私たちについて
神戸市中央区。この街では、住民の約10人に1人が外国にルーツを持っています。そんな中、2013年に「学校生活に困っている子がいる」という地域の切実な声から生まれたのが、学習支援教室『はいず』です。
「はいず」は中国語で「子ども」を意味します。言葉や文化の壁にぶつかりながらも、日本で生きる子どもたちが「自分らしくいていいんだ」と思える場所。私たちは職員とボランティアが手を取り合い、一人ひとりに寄り添う活動を続けています。
背景
子どもたちの前に立ちはだかる「3つの壁」
子どもたちが日本で暮らしていくためには、本人の努力だけでは決して越えられない、高く分厚い壁があります。
① 【言葉の壁】「話せる」と「学べる」の間にある深い溝
日常会話ができても、授業の内容を理解するための「学習言語」の習得には5〜7年かかると言われています。
- 教科固有の言葉: 「比例」「分母」「権利」「義務」など、日常では使わない専門用語。まず「言葉の意味」から理解し直す必要があります。
- 抽象的な概念を扱う力: 比喩表現や推論(〜かもしれない)、目的と手段の区別など、目に見えない論理を組み立てる高度な力。
- 考えを組み立てる力: 文章の構造を理解し、自分の意見を論理的な文章にする力。単語を知っているだけでは、授業にはついていけません。
② 【制度・情報の壁】情報にたどり着けない「見えない迷路」
日本の学校文化や公的制度は、外部から来た家庭にとって非常に複雑です。
- 手紙のハードル: 学校からの大量のプリント。漢字が読めず、締め切りや持ち物がわからない。
- 孤立する保護者: 親も日本語が読めず宿題が見られない、先生への相談先がわからない。
- 閉ざされた進路: 複雑な高校入試や奨学金制度。情報の不足が、子どもたちの将来の選択肢を奪っています。
③ 【心の壁】「自分はダメだ」と思い込んでしまう痛み
言葉や制度の壁にぶつかり続けることで、子どもたちの心は深く傷ついています。
- 自己肯定感の喪失: 勉強がわからないことで「自分は能力がない」と誤解し、自信を失う。
- 本意ではない来日: 家族の事情で突然日本へ。心の準備がないまま「異邦人」として生きる過酷さ。
- 孤立と偏見: 文化や宗教、習慣の違いから周囲に馴染めず、いじめや偏見にさらされる不安。
これは、子どもたちの努力不足ではありません。社会にある「支援の不足」から生まれる課題です。
活動内容
一対一で、心を通わせる時間
はいずでは、毎週火曜・金曜の夕方、約30名のボランティアと共に活動しています。
- 「わかる」を増やす学習支援: 宿題のサポートから、一人ひとりに合わせた日本語・教科学習。
- 「安心」をつくる生活サポート: 学校からの手紙を一緒に読み、日常の困りごとを解決。
- 「ありのまま」を認める居場所: ルーツや宗教を尊重し、誰もが否定されない安全な環境づくり。
エピソード
支援が生む「変化」の物語
中国出身のAさんは、来日当初、日本語に強い拒絶反応を抱えていました。
そんなAさんに寄り添い続けたのが、ボランティアのRさんです。母語と日本語を交えながら、折り紙やコマ回しなど、Aさんが「楽しめること」を一緒に探していきました。
「すごいね!」
はいずで自信をつけたコマ回しをきっかけに、学校でも友達から認められる場面が増え、少しずつクラスの中に「居場所」が生まれていきました。
そして一年後。あんなに日本語を嫌がっていたAさんが、突然日本語で話し始めたのです。
「お父さんと、日本語で話せるようになったよ!」
その言葉を聞いたとき、私たちは胸が熱くなりました。言葉の壁を越える。それは、家族や友達と心を通わせる「新しい鍵」を手に入れること。ボランティアとの温かい時間が、Aさんの未来を変えた瞬間でした。
寄附金の使い道
未来へつなぐ、大切なバトン
いただいたご寄付は、活動を「継続」させるための大切な土台として使用させていただきます。
- 学びを支える: 教材費、ドリル等の備品購入費、プリント印刷費
- 人を繋ぐ: ボランティアの交通費
- 場を守る: 安心して集まれる教室の維持費、郵送費
賀川記念館(社会福祉法人イエス団)へのご寄付は、確定申告により所得税等の控除(寄付金控除)を受けることができます。
最後に
子どもたちが安心して学び、自分のペースで心を開き、未来への一歩を踏み出せるように。その一歩を支えているのは、地域の皆さんの温かな力です。
月額500円(1日16円)から、あなたもサポーターになりませんか?
あなたの優しさが、今日、誰かの『生きていく力』に変わります。共にこの街の居場所を守るパートナーになってください。


