「仏教」のリブートを!
ひとのあり方は「こころ」に従い、人間社会は「ひとりのあり方」の集合体、ひとりひとりの心に従い、人間社会は変わっていく。
いくら優れた技術や政治の体制があったとしても、それを扱う人の心が乱れていては、使われかたがおかしくなる。良からぬ心でものを造れば、良からぬ用途のものができあがる。だから、なによりもまず「こころ」を大切に、ものの考え方=思想哲学をしっかりしよう。これが仏教の基本的な考え方です。
おたがいさま、おかげさま、思いやり、和を大切に、我を立てない、恥を知って気高く生きる。
日本の美徳として世界に賞賛されるこのような考え方は全て仏教に由来する思想と言って過言ありません。千年以上に亘って祖先たちが育んできた仏教の精神文化は茶道・華道・武道など「道」の文化、そして美術や工芸を含め、隅々にまで行き渡る我が国の大きな特徴となっています。
しかし明治以降「唯物論」的な世界観が急激に浸透し、人々の生き方の指針を狂わせているように見えてなりません。これは日本のみならず世界中、我々現代の人類共通の問題のように思えます。唯物論の世界観は分断・格差を生み、保有したいという欲求と、失いたくないという恐怖を無限に生み出す特性を持っています。

これに対して「素朴な昔へ帰ろう」という運動もありますが、我々はそこにも与しません。仏教は「バランス」を重視する思想です。唯物論にも妥当性や利点はあります。問題は「どのように全体のバランスを取るのか」にあると考えるのが仏教です。
我々は「本来の仏教」を「いわゆる宗教」だとは考えていません。むしろ、他の宗教や伝統を包含し、より活性させることが可能な「根源的な人間哲学」であると捉えています。釈尊や玄奘三蔵、弘法大師など祖師たちが命をかけた「根源的人間哲学」これこそが「仏教」。
これを現代社会に無理なく活かせるかたちにリブートしていくことが、我々のミッションであると考えています。
日本の仏教に、新たな流れを
巨大な可能性を秘めた哲学である「仏教」ですが、現代日本の社会に「思想の基盤」としての役割を果たしているようには、残念ながら思えません。
2024年度の政府統計によれば、全国の仏教系寺院の数は76,484カ所、僧侶の数は348,804人にのぼります。参考までに、コンビニエンスストアは全国で57,594店舗、高校教員は223,201人となっています。つまり、寺院はコンビニより2万カ所以上多く、僧侶の数は高校教員よりも12万人以上多いという、非常に大きな規模の存在であることがわかります。
現代日本における多くの寺院、僧侶は様々な経緯から「葬儀・法事」などの儀礼や「観光」に関わる「サービス業」という位置づけとなっているのが実態ではないでしょうか?もちろんこれらも必要はあるでしょうし、重要な日本文化の一部であることに間違いはありません、しかし、「本来の仏教の姿」であるはずの「思想哲学の指導者としての僧侶・仏教実践の拠点としての寺院」の姿が見えないのは、やはり問題と言うべきです。

国際的に見ても、これほどの人的・物的リソースを擁しながら、仏教が思想的影響力を持っていないという状況は、きわめて異例であり、日本文化のプレゼンスを潜在的に損ねていると言わざるを得ません。
7万6千の拠点、35万人の人材という圧倒的なリソースを持ちながら、その可能性が発揮されていない現状は、「もったいない」という一言に尽きるのではないでしょうか。
では、どうやって新たな流れをつくるのか?我々は「実験寺院®」という方法を模索しています。
「実験寺院®」プロジェクト
実験寺院構想の始まりは、当協会が運営する「実験寺院 寳幢寺」僧院長、松波龍源師の志にあります。
龍源師は20代の頃、自身のつらい体験から仏教哲学の意義と重要性をさとり、人生を仏教の社会実装に捧げることを決意しました。様々な困難を乗り越えて32歳で出家を果たし、奈良の西大寺などで修行。真言密教を基軸に南方上座部からチベット仏教まで幅広く研究し「時代や場所に合わせて柔軟に変化することこそ大乗仏教の根本」と考えるに到り「即の仏教」を提唱しました。
そして当協会の初代代表理事であり、仏教徒社会の研究者である東京大学の藏本龍介教授と出会い、共に日本仏教に新しいあり方を表現してみようという協働が始まりました。
2人による「実験寺院」の基本理念は以下の通りです。
- 僧侶はできる限り個人資産を放棄する。
- 僧侶は仏教哲学に則り、生涯を一切衆生のための慈悲に生きる。
- ゆえに僧侶は一切の対価を求めず、取り引きはしない。
- ゆえに僧侶は在家社会からの寄付だけで生きる。
- 寺院の施設設備はそれを必要とする在家社会が用意し保持管理する。
- ゆえに寺院はコレクティブ・リソースであり、皆で使用し皆が責任を持つ。
- 在家社会は仏教を必要とするならば、僧侶・寺院に適切に寄付をし維持に責任を持つ。
- 在家社会は僧侶の正邪を正しく判別し、善き者は賞賛し、悪しき者は排除する責任を持つ。
これら理念に則り、法律その他状況に即して柔軟に対応しながら最良解を探っていく。これが実験寺院のあり方です。
その為にも、我々は「寄付」にこだわります。我々は「利益を上げる」ことは目的にしません。ただ、この活動を「みなさんと一緒に」進めていきたい、共に力を合わせていきたい。
このように実験寺院を展開しつつ、将来「変わりたい」と思う寺院さまや僧侶方のための知見を蓄積し「その時」が来たら共に歩んで行く。7万6千の寺と35万の僧侶たちの、ほんの一部だけでもあり方を変えれば、この国はきっと変わっていくだろうと夢見ています。
実験寺院®の成果と展望
これまでのところ、日本仏教徒協会は「実験寺院」の旗艦として、2018年から京都に「寳幢寺」を設置し、僧院長に松波龍源師を置いて運営しています。
寳幢寺には2025年4月現在で延べ約3000人以上の方々の来訪を受け入れており「即の仏教」に触れて頂いています。
特に企業の経営者層、起業家、医師、看護師の方々が多く、その中でも経営者層には強い影響を与え続けています。企業の意思決定に「仏教」の要素が入ると唯物論的資本主義とは異なった、新しい挙動になることが期待され、社会変革の礎となればと願っています。

また、個人の私有財産を可能な限り手放し、現実社会と折り合いを付けながら、極力布施だけで生きようとする龍源師のあり方を多くの人に見て頂くことで、新しい仏教のイメージを持って頂けるようになってきていると実感しています。
多くの方々のご支持を頂きまして、東京を始め他地方への出張、大学や病院、行政、業界団体、各種企業での講演・協働なども増えてきています。
さらに、現在兵庫県に実験寺院の第二号施設設置の計画が出てきており、また農業や林業と連携しての企画案なども出るようになってきております。
願わくば、龍源師に続く、完全に布施だけで生きる「実験寺院僧侶」の2人目、3人目が誕生できますよう、皆様のご支援をお願い致します。
よくあるご質問
税制の優遇は受けられますか?
当協会は2025年4月現在「一般社団法人」ですので、税制上の優遇措置はありません。しかし「公益社団法人」の認可に向けて手続が進行中で、認可されれば寄付控除が受けられるようになります。認可のめどが立ちましたらホームページならびにこのページにて詳報をお伝えいたします。
物品での支援は出来ますか?
下記のAmazonのウィッシュリストにて、お供え物他、必要な物品を募っております。
https://www.amazon.jp/hz/wishl...
Amazonで取り扱いがなく、リストに掲載できない物等もあるため、募集のためのページを現在作成中です。整い次第、ホームページならびにこのページにてご案内をいたします。
実験寺院を訪問することは出来ますか?
可能です。下記のお問い合わせフォームからご希望をお伝えください。
https://docs.google.com/forms/...