認定NPO法人キッズドアとは
2007年設⽴以来、⽇本の⼦どもの貧困課題の解決に取り組んでいます。困窮家庭の⼩学⽣〜⾼校⽣世代を対象に、無料学習会や勉強とともに⾷事等の⽣活⽀援も⾏う居場所型学習会を展開しています。コロナ禍で困窮する⼦育て家庭が急増した2020年からは「ファミリーサポート」というシステムを作り、ご登録いただいた全国の困窮⼦育て家庭を対象に、情報⽀援や⾷料・⽂房具⽀援、保護者への就労⽀援も⾏っています。
キッズドアを利用した生徒の事例
昼は小さい妹の世話。夜はアルバイト。限られた時間の中での大学進学。
Aさんはメンタル不調の両親に代わって小さい妹の面倒を見る「ヤングケアラー」でした。夜や休日は居酒屋で学費を貯めるためのアルバイト。勉強の時間を確保できずに、高校1年生の時は勉強についていくことができませんでした。
そんな中でキッズドアに出会い、ボランティア講師に基礎からマンツーマンで教えてもらうことで少しずつ成績を伸ばしていきました。高校3年生の時には家族のサポートもあり、1日12時間を受験勉強に費やして、難関私立大学に合格することができました。
大学生になったAさんは今ではキッズドアで講師として、生徒に勉強を教えています。
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親は進学を反対。スタッフに支えられて大学進学。
Bさんは、以前は普通科の高校に通っていましたが、うまく学校生活に適応できず定時制の高校に転入しました。とても熱心に勉強をしていましたが、一方で折り合いの悪い母親からは大学進学を反対され続けていました。母子家庭で金銭的に塾にも通えず、また通う学校でも周りに進学する生徒が少ない中で、大学進学へのモチベーションを保つことが難しい状況でした。
キッズドアに通うようになってから、そうした彼女の環境が大きく変わっていきました。ボランティア講師たちに支えられ、また周りの生徒と切磋琢磨して学力を伸ばしていきました。最終的には英検準1級を取得、そして難関私立大学に合格することができました
キッズドアが行う学習支援
「お金がないから塾に行けない」
「家庭内が勉強できる環境ではない」
「経済的な事情で進学できない」
様々な子どもたちやご家庭の声を受け止めて、およそ2,000名ほどの生徒を対象に約70教室を展開しています。
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キッズドアの学習支援とは
ただテストの点数を上げればいい。そんな考えでキッズドアは学習会を運営している訳ではありません。生徒一人ひとりの苦手や得意に合わせた学習はもちろんですが、大学生や社会人のボランティアとの関わりを通して人間として成長できるような場を作っていきたいと思っています。子ども達は勉強やその環境を通して多くのことを学び成長する、そんな場所です。
キッズドアの居場所支援とは
様々な事情によりどこにも帰属感を持てない子どもたちのための、少しでもホッと一息付ける場所「家や学校ではない第三の居場所」を提供しています。勉強だけでなく、ご飯を食べたり、ボードゲームで遊んだり。そうした中で初めてできる相談や会話があります。子どもたちがエネルギーを蓄えて、次の一歩を踏み出していくための場所を目指しています。
日本の子どもの「9人に1人」が貧困
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厚生労働省「国民生活基礎調査」(2022年)によると、日本の子どもの貧困率は11.5%。一見豊かに見える現在の日本でも、子どもの9人に1人が貧困という深刻な社会問題が存在しています。わずかな収入しか得られない世帯である結果、こうした子どもたちは十分な食事や教育を受けることができていません。
日本における貧困ライン
日本の子どもの貧困は「相対的貧困」という基準で評価されます。これは中央値の所得の半分未満で生活している状況を指しています。
現在の日本において、例えば親子2人世帯の場合には、年間所得180万円未満。月々の収入が15万円未満で、親子ともども何とかギリギリ生活している状態です。
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食べる物や寝る場所が全くない「絶対的貧困」ではありませんが、国民の大多数よりも貧しいため、「周りの人は当たり前に享受している生活が、お金がないために実現できない」という状態です。
困窮家庭の子どもたちの声
- 「お金がかかることはしたくないので、高校に入ってからは友達と遊ぶのも避けたいので友達自体作っていません」
- 「大学受験の費用をアルバイトで稼がなければならなかったため、部活に入ることを諦めたり、睡眠時間が十分に取れなかったことなどが辛かったです」
- 「家に勉強机がないから、寝床にお盆を置いて勉強しています」
- 「学校から、インターネット上の模擬試験を受けなさいと言われたけれど、PCがないので受験できませんでした」
- 「キッズドアを知らなかった兄は、私よりも勉強ができたけど、進学を諦めて就職しました」
家庭の経済状況が子どもの学力に影響する
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(※お茶の水女子大学「平成29年度『学力調査を活用した専門的な課題分析に関する調査研究』保護者に対する調査の結果と学力等との関係の専門的な分析に関する調査研究」のデータをもとにキッズドアが作成)
家庭の経済状況が子どもの学力に影響を与えることも明らかになっています。お茶の水女子大学による上図の調査研究では、学力テストの結果と世帯収⼊が概ね比例していることが示されています。
経済的な理由で教育に充てられる資源が不足すると、子ども達は学力や進学において不利な立場に立つことがあります。日本では家庭の経済力によって、子どもの学力・進学・その先の進路が左右されている現状があるのです。
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学習支援で「貧困の連鎖」を断ち切る
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キッズドアは無料の学習支援等を通して、こうした教育格差を解消することで、世代間を通じた「貧困の連鎖」を断ち切ることを目指しています。
十分な教育機会が提供され、経済的理由による進学・進路の妨げが取り除かれれば、将来の職業選択において幅広い選択肢を持つことができます。その結果、収入の安定した職に就く可能性も高くなります。
今回のご寄付の使途
今回のご寄付は、このような支援を届けるための学習会・居場所拠点等を運営する費用として活用させていただきます。
キッズドアの支援は原則全て、利用者からの費用を一切いただかない無料の支援です。今回のようなご寄付や助成金、自治体からの受託等により、それぞれの拠点を運営しています。
主な費用の合計を生徒数で割ると、およそ35万円程度で生徒1人に1年間分の学習支援を提供している計算になります。
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拠点運営にかかる主な費用
■教材費
分かりやすい支援費用は問題集や参考書等、直接子どもたちの学習に関わる費用です。その他模擬試験の受験料等、進学準備に必要な用途で使用しています。
■備品費
日常的に利用する文具や機材、ネット回線等通信費や複合機の利用料等のほか、学習会によっては、生徒に貸与するタブレット端末やモバイルWi-Fiの通信料などに使用することもあります。
■食費
毎回食事を提供している拠点では常に必要としています。それ以外の拠点でも、お菓子などの軽食を配付する際に同様に使用しています。
■人件費
すべての学習支援・居場所支援は、人がいなければ成り立ちません。常に子どもたちを受け入れ続けているためには専任の正職員が必要です。フルタイムで管理・運営を担う正職員、パートタイムでそれをサポートするスタッフのもとで、学習時間には多くのボランティア講師が子どもたちとのコミュニケーションを担っています。
■施設費
人と同様に重要なものが場所です。学習会や居場所として集まってもらう場所にも、当然ながら賃料や利用料が必要です。
学力形成に必要な3つの資本
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青山学院大学の耳塚寛明先生によれば、学力向上には「経済的資本」、つまりお金が必要なだけでなく、さまざまな文化や社会的経験を積む「文化資本」、そして信頼できる大人のサポートが欠かせない「社会関係資本」が必要とされています。
ただ単に「教材がある」「ネット回線がある」「タブレット端末がある」、それだけでは必ずしも学力には結び付きません。学習会や居場所におけるスタッフとのコミュニケーションや体験を通して、価値観や行動様式、また周りの人たちとの関係性を得ていくことで、人間として成長できるような場を提供しています。
子どもたちが勉強を通して多くのことを学び成長する、そんな場所を一緒に作らせていただければ、とても嬉しいです。皆様の温かいご支援とご協力を、どうぞよろしくお願いいたします。
ご寄付の税制優遇について
認定NPO法人であるキッズドアへのご寄付は税制優遇の対象となります。
詳しくは【キッズドアのホームページ】をご参照ください。
ご寄付の領収書について
2026年1月下旬を目安に、2025年中にいただいたご寄付をまとめた合算領収書を郵送いたします。領収書は当団体に入金が確認できた日付で発行しております。クレジットカードでのご寄付の場合、お手続きされた日付ではなく、コングラントから当団体に入金された日付となります(原則決済月の翌月入金)。なお匿名でのご寄付の場合、領収書の発行はありません。