なぜ鹿児島離島に支援が必要なのか
離島が抱える課題

日本全体の課題が深刻化する中、離島は人口減少などの「課題先進地」として重要な役割を担っています。鹿児島の28の有人離島は22市町村にまたがり、 さらに南北600キロという広範囲に点在しています。この地理的な広がりと行政区の分断により、既存の支援体制だけでは、課題解決につながる挑戦を支える仕組みが十分に整っていません。
取り残さない災害時の支援

地理的・行政区の分断による影響は、その挑戦を支える仕組みだけではありません。年々大規模化する自然災害。その時に既存の支援体制だけでは、取り残される人々が出る可能性があり、市町村単位では対応しきれない部分もあります。それらを速やかに補完する組織と、頼れる仲間が域内外に必要です。
私たちは、平時も有事も、たったひとりを取り残さない支援を届けるために、島を想う人々がつながる「コミュニティ財団」一般財団法人かごしま島嶼ファンド(通称:島嶼基金)を設立しました。
コミュニティ財団とは
コミュニティ財団は、地域の課題解決を目的とし、地域の人々や企業、団体からの寄付によって支えられる仕組みです。
寄付者は資金を通じて地域の取り組みに関わり、そのプロセスの中で地域への理解や共感を深めていきます。
そして、関わるすべての人が互いに支え合い、成長していける「地域の土台」を育てていくことを目指します。
島嶼基金は、そんな「やさしいお金が巡る仕組み」と「人と人のつながり」を育むために設立されました。
離島の挑戦を支える支援
テーマ型支援
島嶼基金では、大きく3つのテーマに基づく挑戦を支援します「環境」「教育・文化」「産業振興」という分野を特に強化した助成を実行するとともに、資金支援だけでなく、人と人のつながりを活かした伴走型の支援を行い、支援そのものが地域内外との新たなつながりを生む仕組みづくりにも取り組んでいます。
冠基金
寄付者が、自分の想いや支援したいテーマを反映させた特別な基金です。例えば、寄付者が「〇〇〇基金」と個人名や法人名を付けたり、使い道を指定したりすることもできます。
そのほかにも、島に住む一人ひとりの挑戦を支えることや、島を想う人々の想いの受け皿となれるよう、着実な運営に努めながら支援の方法とその選択肢をますます広げていきたいと考えています。
代表者あいさつ

みなさん、はじめまして。
一般財団法人かごしま島嶼ファンド 代表理事、山下賢太です。
私は鹿児島の離島、甑島に生まれ育ち、14年前にUターン起業し「東シナ海の小さな島ブランド株式会社」を資本金10万円で創業しました。
元々は、「島の暮らしと風景を守りたい」そんな想いから耕作放棄地の再生活動と無人販売を始め、月商800円からスタートした小さなビジネスでした。今では、大小さまざまな17事業を展開し、たくさんの方々のご支援を受けて地域密着型の事業として少しずつ形になりつつあります。

また、現在の活動のエリアは甑島にとどまらず、県内外の離島地域にも広がっており、古民家再生などの拠点づくりを通じた持続可能な「世界一暮らしたくなる」集落づくりや、商品開発・販路開拓などを通じた地域活性化にも取り組むことができています。

これまでの活動を続けるにあたって、私自身も地域の最前線で挑戦を続けてきた中で、さまざまな障壁にぶつかってきた経験があります。当たり前のことですが、想いだけでは、大切なことは守れません。お金だけがあっても、人やものや、仲間がいなければできないこともあります。

人口減少と過疎が進み、経済が縮小していく島で、挑戦を諦める理由は山のようにありましたが、それでも、たった一人ではじまった活動を今日まで続けられたのは、島の中だけでなく外側にもさまざまな知見と示唆を与えてくれる仲間たちがいてくれたことが大きな支えになりました。
今では、総務省ふるさとづくり大賞内閣総理大臣賞(2023)、国土交通省「地域づくり表彰」国土交通大臣賞(2024)、MBC畠中文化基金「MBC賞」(2024)など数々の賞をいただけるようになったのも、あの頃の支えがあったからです。私自身が支えられたように、鹿児島の離島地域の仲間たちを地域内外から支え、より多くの挑戦が生まれる海域にするために島嶼基金を立ち上げました。
海という存在は、島と島を隔てるものではなく繋いでいるということ。たった一人からでも挑戦を始めることはできるということ。最後まで諦めずに、共に走ってくれる仲間たちがいるというつながりが、鹿児島の小さな島々に必要です。

令和元年、「鹿児島離島文化経済圏」(通称:リトラボ)を立ち上げ、産業振興を中心に鹿児島離島の支援に取り組んできました。そこで培った経験と、島への想いをもった繋がりが、島嶼基金の基盤となっています。
たった一人から始まった物語が今、リトラボでの出会いを通じて広がった仲間たちと共に、挑戦が生まれ続ける海域を育てています。
メンバー紹介
島嶼基金メンバー(一部)

温帯から亜熱帯に渡る鹿児島県下、南北600キロに点在する28の大小さまざまな島を繋げるために、志を共にする仲間たちがおよそ8エリアに分かれて暮らしています。島と人を繋ぐ「エリアパートナー」や島内外のアドバイザーチームなどの仲間たちと連携しながら進めています。

公式SNSで活動内容やメンバーの想いを発信しています。ぜひフォローお願いいたします!
これまでの活動と、これから目指す未来
つながりが生んだ挑戦
財団の基盤となる活動、「鹿児島離島文化経済圏」での取り組みによって、いくつもの挑戦が生まれ、一人ひとりの島での暮らしを支えています。その一例をご紹介します。
棚次 紫寿代さん

仲間の存在って、本当に心強いものだと感じた出来事があります。
2022年3月、リトラボ主催でマルヤガーデンズにて開催された「&island」に、初めてこの大事な大事な椿油を持って参加しました。
でもそのとき、周りの離島のブースの完成度があまりにも高くて——商品一つひとつのクオリティや魅せ方も洗練されていて——私はこう思ってしまったんです。
「めっちゃ場違いなとこに来てしまった……」
正直、めちゃくちゃ心細くなりました。自分が価値があると信じていたものが揺らぐような感覚。「本当にこれ、大丈夫かな……?」と。
そんな気持ちのまま、お客さんの少ない時間帯にドキドキしながら屋久島のブースへ自己紹介をしに行ったとき、こんなふうに声をかけてもらったんです。
「屋久島から硫黄島、見えるよ」って。
「ええ、見えてるんだ」って、胸がいっぱいになりました。
自分が始めた小さな仕事も、誰かがちゃんと見てくれてる。そんなふうに思えたんです。
その後、イベントの振り返りでこの話を仲間に伝えたら、返ってきた言葉がまた心に沁みました。
「大丈夫だよ。みんな同じところから始まってるから」
——この言葉が、今でもずっと心の支えになっています。
島で挑戦する人たちの声

これまで、島で小さな挑戦する人たちへのヒアリングを実施しながら、それぞれの課題をより明確に把握するよう努めてきました。現地の調整役は、エリアパートナーが担当しており、これからも各島を訪問しながら、未来に必要とされる財団として成長していきたいと考えています。
挑戦する海域へ

課題は、目に見えているものを解決して終わりではありません。それらが生まれる複雑な要因もあります。大切なのは、起きている課題を悲観的に捉えるのではなく、新たな可能性として前向きに捉え、それらを価値に変えていく挑戦が生まれ続ける風土を育むこと。そのために、挑戦する人と応援する人がつながり、互いに支え合う関係を広げていきたいと考えています。今まさに挑戦に向かう人々を支え、その力で未来の可能性を切り拓く仕組みを築いていきます。
寄付金の使い道について
1. 鹿児島離島の挑戦を支援するための資金
テーマ型支援の支援資金として使わせていただきます。島の未来にとって重要な「環境」「文化・教育」「産業振興」に関わる挑戦を支援していきます。
2. 財団の運営資金
円滑な事務局運営のための事務諸経費や人件費・寄付サイトの手数料などにも一部活用させていただきます。
島の応援団
すべての物語は、たった一人の想いからはじまります。
私たちを突き動かすものは、いつだって希望です。
島という辺境の地は、80 年先の日本の縮図。人口減少・少子高齢化、あらゆる課題が山積している島も、是とする世界が変われば、そこは最先端。私たちが向き合っているものは、「課題」ではなく、少し先の未来にある「希望」なのかもしれない。
小さいと笑われても、少ないと笑われても。
たった一人を信じて、小さな想いを灯していけば、
その小さな灯火は、また誰かの明日を照らす。
人が減りゆく社会において、まだ答えのないものに直面しそれでも諦めずに生きようとする懸命な人々のために、島の応援団となり、一緒に応援してください
どうぞよろしくお願いいたします。
一般財団法人かごしま島嶼ファンド 一同

