虐待で後ろ足を失った「かごめ」
かごめは、7 頭ほどの群れで放浪している所を茨城県動物指導センターで捕獲され収容されました。捕獲された 7 頭は皆似ていて、どうやら全て兄弟で行動を共にしていたようでした。
7 頭を捕獲した際、かごめだけ両脚の先が切られており骨が見えている状態でした。その状態で放浪していたので相当な痛みを伴っていたと思われます。また、兄弟の中でかごめだけやせ細っており中型犬のサイズで9kgしかないガリガリの状態でした。
捕獲されてからは、まず初めに両脚の手術を行うことから始まり、その後栄養状態を整えていくことになりました。 当初、体を固定されたり、ブラッ シングやシャンプーなど自分の予想を超えて体に触れられるものを過剰に嫌がり鳴き叫んでいました。そういった一面や、両脚同時に切れている状況を見ても、事故の可能性は低く、人為的な可能性が高く考えられました。
捕獲時、とても悲惨な状態だったかごめも、治療と療養のお陰で、両脚の先端がなくとも工夫して歩けるようになるまで回復し、体重も少しずつ増えていきました。
キドックスの保護犬シェルターで心と体を回復
キドックスシェルターにやってきたかごめは、人に対してそこまで怯える様子はなく、最初こそ少しビクッとなりますが、すぐに受け入れ甘える様子がありました。 きっとこれまで、とても大きな恐怖を味わったであろうにも関わらず、人に好意を寄せる こと、信頼することは持ち続けていました。
後両脚の先端がないかごめは、自力で歩けますが長時間は歩くことが出来ません。 また、地面も堅いところは避けて、柔らかい所を歩かせるようにしなければいけません。 そんなかごめは車椅子に乗り歩く練習を行いました。 元々固定されるのが苦手だからか、車椅子を異常に嫌がり、乗せるとすぐに飛び降りてしまいました。車椅子に乗ることが出来ると、散歩へも行けますし行動範囲も広がるので、かごめには必須な練習項目です。まずは車椅子に慣れるようにと、車椅子に乗せたらオヤツをあげて少しずつ車椅子の上にいる時間を長くすることをコツコツ積み重ねていきました。
その他にも、人が好きな一面を伸ばそうと、コマンドの練習を通しコミュニケーションをとっています。明るく、人が好きというのが根底にあるかごめなので、ぐんぐんと吸収していってくれました。
保護犬と出会えるカフェ「キドックスカフェ」で里親との出会い
心身共に安定してきた様子を見て、里親様との出会いの場である保護犬と出会えるカフェ「キドックスカフェ」にデビューしたかごめ。
優しい方々とのふれあいの中で美味しいおやつをもらいながら、カフェに行くことをとても楽しみにするようになり、さらに心も安定していきました。
そんなかごめの様子を見て、「この子を我が家の家族として迎えたい」という里親様があらわれ、カフェでのふれあいを何度も行った後に、お見合い・2週間のトライアルを経て、無事に正式譲渡になりました。本当の家族が見つかったかごめは、家族に義足をつくってもらい、今ではお散歩に何時間も出かけるようになりました。家でもお腹を出してゆったり過ごして、家族と一緒のお出かけも楽しめるようになったかごめ。
保護当初の様子を思うと、本当に素晴らしい変化です。
今もキドックスカフェに定期的に遊びに来て、元気なお顔を見せてくれています。
ご支援の使い道
かごめのような悲惨な状況から保護され、温かい人との関わりで徐々に心を取り戻していく保護犬はたくさんいます。
特に茨城県では、中大型の雑種や野犬など、適切な医療的ケアや家庭犬トレーニングを経ないと譲渡ができない犬も多く、場所もお金も時間もかかるためになかなか保護団体も引き取りづらい現状があります。
殺処分数は全国的にも減ってきていますが、その背景には、行政や民間NPOなどの保護活動の努力があり、茨城県動物指導センターでも常時100頭以上の収容犬を抱えている状態です。
キドックスでは、引きこもりや不登校などの子ども若者たちがシェルターへ通い、そのような犬たちのケアやトレーニングを担ってもらうことで、保護犬たちの適切なケアの環境をつくることと同時に、子ども若者たちが社会で活躍する場もつくっています。
このような保護犬と子ども若者のための場であるキドックスの保護犬シェルターは、皆さまからのご寄付で運営が成り立っています。
保護犬シェルターは、日々の医療費、消耗品費などの犬達に直接必要な費用はもちろん、そのほかにも事務用品や家賃や人件費などの管理に必要な費用も含めると毎月かなりの金額がかかります。
皆さまからのご寄付は、主に保護犬シェルターの家賃や水道光熱費として使用させて頂きます。
3,000円のご寄付を10名の方からいただければ、1頭の保護犬が、1か月間、安心して過ごせる24時間空調完備の個室を確保することができます。