活動の背景
気候危機、生態系の破壊、化学物質問題、廃棄物問題、原発問題など、現在の環境問題の全てが、人間の欲望と、それを満たすための社会・経済活動の結果として生み出された問題であり、これを解決するには、私たちの「もっと、もっと」の価値観を変え、成長を基盤とした社会・経済の仕組み・制度や技術の見直しが必要だと考えています。
そうした中で、当会は、特定の環境問題というよりは、その根底にある文明の視点から、現在の環境問題を考え、解決に向けた政策提言や普及活動を続けています。
しかし、現状では、気候変動はますます深刻化し、国内だけでなく、世界中が異常気象による災害に苦しめられています。生物多様性も急速に失われ、原発に関しても核の廃棄物問題は解決していません。
私たちの生命と社会経済活動の基盤である「環境」は本当に危機的状況にあり、その根底にある私たちの文明そのものも、持続的で安定したものではなくなりつつあります。
政府ではなかなか取り扱えない文明、価値観といった課題に取り組み、それを解決することが私たちの仕事だと考え、活動しています。
活動内容の詳細、実績について
1)調査研究
〇環境倫理/日本の持続性の知恵について 継続的に研究。 日本は島国で、有限な資源の中で、様々な知恵を働かせて暮らしてきました。例えば江戸時代の自然と調和した暮らし、物を循環して有効利用する知恵。島国だから他に逃げられないので、地域の中で皆と調和していく知恵など。地球の有限性が明らかになった現在、限られた地球という空間の中で、人と社会が持続的にやっていくには、日本のかつての持続性の知恵が役立つということで、その知恵や考え方をまとめて本にしました。
〇グリーン経済の探求 化石燃料に依存しない脱炭素で、環境と調和した経済の姿を明確にし、それを実現する方法を探って、報告書としてまとめました。 それを具体化した一つの事業として、15年以上「経営者環境力大賞」事業を実施しています。これは環境に配慮した事業で、持続的な企業経営を行う中小企業の経営者を発掘し、その経営理念や取組を広く紹介することで、規模の拡大ではなく、会社の持続性と従業員の成長と幸福を目的にした環境経営を行う経営者の輪を、日本中に広げたいという趣旨で行っており、これまでに90名以上の方が受賞しています。
〇そうした持続性の知恵やグリーン経済などの成果を活かし、これまでの「経済」中心の社会から、「環境」を主軸に据えた新たな社会の在り方と実現策を研究。「環境文明社会」という冊子にして普及に努めています。
2)政策提言活動
調査研究の成果を政策としてまとめ提言しています。 〇【成功例】環境教育等促進法 当会がリーダーシップをとり議員立法で法律が成立しました。
〇「憲法に環境(持続性)原則を追加する提案」 現憲法には「環境」という言葉さえ使われていないことから、現憲法の三原則に、環境・持続性原則を 加えてほしいという提言
〇「環境プラス立国」 環境分野だけでなく、様々な分野で低迷する日本を立て直す提案
3)普及・啓発
〇会報「環境と文明」はこの30年間毎月欠かさず発行。読者からは、これから進むべき方向を示す羅針盤の役割をしていると評価していただいています。
〇環文ミニセミナー
〇環文ブックレット
〇各種セミナー、 特に中小企業を対象としたセミナーを開催
4)交流 全国交流大会、エコツアーの開催
代表者メッセージ
現在、環境問題、特に気候問題は本当に深刻な状況にあります。また化学物質の問題やエネルギー原発問題、さらに気候危機が進めば日本の食料問題も危機的状況となります。
また、環境問題だけでなく、深刻な問題が山積されていますが、その多くの原因は、私たち人間の限りない欲望と、現在の政治や経済活動の在り方にも原因があると考えています。
私たちの悪しき欲望を抑えるとともに、短期的な視点で、経済成長を求める現在の政治や経済の在り方に疑問を持ち、少しでも将来世代にツケを残さない姿に変えていく努力を、私たちと一緒に進めてほしいと願っています。
また課題山積する中で、その解決を政治家や官僚だけに任せておくのではなく、私たち市民が自分事として考え、声を上げ、行動することが求められています。そうした市民社会を育てていくためにも、当会も含めて、全てのNPO/NGOの活動を支援して頂きたいと思います。
寄付金の使い道について
・会報発行、HPやSNSの運用、セミナーの開催など、普及啓発活動
・政策提言など、政府への働きかけ
・「環境倫理」、「未来世代の権利」等の調査研究
・オフィス賃料、職員の人件費など会の存続のための費用
※欧州では、環境NGOは”環境利益の代表”“公益の担い手”と位置付けられており、EUや国から組織の運営や政策提言活動のための助成を受け運営しています。しかし日本では、環境NPOへの助成は非常に少なく、特に政策提言のような活動に対する助成はほとんどないため、運営は非常に厳しい状況です。しかし、私達のような特定の利害にとらわれない団体が政策提言を行うことは、持続可能な社会を創るために必要なことだと思い、活動を続けています。