見過ごされてきた“産後”の課題と向き合いながら、7.5万人以上にプログラムを提供
新しい命を授かる幸せの一方で、日本では、産後を起点とした三大危機(産後うつ・乳幼児虐待・夫婦関係の不和)が社会問題となっています。

出産という大きなトランジションを夫婦で迎えるための知識を持ち、健やかに過ごすためのコミュニケーションを図ること、そして産後の心身の回復につとめ、適切なサポートを得ることは、誰にとっても必要不可欠なことです。
しかし実際には、「出産がゴール」と捉え、産後への十分な心構えや準備がないまま出産を迎える家庭も少なくありません。
その結果、予想外の心身のダメージや夫婦関係の悪化、さらには外出の困難さなどによる孤独感から、誰もが産後の三大危機に直面する可能性があります。
マドレボニータは、こうした問題を解決するため、産後ケアの概念がまだ無かった1998年から 「産後」に特化したヘルスケアプログラムを開発し、子どもを迎えた家族が心身ともに健やかに人生を送れるようサポートしてきました。
主な取り組みは以下の通りです。
・独自の産後ケアプログラムを提供する教室事業
・産後に関する知識の啓発事業
・産後の実態に関する調査研究事業
・産後ケアの担い手を養成する事業
中でも、マドレボニータの産後ケア教室は、産後女性たちがエクササイズと対話によって「自分を取り戻す」ための場所。
身体を動かし、心を開き、仲間と出会い語り合う――その時間がどれほどの力になるか。
四半世紀以上続けてきた今、多くの母からの声を聞くたびにこのプログラムの力を実感しています。

とはいえ、プログラムを届けていく中で、自分の産後ケアどころではない母たちもいることを知りました。
そこで2011年からご寄付を募り、多胎児の母やひとり親、早産・低出生体重児の母などへ受講料を補助する産後ケアバトン制度を開始。多くのご支援により、1,300組の母子に産後ケアプログラムを届けることができました。
産後ケアの普及と啓発を通して、誰もが自分と周りの人の尊厳を大事にできる社会を作りたい
母子保健法の改正(令和元年)により、令和3年度から産後ケア事業の実施は市区町村の努力義務となりました。
「産後ケア」という言葉は社会的にも次第に広まり、その必要性についても認識されるようになっています。
マドレボニータが活動を開始した1998年には「産後ケア」という概念すらなかったことを思うと、大きな変化です。
現在、行政の施策としての「産後ケア事業」は出産後の母体の心身を休ませることを目的とし、病院や助産院、産後ケア施設等のサポートを受けられるようになっています。
”全治2ヶ月の状態”と例えられる出産直後の体を休ませることはとても重要です。
ただ、その後に長く続く子育てやキャリアを持続可能にしていくためには、実は休むだけでは十分ではありません。
出産後の1年間は“3段階”の適切なステップと具体的な取り組みが必要です。

このことを広く一般向けにも伝えるべく開始した「産後ケア啓発講座」では、
「出産前から知りたかった」
「産後ケアの重要性は妊婦さん本人は勿論、周りの人々も知っておく必要がある」
「産後の妻のために出来る限りの最大限の努力をしたい」
などの声が寄せられ、特に
「もっと多くの方に知っていただくことが必要」
というご感想を多数いただきました。(講座報告①、②)
これからも、産後うつ・乳児虐待・夫婦不和の解決に取り組みながら、幅広い世代(若者、支援者、企業等)の産後ケアの認知を高める取り組みにより、誰もが自分と周りの人の尊厳を大事にできる社会の実現を目指していきます。

あなたのご寄付でできること
いただいたご寄付は、産後ケアの普及と啓発および、組織運営に活用させていただきます。

共同代表理事メッセージ

「産後ケア」という言葉すらなかった時代から、今では「産後ケア」という言葉が当たり前に聞こえてくるようになってきたものの、そのほとんどは”受けるケア”にとどまり、”取り組むケア”についてはまだまだ知られていません。また、現場で出会う母たちの苦悩は、急激にSNSが発達し、情報過多になり、選択肢が増えたこの10数年で、より複雑さを抱えている気がします。
だからこそ、これまで大事にしてきた「体力」を取り戻すことや、対話を通じて、より丁寧に「本当の願い」にリーチしていくこと、自分の信じる道を選択していくこと、そしてそれをパートナーや身近な人と分かち合うことの大切さを、今まで以上に声をあげて伝えていく必要があります。
2020年までは対面だけだった産後ケア教室も、コロナ禍によりオンライン教室を開発し、カップル向け講座や産後ケア啓発講座など幅広い層の方に参加していただけるようになりました。仕組みはできたので、ここからはどれだけの人に届けられるかが問われています。
「一人ひとりが自分と周りの人の尊厳を大事にできる社会」を実現するためには、これまで以上にさまざまな分野の垣根を超えたつながりも必要となります。それぞれの見えている景色を共有しながら、対話を重ね、ひと組でも多くの家族に、産後ケアを届けていく仲間にぜひなってください。
寄付税制優遇について
東京都が認める認定NPO法人であるマドレボニータへご寄付された方は、確定申告によって、寄付金控除等の税制優遇を受けることができます。
・所得税減税のほか、自治体によって住民税が減税となる場合もあり最大50%の減税となります。
・相続財産寄付・遺贈寄付は非課税となります。
・法人の場合、法人税を軽減させる「寄付金損金算入枠」が3-5倍になります。また、一般枠と特別枠の合計額まで損金にできます。