特定非営利活動法人JIM-NET
NPO法人

ご寄付のお願い

JIM-NETの活動は皆様からのご寄付に支えられています。ご支援をよろしくお願い致します。

活動内容

JIM-NETはイラク現地で
「いま」必要とされる小児がん支援に取り組みます。

 2003年のイラク戦争以降、武器や兵器によるイラク市民の犠牲者は20万人ほどに達し、多い年は年間3万人ほどの市民が命を落としました。物理的な破壊と精神的な荒廃に人々は疲弊し、他人を信用できない社会が醸成されていました。しかし2020年以降、治安は大幅に回復し、安
定化に向かうイラクでは、復興に向けた新しい社会をつくろうと行動する若者たちの機運も高まっています。観光に訪れる外国人も増え始め、イラクに明るい光が差し込んでいる様子がうかがえます。
 その一方で、周辺国の情勢に起因する不安定要素とは常に隣り合わせです。2023年10月から始まったイスラエルによるパレスチナへの攻撃の影響は、JIM-NETが事務所を置くクルド自治区アルビル市内にも及び、米軍施設へのドローン攻撃や隣国からのミサイル攻撃が多発し、空港閉鎖や民間人の死者が出るなど緊張が高まりました。また、物価高騰によりJIM-NETが支援する患者の生活は、ますます厳しさを増しています。特に、国内避難民やシリア難民の患者の子どもたちやその家族は「明日をどう生きるか」という状況の中で、パンや野菜さえ買えない家庭もありま
した。
 こうした貧困患者への支援の需要の高まりに加え、記録的な円安の影響の中、2023年度は「シリアから逃れてきた患者家族を支えたい!」と題したクラウドファンディングを実施し、358名の方々から総額300万円を超えるご寄付をいただきました。経済面、健康面で不安を抱える子どもたちが、安心して治療を受けられる環境を整える役割をこれからも果たしていかなければなりません。物質的な支援だけでなく、心理社会的サポートを強化することもまた、患者の子どもたちの今と未来に必要なことだと考えています。
 2023年度のチョコ募金は、ウクライナ、パレスチナ・ガザ地区の報道も続くなか、イラク・シリアの小児がんと闘う子どもたちへの支援を訴えながらの募金活動となりましたが、無事に2024年2月に目標数13万個を達成することができました。3年前から取り組みが始まったCoffee for Peace!もチョコ募金と同様、多くの皆さまから楽しんでいただけるようになりました。
円安の影響で現地での活動も見直さざるを得ない状況が続きますが、多くの皆さまのお陰で活動資金を得る努力を続けられることに感謝申し上げます。

JIM-NETのあゆみ

 1990年代半ば、イラクの子どもたちの間で、がん・白血病の発症率が急激に増加し始めました。1991年の湾岸戦争時に、米軍が使用した劣化ウラン弾の放射能の影響だと思われます。
しかし、湾岸戦争後の経済制裁による抗がん剤や医療機器の輸入制限のため、適切な治療が受けられずに、助かるはずの多くの子どもたちが命を失っていきました。
 2003年のイラク戦争で、米軍は再び劣化ウラン弾を使用しました。イラクの病院は破壊され疲弊し、保健行政も機能不全に陥り、増え続ける小児がん・白血病の子どもたちにとって危機的な状況でした。2004年6月、来日したバスラ産科小児科病院のジャナン医師と日本の支援者たちの間
で、子どもたちの窮状を救うための話し合いがもたれました。そして、より効率的で継続的な支援体制の確立をめざし、NGO、市民グループ、日本とイラクの医師たちが「日本イラク医療支援ネットワーク(JIM-NET)」を立ち上げました。以降、任意団体として7年あまり活動した後、2012年2月1日、特定非営利活動法人(NPO法人)となりました。

 2011年3月11日に発生した東日本大震災の直後には、宮城県石巻市を中心に、医療支援や仮設風呂の提供を行いました。地震と津波で福島第一原子力発電所の事故が起きた福島県にて、放射能の被害を最小限に留めるべく、除染や保養の支援を継続して行いました。また、2012 年 4 月から
は、紛争が激化したシリアから大量の難民が発生したこと2019 年度には、イラクで初となる小児がん総合支援施設(通称:JIM-NETハウス)がアルビルのナナカリ病院敷地内に完成し、がんの子どもたちへの教育サポート、患者家族からの相談受付、宿泊場所の提供など心理社会的サポート
が本格的に開始されました。
 
 JIM-NETは、イラクの小児がんの子どもたちが自国できちんと治療を受けられるようになり、先進国並みの生存率となるように支援を続けます。福島支援活動も継続し、放射能汚染から子どもたちの健康を護る活動を行う団体への支援を実施していきます。また、シリア難民支援とイラク国内避難民支援にも継続して取り組んでいきます。

国際小児がんデーのイベントを開催

皆様からのご寄付は下記の活動に使わせていただきます。

小児がん支援

  • 医薬品支援・消耗品支援
     小児がん専門病院に抗がん剤を中心とした医薬品、医療品を支援しました。
     バグダード 約389万円
     バスラ        約285万円
     アルビル    約278万円
    医薬品は、株式会社カタログハウス様、生活協同組合パルシステム東京様より、多大なご支援をいただきました
  • JIM-NETハウス
    【教育支援】

     常時10人の子どもたちが診察室前の待合所でのアクティビティに参加し、診療前に緊張しがちな子どもたちがリラックスすることができています。
    【ピアサポート】

     年間5回実施し、49名の保護者にがんに関する正しい知識、精神的なケアを提供しました。2022年度にアルビルを訪問した日本人精神科医師が継続的にフォローを行っています。
    【課外活動】

     医師の許可のもと、治療中の子どもたちや院内学級に通う子どもたちを対象に、遊園地、動物園を訪問する課外活動を実施しました。また、8月の1ヶ月間のサマーコースでは、お絵描き、音
    楽、読み書き、動画作成などの授業に20名の子どもたちが参加しました。サマーコースを通じて、新たなアクティビティに参加し、子どもたちは刺激を受け、創造性を高めることができました。
    【宿泊者の受け入れ】

     2023年度は 4,715人(1日平均の利用者 12.9人)のがん患者・患者家族を受け入れました。宿泊が必要な患者家族は、部屋割りを調整してすべて受け入れています。

    ~~5 年目を迎えた小児がん総合支援施設「JIM-NETハウス」では、日々、スタッフが患者家族の相談に乗ると共に、ピアサポートグループを実施し、心理社会的サポートを行いました。また、遠方から来る家族のための宿泊機能はとても重要で、多くの患者家族が利用しています。

貧困患者支援

 貧困患者に対する支援として、医薬品の購入や病院までの交通費の支援を行っています。貧困患者家族の経済状態は悪化の一途を辿っており、各地域において、担当医師や家族の状況を丹念に聞き取りを実施しています。
 アルビル 632件(地元の患者家族362件、国内避難民及びシア難民家族270件)
 バクダード 156件
 バスラ120件

貧困患者支援では、患者家族の生活状況を把握するために家庭訪問を実施しています。2024年度からはアルビルだけではなく、バクダート、バスラでも行う予定です。

難民支援

■ 国内避難民・シリア難民キャンプ(イラク国内)
・ダラシャクラン・シリア難民キャンプ
 乳糖不耐症の乳幼児のための特殊ミルク3,600ドル分を、154人の乳幼児に支援。
 妊産婦やキャンプの貧困層に属する女性たちを集めた手工芸ワークショップの実施。
・シリアからの帰還民が収容されるジャダア難民キャンプ、ドホーク県に位置するシリア
難民が暮らすガウィラン難民キャンプ及びドミーズキャンプに医薬品と家族計画物資10,000ドル分を、3,110人に支援。

シリア国内支援(地震被災者支援も含む)
 日本国際ボランティアセンター(JVC)、日本チェルノブイリ連帯基金(JCF)とともにクルド赤新月社(KRC)を通して34,000ドル(1回目:15,000ドル、2回目:19,000ドル)を支援。
1回目は被害の大きかったシリアのアレッポ北部シャハバ地域に住む人々へ、風邪
薬や喘息の薬などの医薬品及びベッドマットや枕などの生活必需品を支援し、2回目はシャハバ地域にある病院(シャハバ病院)やサルダム難民キャンプ、バルハダーン難民キャンプで不足している解熱剤や抗生物質、心疾患、糖尿病の薬など支援。
 通常事業としてシリア・ハサカ県に位置するワショカニ・シリア国内避難民キャンプ、サリカニ・シリア国内避難民キャンプ、地震の被害が大きかったシャハバ地区に15,000ドル分の医薬品を支援。



■緊急医療支援

 アンバール県保健局からの要請で、ルトゥバ病院に手術機器1,050ドル分を支援。

福島支援

福島の子どもたちの保養活動や放射能測定などを行う団体に対して、公募・推薦によって選抜し、合計140万円の支援を実施しました。(2023年度募集期間:2023年7月1日~12月31日)
2023年度は、以下5団体に支援しました。(五十音順、法人格名を除く)
 青空保育たけの子:野外保養活動のための福島から山形への往復無料送迎
 心援隊:大阪での保養活動
 子どもと原子力災害 保養資料室≪ほよよん≫を育てる会:原子力災害関連の資料室開設
 NO to YES:北海道での保養活動
 みんなのデータサイト:食品・環境の放射能測定

ご挨拶

名誉顧問:鎌田 實

2004年8月、イラクの隣国、ヨルダンでイラクのドクター10人と、2日間の医療支援会議を開きました。1990年ころまではヨーロッパと同じようなレベルの医療が行われていました。イラクの医師たちの能力は信頼できることがわかりました。

湾岸戦争で使われた劣化ウラン弾が、子どもたちの白血病の増加を招いていると、医師たちは推測していました。確かに91年を境に小児がん、特に急性リンパ性白血病が増えています。南部では、無脳症などの先天性異常の増加も顕著でした。しかし、証明のできるようなデータがありません。2回の戦争と10年続いた経済制裁で、調査ができていません。

しかし、どんな薬が足りなくて困っているかがわかりました。どんな医療機器が緊急に必要なのかもわかりました。支援はタイミングが大切です。子どもたちの命は待ってくれません。すぐにヨルダンのアンマンから、イラクのバクダードへの運搬ルートもつくりました。
結成2か月後には、第一弾として、4500万円分の医薬品や医療機器を届けました。
日本から薬が届くことで、平和へ向かう空気がつくられると信じています。2005年2月には第3陣の救援として、血液を分離して血小板輸血ができる新しい医療器材を送りました。

軍隊を増強して、相手を黙らせるのではなく、支援の手をさしのべることで、暴力の連鎖や、恨みの連鎖から抜け出せるのではないかと希望を持っています。
~~~~~~
東京医科歯科大学医学部卒業後、諏訪中央病院へ赴任。30代で院長となり赤字病院を再生。地域包括ケアの先駆けを作った。チェルノブイリ、イラク、ウクライナへの国際医療支援、全国被災地支援にも力を注ぐ。現在、諏訪中央病院名誉院長、日本チェルノブイリ連帯基金顧問、地域包括ケア研究所所長、風に立つライオン基金評議員(他)。武見記念賞受賞。

代表:池住 義憲

 鎌田さんらが中心となってJIM-NETを立ち上げたのは、イラク戦争開始翌年の2004年。
米軍が使用した劣化ウラン弾による放射能の影響などで、多くの子どもたちの命が失われるという危機的状況の時でした。そのころ私は、全国の仲間に呼びかけて、「自衛隊イラク派兵差止訴訟」を名古屋地裁に提訴(2004年2月)していました。
2011年3月の東日本大震災の翌年2月、JIM-NETはNPO法人となります。以後JIM-NETは、「イラク小児がん支援」「イラク・シリア難民支援」「福島支援」の三つを活動の柱に据えて、活動を続けてきました。チョコ募金やCOFFEE for PEACE!キャンペーンも含め、多くの皆さんに支えられできました。これらすべて、鎌田さんを中心とする皆さんの協力と支援のおかげです。
 JIM-NETは、とくに小児がん・白血病で十分な治療が受けられないイラクの子どもたち、国際機関の支援が十分受けられないイラク国内の避難民、いろいろな事情で故郷を離れて暮らさざるを得ないシリア避難民キャンプの人たちなどの「いのち」と「暮らし」「健康」に焦点を当てて活動を続けています。

 その根底にある考え方が「ジャストピース」(公正な平和)です。他者・他国の人たちの困難を見過ごして、またその犠牲によって成り立っている平和や安定は、ジャストピースと言いません。JIM-NETは、何処の地域・国であっても、すべての人が等しく幸せに暮らすことができる権利、平和の内に生きることができる権利の実現を願っています。
 
 役員の任期は二年。鎌田さんから受け継いだ代表は、当面2025年まで。再出発(Re-Start)、新出発(New-Start)する、という思いです。これまで歩んできた道、築いてきた方向をさらに発展させていきます。皆さん、引き続いてのご支援、どうぞよろしくお願いします。

~~~~~~~~~
1944年6月東京世田谷生まれ。大卒後、東京キリスト教青年会(YMCA)、アジア保健研修所(AHI)、国際民衆保健協議会(IPHC)などNGOに従事。自衛隊イラク派兵訴訟の会代表を務め、2009年10月よりJIM-NET理事。2019年7月副代表、2023年4月代表就任。愛知県日進市在住。

目的

戦争の影響によってがんや白血病などにかかるイラクの人々が、医療を受けられ、命が助かることを目指し、①効率よく、②専門性をもち、③継続的に支援を行うとともに、 イラクおよび周辺国の人々が平和で安心できる社会作りに尽力する。また、国内外を問わず放射能汚染から人々を保護するために必要な活動を行う。

定款

JIM‐NET定款 https://www.jim-net.org/cp-bin...

団体情報
特定非営利活動法人JIM-NET
NPO法人
このページは寄付・ 会費決済サービス
コングラント」で作成されています。
このページは寄付・ 会費決済サービス「コングラント」で作成されています。