。今まで彼らのことばっかり考えて行動してきたのに、なんでこんな目に遭うんだろう。私が頑張っているのを近くで見ているはずなのに、それを全て壊すようなことされると思わなかったし、遠く離れた日本から応援してくれてる人たちへの感謝もリスペクトもゼロだし、もう本当に辛すぎました。外に行けば子どもたちにどうしても会ってしまうし、会ってもシカトされるなんて辛すぎるから、家から出たくなかったし、本当にどうしたらいいかわからなかった。
でもある子が隠れて私に会いに来てくれました。「みんないんなと話したいんだよ、インナハウスが再オープンしたら、みんな忘れてすぐ戻ってくるよ、大丈夫だよ」と励ましてくれました。
落ち込んでいても時間はすぎていくだけ。
私のことを必要としてくれている子ども達の事をもっと考えなければいけないと思いました。どうしようもないけれど、今まで通り、今まで以上に、自分ができることを全うするしかないと思っています。
幸いなことに、現在子どもたちはみんなこの事情を理解して、私を見かけた時は前のように走ってきて抱きついてくるようになりました。彼らの根深い問題を目の当たりにして、どうしたらいいか分からなくなった。逃げたかった。隠れていたかった。
でも、彼らの生活に踏み込んで行ったのは私だし、全て自分はやりたくてやっていることなのに、なんでネガティヴになってんの?と、数週間かけてそう思えるようになりました。
そしてなによりも、私が子どもたちのことをどれほど愛しているかに気づくことができたし、彼らも私のことを本当に大好きなんだと、改めて感じました。