こんにちは。特定非営利活動法人LEGIKA 理事長の小崎 文恵と申します。ページをご覧いただき、ありがとうございます。
皆さんは、昭和の「トキワ荘」をご存知でしょうか。
手塚治虫、藤子不二雄、石ノ森章太郎、赤塚不二夫など、昭和を代表する漫画家が若手時代を過ごした木造2階建てのアパートです。何人もの新人漫画家がお互いを励まし合いながら暮らしていました。
私たちLEGIKAは、そんなトキワ荘の現代版とも言える「トキワ荘プロジェクト」を運営しています。トキワ荘プロジェクトに参加する若手漫画家たちを一緒に応援していただきたく、クラウドファンディングを実施することにしました。
トキワ荘プロジェクトとは?
「トキワ荘プロジェクト」とは、住まいのコミュニティを通じてプロの漫画家を育成していく取り組みです。 本気でプロを目指す若い漫画家や志望者が、いち早くプロとして自活できるようになるための支援を目的としています。
支援内容
1. 住居支援
住まいは水道光熱費・通信費込みで平均賃料5万円(6畳、礼金・更新料なし)。東京都日野市にある「多摩トキワソウ団地」や、『LIAR GAME』作者の甲斐谷忍先生がメンターとして入居者の指導にあたる「甲斐谷荘」など、東京都及び千葉県内に6つのシェアハウスを運営しています。漫画に専念できる環境で、現在76名の若手漫画家が共同生活を送り、切磋琢磨しながらプロを目指しています。
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2. 成長支援
目標達成に必要な考え方を学ぶ「マインドセット研修」や、作画に必要な知識を身に付ける「パース講座」など様々な講座を開催しています。
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3. 仕事支援
企業や団体から依頼される漫画関連の仕事の紹介を通じて、漫画家としての職業機会と職業能力づくりの拡大・進展を目指しています。また、2023年8月にレジカスタジオ編集部を創設し、編集プロダクションとして作家の発掘、有望な作家の専属化、専属作家への重点的指導・売り込み・作品プロデュース等を行なっています。
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実績
これらの支援を通じて、これまで130名以上のプロデビュー者を輩出してきました。トキワ荘プロジェクト出身の代表的な作家には次のような方々がいます。
- 雲母坂盾さん『ドリトライ』、『ボーンコレクション』(集英社週刊少年ジャンプ連載)
- 藏丸竜彦さん『数学ゴールデン』(白泉社ヤングアニマルZERO連載)
- カメントツさん『カメントツのルポ漫画地獄』、『カメントツの漫画ならず道』(小学館ゲッサン連載)『こぐまのケーキ屋さん』(小学館)
- 西修さん『魔入りました!入間くん』(秋田書店週刊少年チャンピオン連載/アニメ化)
- 坂本拓さん『潔癖男子!青山くん』(集英社ヤングジャンプ連載/アニメ化)
参加している若手漫画家たち
トキワ荘プロジェクト参加者の平均年齢27.1歳(2023年8月現在)。参加者はみな、20代〜30代の貴重な時間を使って、覚悟を持ってプロの漫画家を目指すことを決意した人たちです。
彼ら彼女らの多くは、日中はアルバイトをこなし、夜に漫画執筆をする生活を送っています。あるいは貯金を切り崩し、食費を削って制作に必要な道具を買っています。
辛酸を嘗めて生活している彼ら彼女らのうち、現在デビューできている人は約3割。雑誌掲載でデビューできても、その後連載を獲得し、プロとして自活していくには高い壁があります。
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一方で、人との出会いや、ふとしたきっかけがプロデビューへのきっかけにつながったという事例も数多くあります。
現在プロの漫画家として活躍しているトキワ荘プロジェクトの卒業生坂本拓さんは、トキワ荘プロジェクトに参加していた時に、著名漫画家から「キミの絵は古い」と言われたことがターニングポイントになったと語ってくれました。
また、トキワ荘プロジェクトに在籍中のペンネーム馬の骨さんは、昨年のLEGIKA UPでの出張編集部にて出会った編集者が担当として付いてくれたことがきっかけとなり、少年誌の賞を初めて受賞しました。
このように自分自身を変え、次のステージに昇るきっかけとなる人との出会いを、若手漫画家たちに、私たちはもっと提供したいのです。
若手漫画家の成功と成長を提供する「LEGIKA UP 2023」開催
奮闘する若手漫画家たちに成功と成長のチャンスを提供する一助となるのが、今回ご支援をお願いする「LEGIKA UP 2023」の開催です。
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NEXT STEP AWARD
当イベントのメインは、表彰式「NEXT STEP AWARD」です。これは、トキワ荘プロジェクトの参加者の中から、過去1年間で雑誌掲載や新人賞の受賞など、顕著な実績をあげた方を表彰するものです。
表彰の目的
若手漫画家の多くは、「自分が描いているものはこれで合っているんだろうか」と常日頃から迷いや不安を抱えながら制作活動しています。そうやって作った作品を客観的に評価してもらえる機会といえば、漫画賞の講評くらいしかありません。
一方で、私たち運営者から客観的に見ると、漫画家として着実に成長している人は多々います。そんな彼ら・彼女らの頑張りを年に1回の表彰を通じて讃えることで、「あなたのやっていることは間違っていないよ」とメッセージを送ることができるのです。それにより、若手漫画家たちには自信を持って次の一歩を踏み出してもらいたいと思っています。
また、若手漫画家の成長を編集者や企業の皆さんに知っていただくことも重要です。実績を公表することで、次の仕事の依頼が舞い込み、それがさらなる作家としての成長につながる……。そんな循環を期待しています。
さらにこの表彰は、表彰される人だけでなく、惜しくも表彰を逃したトキワ荘プロジェクト参加者たちへも刺激を与えています。受賞者の姿を見て、自分も表彰されるように頑張ろうとモチベーションを上げるきっかけとなっています。
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昨年の受賞者の声
MVP賞|ハトリアヤコさん
まさかMVP賞を取れるとは思っていなくてとても驚いています。いつもはもやもやした日常の感情を描いた漫画を描いています。これからもたくさん描いて、色んな人に見てもらえるように頑張りたいです。
集中ステージ賞|三月病さん
私はトキワ荘プロジェクトに入ってから4年くらい経ちます。以前まではのんきに好き勝手やっていましたが、ここ2年くらいで、ちゃんと人の話を素直に聞けるようになってきました。編集さんとうまく付き合えるようになって、このように良い結果につながったと思います。
最多連載賞|ONDAさん
私は今、甲斐谷忍先生という偉大な漫画家先生に教えをいただきながら漫画を描いています。本当に漫画は1人で描けないなとつくづく思っています。甲斐谷先生や同じハウスの仲間たちに支えられながらやれていると思うので、これからもそういうつながりを活かして、面白いものを作っていけたらと思っています。
アクティブプレーヤー賞|非常口さん
トキワ荘プロジェクトに入って2年くらい経ちますが、自分でもどういう作品を描けばいいか迷っていた時期が長くありました。今年に入って、色々な仕事をもらえる機会が多い一方で、自分でもこっちの方向で合っているのか迷いながら進んでいたのですが、その結果が「アクティブに動いている」と表彰されたのはありがたいです。これからも枠組みに縛られず、色々な方面で頑張っていきたいと思っています。
LEGIKA STUDIOS賞|冷麺シズルさん
今回、LEGIKA STUDIOS賞を受賞できてとても嬉しいです。私は連載漫画を継続して描くことがなかなかできない中、デザインのスキルを活かして、それと漫画表現を活かしたクリエイティブ方面で活動しています。LEGIKAからもらった仕事をしていますが、今後もそれに限らず、漫画表現や、漫画自体もたくさんかいてクリエーターとして活躍していきたいと考えています。
出張編集部・お悩み相談会
出張編集部には、集英社や講談社をはじめとする大手出版社の編集者の方々に参加いただくことになっています。参加者にとっては自分の描いたマンガを直接編集者に見てもらうことで、出版社とのコネクション作りや掲載のチャンスを得られる貴重な機会となります。
お悩み相談会は、担当編集者とのコミュニケーションについての悩みや、マンガ家として自活していく上での漠然とした不安などを個別に相談できる場です。本気でプロを目指すからこその悩みや不安は若手マンガ家にはつきもの。参加者から非常に好評なプログラムです。
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その他
著名編集者による講演会では、若手漫画家が活躍するために必要なことをお話しいただきます。
また、交流の機会となる懇親会も実施。出版社や漫画を企業広報などに取り入れたい企業関係者の方も多く来場する予定ですので、その方々との交流も通じて、若手漫画家には次のステージに登るきっかけを掴み取ってもらいたいと考えています。
ご支援金の使い道
トキワ荘プロジェクト参加者にとって年に1回の晴れ舞台となる「LEGIKA UP」は本来ならば自助努力で補うべきですが、昨今の光熱費値上がりに伴うシェアハウス管理コスト上昇などによる経営状況の悪化により、クラウドファンディングを実施させていただくことになりました。
いただいたご支援金は以下に使用させていただきます。
- イベントの会場費(約30万円)
- 表彰のためのトロフィー及び副賞(約9万円)
- イベントに必要な備品など(約1万円)
返礼について
5,000円以上ご支援いただいた方へは、トキワ荘プロジェクト参加者が制作したお礼イラストを差し上げます。
最後に
LEGIKAは、トキワ荘プロジェクトを17年運営してきました。
私自身、現場で数多くの若手漫画家と接してきて感じるのは、「成功する作家には必ず人との出会いがあるもの」ということ。
それまでうだつが上がらなかった人が、同居人のふとしたひと言をきっかけにチャンスを掴んだり、たまたま持ち込んだ先の担当編集者により連載につながったりする例をたくさん見てきました。
トキワ荘プロジェクトというコミュニティ運営をしてきたノウハウを活かして、これからも若手漫画家に出会いのきっかけを作ってあげたい。
この「LEGIKA UP 2023」はトキワ荘プロジェクト参加者や編集者・企業の方々が一堂に会する年に1回の節目となるイベントです。このイベントをきっかけとして、次のステップに登っていく若手漫画家をさらに数多く生み出したいと思っています。
皆様からの温かいご支援を、お待ちしております。
特定非営利活動法人LEGIKA 理事長
小崎 文恵